2014/05/25

「ITビジネスの原理」とネット広告

「ITビジネスの原理」は、タイトルどおり、ITやネットの世界に関することの根本部分がまとまっている本です。

難しいことを複雑に説明することはできても、難しいことをわかりやすい簡単に表現する(そして本質を外さない)のはなかなかできることではありません。それがこの本では、著者の尾原さんが根本のところを平易な書き方で説明されているので、「ITビジネスの原理」がよく理解できます。

■ハイコンテクストがキーワード

本書のキーワードの1つが「ハイコンテクスト」です。おそらく尾原さんが最も言いたかったことです。前職のGoogleを辞め、(Amazonではなく)楽天に転職された理由でもあります。

ハイコンテクストとは、High contextなので意味としては「文脈や背景を高いレベルで共有できていること」です。

例えば、家族や仲の良い友人、共通の趣味を持っている同士では、ハイコンテクストなコミュニケーションが成り立ちます。「これヤバくない?」「そうそう、マジやばい」みたいな会話でも、お互いは相手の言わんとすることをほぼ理解しています。

なぜなら、会話の背景やこれまでの文脈の共通理解があるからです。「これ」が何を指しているかわかっているし、「ヤバい」の使い方なども齟齬は見られない。

もし、文脈を理解していない同士であれば、もっと背景だったり感情や考えを丁寧に説明する必要があります。「この最近発売されたアイスの新しい味を食べてみたんだけど、他の味に比べて自分に合っていて、自分が予想した以上においしかったよ」「そうそう、私もちょうどこないだ同じ味のアイスを食べてみて、本当においしいと思ったよ」、みたいな感じです。

ローコンテクストな関係だと、これくらい前提や背景を伝えないとコミュニケーションが成立しないのです。

■ネット広告とハイコンテクスト

日本のインターネット広告を考えた時に、個人的に思っているのは、今後さらにネット広告市場が大きくなるかどうかのポイントの1つに、ブランディング広告が浸透するかだと思っています。

ブランディング広告というのは、その広告によってユーザーや消費者が持つ商品/サービスへのイメージアップ、興味喚起や購入意向、実際の購入に結びつけるような広告です。

これまでのネットの広告は、いかに広告をクリックしてもらうかが大事と考え、課金指標や目標達成指標もクリック数がベースになっていました。だから、例えばバナー広告はいかに目立たせるか、そしてクリックしてもらうかという方向性でつくられていました。

一方のブランディング広告は、その広告をクリックさせることよりも、広告を見てもらった人にいかに(ポジティブな)印象を残せるかにフォーカスしています。表現方法も、クリック重視のつくりとは一線を画すものです。



個人的に思っているのは、ブランディング広告というのは、ハイコンテクストな世界を目指すものなのではないかなということです。その商品/サービス、あるいはブランドが目指す世界に、消費者にも共感してもらうためには、ある程度の文脈や背景を共有していないと、難しいように思うからです。

やや極端に言えば、「この最近発売されたアイスの新しい味を食べてみたんだけど、他の味に比べて自分に合っていて、あなたが予想した以上においしいですよ」とわかりやすく訴求して、その場でクリックをしてもらうのがクリック重視の広告。

一方、(共通の文脈があるので)「これヤバくない?」と言うだけに留めるようなブランディング広告。あるいは、「これヤバくない?」と言うだけでわかってもらえるようなハイコンテクストな関係性を築くことを目指すのがブランディング広告。

先ほど、日本のネット広告においてブランディング広告が浸透するか、と書きました。別の表現をすれば、ハイコンテクストなネット広告がカギを握っているのではないかなと。

なお、ローコンテクストとハイコンテクストのどちらが優れているかの優劣はなく、どちらも存在するし(共存し)、これからもなくならないだろうと思います。だからこそ、ネット広告においては(ネット広告に限らずですが)、コンテクストがハイなのかローなのかを意識して、広告によって何を目指すのかをはっきりさせる設計が大事なのかなと思っています。




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