2013/12/22

P&Gの事例から考えるマーケティングリサーチャーとしての自分の役割

Harvard Business Review に、P&G が全社的にどのようにデータを活用しているかが紹介されていました。How P&G Presents Data to Decision-Makers - Harvard Business Review

■ What だけではなく Why と How までいけるか

記事のポイントとしては、グローバルで統一されたデータの閲覧システム「Decision Cockpit」を共有しており、P&G 社内からはどこからでもアクセスができるようになっていること。データから「今の状況」をより早くつかみ、意思決定と次のアクションを決めることに集中していることが書かれていました。

記事の中で印象深かったのが、以下でした。
The real goal is to help them understand quickly what’s going on in the business, and to decide what to do about it. P&G’s CIO Filippo Passerini calls it “getting beyond the what to the why and the how.” If decision-makers have to spend too much time with the data figuring out what has happened in an important area of operations, they may never get to why it happened, or how to address the issue.
特に、「getting beyond the what to the why and the how」の部分。つまり、“What” (何が起きたか) だけではなく、その先の ”Why”, “How” までいくこと。

データを集計し現状などの事実を読み取れると、自分でもよく陥りがちなのは、ここまでで分析プロセスが完了したように感じてしまうことです。上記の P&G の話で言うと、この段階では What でしかないんですよね。

大事なのはその先。

データから読み取った事実からインサイトとして何を得るか、そして、そのインサイトは課題に対して意思決定をサポートするものでなければいけません。

理想はインサイトが意思決定の先の実行までつながること。インサイトという Why / How が机上の空論ではなく、意思決定とアクションに結びついて初めてデータ集計に意味があると思っています。

■マーケティングリサーチの位置づけと自分の役割

自分の仕事にも当てはまります。今の私のポジションは Marketing Research Manager なので、自分の責任の1つはマーケティング課題を解決するような情報やインサイトを出すことです。

あらためて考えると、マーケティングとマーケティングリサーチの関係は、まずマーケティン目的があり、その目的を達成するには超えなければいけないマーケ課題があります。その課題を解決するために、データからわかる事実とインサイトを得ることがマーケティングリサーチの目的です。

マーケティング目的 → マーケティング課題 = マーケティングリサーチ目的

例としてこんなケース。あるサービスには1度は登録したけど、その後は使っていないという「休眠ユーザー」が一定数いるとします。

マーケティング目的を「サービスを使ってくれるユーザーを増やす、特に休眠ユーザーにまた戻ってきてもらうこと」とした場合、マーケティング課題は、休眠ユーザーはどういう人で、なぜ休眠状態になったのかを把握し、それを基に再びサービス利用者になってもらうよう休眠ユーザーにどんなマーケティングアクションをするかになります。

このマーケ課題を解決することがマーケティングリサーチ目的となり、①休眠ユーザーの理解、②なぜ休眠ユーザーは休眠状態になったのか、③休眠ユーザーに何をすればよいかの提言、の3つをリサーチから明らかにすることです。①②でファクトを突き止め、③で意思決定/アクションへのインサイトを出す。

リサーチはあくまでマーケ目的とマーケ課題があり、それに対する意思決定とアクションへの貢献ができるかどうか。Harvard Business Review の記事は、あらためて自分の役割を見つめる機会になりました。


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多田 翼 (書いた人)


外資系 IT 会社にて 「シニア マーケティングリサーチ マネージャー」 (LinkedIn) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身。学生時代は京都。家族4人で東京23区内に在住、2人の子どもの父親。気分転換は毎朝1時間のランニング。

書いている内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。