2012/07/07

勝ち続ける意志力:目的は「勝つこと」ではなく「成長し続けること」

最近読んだ本でよかったのが「勝ち続ける意志力」でした。サブタイトルに世界一プロ・ゲーマーの「仕事術」とあるように、著者の梅原大悟氏はプロ格闘ゲーマー。ちなみに、ギネスで「最も長く賞金を稼いでいるプロ・ゲーマー」と認定されています。なお、梅原氏の得意とするゲームは対戦型格闘ゲーム。ゲームセンターにあるストリートファイターとかです。



■「勝つこと」と「勝ち続けること」は根本的に違う

本書のタイトルは「勝ち続ける意志力」で、ポイントは勝ち続けることに重きを置いている点です。冒頭のプロローグで次のように書かれています。
「結果を出す」ことと、「結果を出し続ける」ことは根本的に性質が異なる。勝つことに執着している人間は、勝ち続けることができない。

正直、いきなり先制パンチを食らった感じでした。なぜなら結果を出すことを1つずつ積み重ねることで結果を出し続けられる、と思っていたから。結果を出すことの延長線上が結果を出し続けられるという認識が、梅原氏によれば2つは根本的に異なるもの、という。読む前の自分の考えが否定されたわけですが、こういう本は新しい発見につながるので興味が出て、前のめりに読むことができるんですよね。

■「勝ち続ける意志力」とは

「勝ち続ける意志力」とは何か。結論から先に言うと、勝ち続ける意志力とは、勝つことではなく「自分が成長し続けること」を目的とすることです。勝つ、あるいは結果を出すというのは一地点でのことにすぎず、成長し続けるというのはその意思や向上心がある限りは終わりなきもの。梅原氏の言葉がとても印象的でした。
僕にとって生きることとは、チャレンジし続けること、成長し続けることだ。成長を諦めて惰性で過ごす姿は、生きているとはいえ生き生きしているとは言えない

ある意味、本書での主張はチャンピオンになることよりも、チャンピオンベルトの防衛について書かれたもの。ただし、「防衛」というその言葉にはどこかベルトを守る、チャンピオンというポジションを守るというニュアンスが含まれますが、本書を読み進めていくと梅原氏には「守る」という意識はほとんどないことがわかります。成長し続けることが目的と断言する梅原氏にとっては、生きることとはチャレンジし続けることなのです。

象徴的なエピソードが、ゲーム大会で優勝した翌日ほどゲームセンターに行くようにしている、というもの。理由は、チャンピオンという満足感をあえて払拭するため。満足すると成長は止まる、チャンピオンに満足している自分自身を受けいれたくないから。だからチャンピオンになった翌日ほどゲームセンターで閉店まで対戦を繰り返すそうです。

すると、対戦では勝ったり負けたりする。チャンピオンが常に勝てるとは限らない、チャンピオンになることよりも、勝ち続けること・成長し続けることに価値がある、翌日にあえてゲームセンターに足を運ぶことでそのことをあらためて思い知り慢心が消え、またチャレンジャーの気持ちを持てるといいます。世界大会優勝後の帰国翌日は、時差や移動による疲れもあるにもかかわらず、翌日はゲームセンターに行く。まさに「勝ち続ける意志力」だと思いました。

■その努力は10年続けられるか?

成長し続けるためにはどうすればよいか、梅原氏の考えはシンプルで、変わり続けること、チャレンジし続けることだと言います。そして努力すること。

どれくらい努力をすればいいのか。これに対する梅原氏の考え方がユニークでした。自分にとって努力の適量を考える時に「その努力は10年続けられるものなのか?」と自問自答するそうです。10年継続できる努力というのが、甘すぎず厳しすぎるわけではないちょうどいいものだそうです。

もう1つおもしろかったのが、「自分を痛めつけるだけの努力はしてはいけない」。自身の経験上、自分を痛めつけることと、努力することは全然違うと言います。あと、正しい努力とは変化することと書かれています。成長し続けるためには変化・チャレンジし続けるとあって、そこと努力は1つのセットなのだと思います。

■成長し続けるという価値観

生きる目的は成長し続けるという考え方は、人生における価値観とも言え、万人受けするものではないと思います。成長のためにはチャレンジし続けないといけないし、その分失敗も多く経験するはず。失敗は誰にとっても目を背けたくなるものでしょう。一方で失敗しないということはチャレンジしていないとも言えると思っているので、失敗するということは前進している指標だと理解しています。

本書を一気に読めたは、成長し続けるという価値観が自分の持っている価値観の1つのそのままだからです。自分自身の人生を生きる上での価値観は3つくらい明確に持つようにしていて、その1つが「いつまでも成長すること」だったりします。年齢を重ねると肉体的な衰えも起こると思いますが、経験や考え方、精神的なものも含めトータルで、昨日より今日、今日より明日で成長していたい、そんな価値観です。

■背水の逆転劇

最後に、梅原氏のある大会での対戦動画を載せておきます。これは「背水の逆転劇」というもので、ストリートファイターをやったことがある方にはわかると思いますが、すごいの一言です。梅原氏のケンと対戦相手であるジャスティン・ウォンの春麗の試合で、最後、ケンの体力ゲージはもう1メモリしかないところまで追いつめられる。こうなるといわゆる「削り」をされてもKO負けする状況。その状況で春麗は「鳳翼扇」(連続でキックを繰り出すスーパーアーツ)という技を出してきました。

ここからが「背水の逆転劇」の始まりで、ケンは春麗の必殺技を全てブロッキングします。ちなみに、これ、超難易度の高い技術のようで、相手の必殺技の発動エフェクトを見てからのブロッキング猶予時間はわずか60分の1秒。梅原氏はこのブロッキングで春麗の蹴りを全て完璧にブロックします。その直後、梅原氏が操るケンは飛び蹴り、足払い、昇竜拳、そしてスーパーアーツの疾風迅雷脚を叩き込んで逆転KO。鮮やかすぎる逆転劇。

1分くらいの動画なのでぜひ。背水の逆転劇が始まるハイライトは20秒くらいからです。

Evo moment #37|YouTube



※参考情報
梅原大悟|Wikipedia
Evo moment #37|YouTube


勝ち続ける意志力 (小学館101新書)
梅原 大吾
小学館
売り上げランキング: 181


follow us in feedly このエントリーをはてなブックマークに追加

Facebook Page

最新エントリー

バックナンバー

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...