2015/09/22

Google X 統括のアストロ・テラー氏が説く 「早めに失敗すること」 の大切さ




2015年9月に、都内で 「2030年の都市の未来像を語る」 シンポジウムが開催されました。


Google X の統括者が講演


基調講演に登壇したのがアストロ・テラー氏でした。同氏は、グーグルで自動運転車などの新規事業を開発中の研究機関 「Google X (Google X Lab) 」 を統括しています (2015年9月現在) 。

 「Google X」 統括のアストロ・テラー氏、都市の未来像について講演 - INTERNET Watch

この記事で、テラー氏のプロフィールは次のように紹介されています。

Google X の統括者であり、同組織において “ムーンショット (アポロ計画の月面着陸に匹敵するほどの壮大な挑戦や課題) 号艦長” という肩書も持つテラー氏。

機械学習を用いた投資マネジメントや、ウェアラブルデバイスを利用した身体モニタリングを行なうビジネスなどを起業するなど、科学者や発明家、起業家などの側面に加えて、小説や脚本の執筆を行なうなど、多彩な活動を展開している。


実際に試して失敗する


シンポジウムの中でテラー氏は 「早めに失敗する」 ことの大切さを強調しました。興味深かったので、以下に同じく INTERNET Watch の記事から引用します。

もう1つ重要なこととして、「できるだけ現実の世界に出て行って試すこと」 を挙げた。

「学習して早く改善するには、実際に経験することです。オフィスの中で頭をかきながら『世の中はこうだろう』と想像するだけでは無理があります。Google X が行っている活動で言えば、5~6年前は、自動運転車や空飛ぶ風力発電機、スマートコンタクトレンズのベータテストなどは無理だと思われていました。ところが我々は、すでにこれらを世の中に出して試しています。そして大いに失敗することによって、そこから学べるわけです。学びを活かして、さらに改善する、これを繰り返していくことが大事です。」

テラー氏は、都市についても 「テストをして失敗し、そこからフィードバックを得る」 というサイクルを行なうべきだと語った。

「都市の将来を完全に予測できる人はいません。専門家がある程度の予測を行なうことはできますが、絶対とは言えない。それを考える唯一の方法は、試してみることです。失敗はできるだけ早期に起こったほうがコストがかからないので、『失敗してもいいのだ』という環境を作ることが大事です。また、テストを行ったときに、問題を早く見つけた人に報酬を与えることも必要です。」

テラー氏は 「実際に試して失敗すること」 の大切さについて言及した。

「失敗には、良い失敗と悪い失敗の2種類があります。かなりの金額を使ってから起こる失敗が悪い失敗です。創造性を持ち、予防策としてたくさんの“良い”失敗をできるだけ早く経験することが大事。」


良い失敗


テラー氏の失敗を重視するコメントを読んで思ったのは、ポイントは2つあるということでした。

1つ目は、失敗は全て悪いことではなく、「良い失敗」 と 「悪い失敗」 があると認識することです。記事内のテラー氏の指摘から、「良い失敗」 の特徴は次の通りです。

  • できるだけ早い段階で起こる失敗。小さな失敗
  • 失敗から学びがある。学びを次に活かせる

悪い失敗とはこの2つの裏返しです。かなりの金額を使って後から起こる失敗。失敗から何も得るものがなく次につながらないものです。


失敗が受け入れられる環境


テラー氏が述べているように 「失敗してもいい」 という環境を用意することも重要です。何かを始める前に失敗してもいいと思えることで、失敗を恐れずチャレンジすることができるからです。

そのような環境にするためには、評価基準を変えていく必要があります。安全運転をするだけの人ではなく、リスクに挑戦する人や失敗にくじけず次の成功に向けてチャレンジし続ける人が高い評価を受けるべきです。

失敗が許容されている環境では、早期の段階での失敗が発見されやすいと言えるでしょう。また、難しいことや新しいことに挑戦する土壌もつくられます。失敗しないということは、チャレンジしていないことと同じです。


失敗から何を学ぶか


ポイントの2つ目は、失敗から何を学ぶかです。失敗を単に失敗で終わらせるのか、それとも、失敗から何を学べるかが、失敗の次への分岐点になります。

失敗が結末になってそこから何も生まないのが前者であり、後者は失敗をあくまで成功への1つのプロセスと考えます。後者について別の見方をすれば、失敗が起こった時点ではまだその失敗は、悪い失敗にもなり得るし、良い失敗にもすることもできます。

つまり、良い失敗にできるかどうかは、失敗後の本人や当事者たち次第なのです。

失敗の受け取り方や、そこから何を学んだか。それらを経験として蓄積し、(失敗という) 具体例を抽象化し応用が効く知識として保存する。

自分たちのスタンス、失敗の評価、学んだことを次にどう活かしたか。失敗後の行動次第で、その失敗は良いものにも悪いものにもなる可能性を秘めているのです。


最後に


失敗やミスをすると、その瞬間は自分に対して嫌悪感であったり、すぐには肯定的になれないものです。誰もがそうした経験をしています。

そこで失敗に目をつむったままで終わるのか、その失敗を自分の 「資産」 にできるか。テラー氏の講演内容で語られたことを見ると、この差は一見すると紙一重なのかもしれません。ただ、その積み重ねはやがて大きな違いになるでしょう。

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多田 翼 (書いた人)