2016/04/30

YouTube が Bumper ads 動画広告を導入 (2016年5月) 。バンパー広告の特徴と効果、動画広告への影響を考える




Google が、「Bumper ads (バンパー広告) 」 と呼ばれる YouTube の新しい動画広告を発表しました (2016年4月26日) 。特徴は6秒という短さで、従来よりも短い動画広告です。

Built for mobile: Bumper ads drive incremental reach and frequency, particularly on smartphones | Google Inside AdWords


YouTube の Bumper ads とは


バンパー広告の特徴は、

  • 6秒の YouTube 動画広告。スキップできなく、最後まで広告が再生される
  • オークション型で AdWords から出稿。CPM 課金 (Cost Per Mille: 1,000回インプレッションあたりのコスト))
  • 2016年5月より使用可能に

Google はバンパー広告のことを 「俳句のような動画広告」 と表現しています (We like to think of Bumper ads as little haikus of video ads) 。

バンパー広告の例を下に載せておきます。1つ目が自動車の Audi の広告、2つ目がアトランティックレコードです。YouTube のバンパー広告を取り上げた Adweek に掲載されていました。






関連して、ペプシが2016年夏のキャンペーンに向けて、5秒動画を100個つくったようです。



Pepsi Embraces the 5-Second Spot, Making 100 of Them for TV and Digital This Summer | Adweek


Adweek の記事によれば、グーグルで検索される夏に関するキーワードから、動画広告のテーマを決めたとのことです。例えば、花火や日焼けです。

"We worked with Google to identify the top search terms for the summer, and we have creative that will be very relevant for those search terms."

Thus, popular terms like "fireworks" and "tanning" will bring up ads with those themes.


バンパー広告の効果


Google は、バンパー広告のリリース前に広告効果を調査しました。Google ブログからの引用です。

In early tests, Bumpers drove strong lift in upper funnel metrics like recall, awareness and consideration. We also see that Bumpers work well to drive incremental reach and frequency when paired with a TrueView campaign.

YouTube バンパー広告 は、購買ファネルの上位指標である 「想起」 「認知」 「比較検討」 に効果があったようです。YouTube の TrueView (5秒後にスキップできる動画広告) との併用で、リーチと接触回数が増えるとのことです。


バンパー広告は Made for web を作りやすい


ネット動画広告でよく言われるのは 「Made for web」 の動画広告をつくることです。Made for web とは、テレビ広告をそのまま YouTube などの動画広告に使うのではなく、ウェブ向けの動画広告をつくることです。

動画広告の Made for web のやり方、つまりテレビ CM とどう買えるかの方法はいくつかあります。

  • TV 広告では最後に会社名やブランドロゴが提示されるが (広告は最後まで見てくれる前提)、ウェブ動画広告は最初にロゴや主要メッセージを持ってくる
  • 15秒 TV 広告のオリジナル版である長い動画を使う。広告によっては60秒以上のものもある
  • TV 広告とは全く違うネット動画広告でしか使わないものをつくる

1つ目と2つ目は TV 広告をベースにつくる動画広告で、3つ目がウェブオリジナルをつくるやり方です。

YouTube などの広告メディアは、ウェブオリジナルをつくり、媒体にあった動画広告を流すことを広告主側に提案します。一方の広告主側では、動画広告作成の予算はテレビ CM 作成予算に比べて少なく、そのためのリソースも避けないことがよく見られる状況です。

これが、Made for web と言っても、結局は CM 素材 (TVCF) と同じような動画広告が多い背景です。

バンパー広告はこうした日本の、特にテレビ広告を使うような大手企業にとっては導入しやすいものだと思います。15秒の TVCF のカット版として6秒をつくれば、限られた広告クリエイティブ予算やリソース内で対応しやすいからです。


従来の15秒や30秒動画広告への影響


スマホは、短いコンテンツが好まれるのデバイスであると言われます。自分の肌感覚でも、確かにパソコンと比べると、スマホでは長い動画や文章に抵抗感があります。コンテンツをじっくり見るのはパソコン、画面が小さいスマホはサッと見るという違いがあります。

Google がバンパー広告を導入するのは、スマホでの YouTube 動画視聴が増えていることに対応するためです。尺の短い動画広告はユーザー体験を悪くすることなく、広告の効果が期待できます。

バンパー広告が YouTube で増えてくれば、従来の15秒や30秒動画広告が相対的に長いと感じるようになっていくでしょう。特に TrueView ではないスキップできない動画広告には、ユーザーは 「強制的に見させられている感」 が強まっていくのではないでしょうか。


動画広告にもオプトイン形式があってもいい


動画広告を使う広告主は、広告を届けたいターゲット顧客には、自分たちのメッセージを載せた動画広告を最後まで見て欲しいと考えます。

動画広告は、スキップできるものとスキップできないものの2つがあります。バンパー広告は後者です。

前者のスキップできる動画広告は、開始から5秒までは広告を見る必要があります。5秒以降で動画視聴者は、自分でスキップボタンを押して広告を終わらせることができます。このやり方はオプトアウト方式です。

オプトアウトだけではなく、動画広告もオプトイン形式があってもいいと思います。

例えば、開始から5秒までの間に 「続きを見る」 ボタンが表示され、それを押した人だけが5秒以降も見ることができます。押さなければ、5秒で広告は終了します。自ら広告を見たいと思った人にだけ、続きを見てもらうオプトインの発想です。

バンパー広告の良さと、スキップ可能な TrueView の良さの両方を活かしたアプローチです。

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多田 翼 (書いた人)


外資系 IT 会社にて 「シニア マーケティングリサーチ マネージャー」 (LinkedIn) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身。学生時代は京都。家族4人で東京23区内に在住、2人の子どもの父親。気分転換は毎朝1時間のランニング。

書いている内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。