2012/07/22

戦略の本質を考えるための3つのポイント

戦略とは、「あるべき姿」と「現状」の差を埋めるための道筋だと思っています。目的地と現在地を結ぶルートというイメージ。



こうありたいという理想と自分の現状は、企業や自分個人にとってそれぞれ異なり、それを結ぶルート(戦略)も違ってくるはずです。戦略を考える上で重要なのは「強みを活かすこと」。自らの強み/弱みを把握し、強みに焦点を当て活かせる仕組みを考えるのです。

1.強みはあくまで相対的なもの

ただ、難しいのは何が強みで弱みなのかを把握することと、そもそも強みと弱みは相対的なものであり、強みが弱みになったり、その逆も起こるということ。例えば自分の強みはいろんなアイデアが思いつくことだとします。でもそれは自分の身の回りの人たちと比較したアイデアが豊富であり、違う環境にいけばもっと創造的なアイデアを組み合わせる人がいるとすると、そこではもはや強みにはなりません。弱みも同様に、ある人と比べると弱みかもしれませんが、別の集団内では相対的に強みになるかもしれない。

これは企業の競争上でも同じで、競合をどこに設定するかで何が強みかは変わってくる。例えば東京-大阪間の移動手段において、従来の航空機移動に対する新幹線の強みは安さにあったかもしれませんが、今後LCCが普通になると新幹線の値段はむしろ高くなり、強みは快適な車内空間やサービスになる。こんな感じで、強み/弱みはあくまで相対的なもので、対競合だったり、現在と将来の時間軸、環境や競争ルールによって違ってくる。

それと、何が強みかを認識するのはあくまで顧客であるという視点も忘れてはならない点です。自分たちが高い技術と思っていることで実現できるサービスも、それを買う/利用する顧客から見て魅力でなければそれは顧客にとっては強みではないのです。

例えば、テレビ。各社が競う画像の美しさはある程度までいけば(消費者にとっては)遜色はなくなり、結局は価格の安いことが訴求点になっていく。結果、販促費をより積んで店頭価格がより安いテレビが売れる。コモディティ化の典型で、売れば売るほど赤字という状況。顧客である消費者に映る強みは、そこそこきれいでそれなりの画面サイズのテレビが安く買えること。これはメーカー側が認識する、あるいは訴求したい本来の魅力/強みとはずれてしまっているのではないでしょうか。

2.戦略策定と実行は二人三脚

戦略とは「目的地と現在地を結ぶルート」であり、ルートの選び方のポイントは「強みを活かすこと」。戦略策定の難しくもありおもしろいのは一度ルートを決めれば安泰というわけではないところ。強みは対競合や競争環境、時間軸でも変わる。従って、ルートは常に顧客ニーズの変化や競合他社の動きに合わせて見直し、修正や進化し続ける必要があると思っています。

戦略というのは目的地に達するというプランであり、ある意味、この時点では将来への仮説でしかないものです。3C(Customer:顧客、Comany:自社、Competitor:競合)の分析等々や、自分たちの理念・目的・ビジョンから導き出される現時点でのベストの仮説。こう考えると、戦略を実行していくという仮説検証において軌道修正が必要になる。むしろ、戦略は実行をしていく過程で進化させる、と捉えた方がいいのかもしれません。戦略には、策定のために考え立案することが醍醐味で、一度決まれば粛々と実行するだけ、実行は現場に任せておけばよい、というイメージもあるかもしれません。そうではなく、戦略策定と実行はどちらか一方に偏ることなく、トップ、ミドル、現場で一体となり進めていくのが理想なのだと思います。

3.コスト戦略と価値戦略

競争戦略の方向性として大きくは2つあると思っています。どのようにして競合他社に比べて「より」低いコストを実現するか、あるいは「より」高い価値を提供できるかで、前者がコスト戦略、後者が価値戦略です。
  • コスト戦略:違うことをするか、同じことを違うようにやって構造的なコスト優位を構築。その分のコスト差を低価格につなげる戦略
  • 価値戦略:価値を上げることで顧客にとっての魅力度を高め差別化を図る戦略
コスト戦略で混同してはいけないのが、「安い商品の提供」と「商品を安く提供すること」は意味が違うということ。安い商品の提供とは材質の品質を下げたりとか、安かろう悪かろうでもOK、もしくは利益度外視で価格を下げればできてしまうことです。一方の「商品を安く提供すること」はそうではなく、仕組みによりコストを下げ他者より優位なモデルを構築しその分を安い価格にできるので、先にコスト低下がある。コストを下げる仕組みの典型はスケールメリットですが、それ以外にも中間業者をなくしバリューチェーンをシンプルにすることや、アウトソース、ITの活用などでしょう。あとは自分たちの知見や経験値がたまり、より効率良くできることでのコスト低下も。

価値戦略で思うのは、何が価値かは顧客視点で決まるということで、前述の「強みとは、あくまで顧客が魅力と認識するものが強みである」と同じ話です。マーケティングではターゲット顧客を絞るためにセグメントを切り分けますが、なぜセグメントをするかというと価値の認識が顧客によって変わるから。ある人にはAという切り口が価値になりますが、別の人にはBという切り口が価値で、だからAにニーズがある集団とBにニーズがある集団を別のセグメントにする、そんなイメージ。セグメントを分けるのに年齢や性別で区切ることはよくありますが、本来の理想は価値で分けること。同じ20代男性という性別年齢でも環境や考え方・価値観は人によって異なるのだから、求める価値によってセグメントをすべきという考え方です。

もう1つ、価値戦略で思うことに、価値と価格は密接に関係している点があります。同じ価値でも、価値>値段という不等号が消費者の頭の中で成立していれば価値に対するお得感が出る。つまり、値段に対して価値が上回っている状況。これの典型がユニクロだと思っていて、ユニクロが絶妙なのは、値段の割に品質がそこそこ良い点にあると思っています。同じ価格でももう少し品質が下がればダメだろうし、同じ品質でも値段が高ければ、魅力度は下がるように感じます。

今回のエントリーではあらためて戦略について自分の考えを整理したく、書いてみました。戦略を考えるにあたっては、意思決定があり、何かをやると決めるということは一方でやらないことを決めることでもあります。「戦略とは捨てることである」とも言いますが、実はやることを決めるよりも、何をやらないかを決めることのほうが難しかったりする。あれもこれもやる、というのは結局は戦略なき状況でもあるんですよね。


follow us in feedly このエントリーをはてなブックマークに追加

Facebook Page

最新エントリー

バックナンバー

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...