2014/08/02

お客さま自身が変わったのではなく、アンケートのバイアス




日本経済新聞に、ライフネット生命保険会長兼 CEO である出口治明氏の寄稿記事がありました (2014年7月26日) 。

参考:スマホ普及で契約数は激減?ネット生保の想定外|日本経済新聞


セールスパーソンと相談せず、自分で保険は選ぶ人が減少?


以下は記事から引用です。

6年間経営をやってきて骨身にしみたことは 「世の中は何が起こるか分からない。変化に対応するのが経営の神髄」 というごく当たり前の事実だった。

開業時に当社のウェブサイトに来てくださったお客さまにアンケートを取ったところ、6割を超えるお客さまが 「セールスパーソンと相談しなくても自分で保険は選べる」 と答えてくださった。僕は意を強くして、この割合が7割、8割と上がっていくに違いないと信じていた。

ところが、昨秋のアンケートでは、その比率が2割以上低下していたのである。このようなお客さまの変化 (保守化) は、何故生じたのだろうか。

「セールスパーソンと相談しなくても自分で保険は選べる」 と考える人が、開業当時はライフネット生命サイト訪問者の6割で、「僕は意を強くして、この割合が7割、8割と上がっていくに違いないと信じていた」 と、もっと多くなるのではという見方だったとのことです。

ところが、現実は逆のトレンドでした。開業時に6割だったものが、昨年は4割まで低下したようです。


実際に減ったのではなく、アンケートのバイアスではないか


アンケートそのものにカラクリがあるのではないかと思いました。

6割 → 4割に低下したのは、アンケート対象者層が当時と今で変わったからではないでしょうか。

ポイントは、アンケート対象者がライフネット生命サイト訪問者にあります。6年前の開業時と2013年では、訪問者そのものが変わっているはずだからです。具体的には、次の通りです。

  • 開業時:ライフネット生命の知名度も低く、訪問者はネット生保に関心高いアーリーアダプター層が中心。この層は 「セールスパーソンと相談しなくても自分で保険は選べる」 と考える人が多かった
  • 現在:知名度も上がりマジョリティ層も訪問するように。マジョリティには 「セールスパーソンと相談して決めたい」 と考える人がアーリーアダプターよりも多かった

関心の高いコアな層を中心にアンケートをした開業当時では6割、一方、分母にはコア層以外も含まれるようになった結果が4割という見方です。つまりアンケート回答者にバイアス (偏り) があったと考えられます。

これが6年間で 「セールスパーソンと相談しなくても自分で保険は選べる」 と考える人が、6割から4割に減った要因でしょう。


アンケート調査から読み取れるインサイト


何を意味するかと言うと、ライフネット生命の知名度が上がり、生保に対して保守的な層も潜在顧客として取り込めるようになってきたことです。そして、彼ら/彼女らには、これまでとは異なるアプローチで契約を取りに行くやり方が必要ではないかということです。これがアンケートからのインサイトです。

世の中全体を分母にとれば、「セールスパーソンと相談して決めたい」 割合は当時も今もそれほど大きな変化はしていないのではないでしょうか。

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多田 翼 (書いた人)


外資系 IT 会社にてマーケティングリサーチ マネージャー (LinkedIn) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身。学生時代は京都。家族4人で東京23区内に在住、2人の子どもの父親。気分転換は毎朝 8km のランニングとピアノ。

書いている内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。