投稿日 2017/04/17

AI 広告エージェンシーの Albert 。広告キャンペーンは人ではなく AI に任せる時代に


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ランジェリーブランドのコサベラが、デジタル広告の代理店を人から AI (人工知能) に変えて広告キャンペーンをしました。以下は AdExchanger の記事です (2017年3月10日) 。

AI And The Agency: Lingerie Brand Cosabella Replaced Its Agency With Artificial Intelligence | AdExchanger


AI の広告エージェンシーとは Albert です。

AI の Albert がやるのは、ターゲティングやキーワードの抽出、チャネルごとの投下予算や入札単価の設定です。人が指定するのは、エリア・チャネル・ターゲット・予算・KPI などのハイレベルでの条件設定です。


AI エージェント Albert のパフォーマンス


Albert がキャンペーン運用を担当した3ヶ月間は、以下の実績でした。 AdExchanger の同記事には次のような結果が記載されていました。英語部分は記事からの引用です。

  • ROI が 336% 向上 (注: 記事では何と比べて向上かは不明)
  • 2016年 Q4 は前年同期比で売上が 155% 増加、商取引が 1,500 増え、そのうち 30% が新規顧客から
  • 開始1ヶ月でコストが 12% 削減され、費用対効果が 50% 向上 (注: 記事では何と比べて削減かは不明)
  • Facebook 広告は開始1ヶ月で費用対効果は 565% 向上。3ヶ月後には Facebook からのコンバージョンが 2000% 増加 (注: 記事では何と比べて向上かは不明)

After three months with Albert, Cosabella saw a 336% increase in return on ad spend. In Q4, revenues increased 155% and the brand saw 1,500 more transactions year over year, 30% of which came from new customers. In Albert’s first month, Cosabella decreased costs by 12% by increasing returns by 50%.

On Facebook, return on ad spend was up 565% within Albert’s first month. By the end of month three, Albert had increased conversions on Facebook by 2,000%.

デジタル広告のキャンペーン運用を AI である Albert に任せた結果、人がやることは大幅に減ったとのことです。担当チームがキャンペーン状況をチェックするのは、週に1, 2回1時間未満程度になったようです。記事からの引用です。

Connell checks the Albert dashboard every morning, but because the tool self-optimizes, her team only must check on campaigns once or twice a week. It takes them less than an hour to produce graphics and copy and other materials for a campaign.


Albert は言われたことだけではなく、学習したことから自ら提案も


興味深いのは、Albert は人に言われたことだけではなく、自らが学習したことを人に報告をしていること、さらに学習を根拠により広告効果が得られるような提案をしていることです。

広告内にモデルなどの人が入っているものは、商品だけの広告素材に比べて 50% パフォーマンスが良いことを Albert は発見し、人間に伝えたそうです。予算のシフトやターゲットセグメントについての提案をし、新しい広告素材を自らがつくったとのことです。


Albert の価値


AI である Albert の特徴を整理すると、次のようになります。

  • 人がやるには煩雑なデジタル広告キャンペーン運用を代行してくれる
  • 学習から、人がやるよりも広告効果が高い運用をする
  • これらを毎日24時間、休み無しに対応する

Albert の価値は、高いパフォーマンスをやってくれるだけではありません。人が必ずしもやる必要がないものを Albert に任せられるので、その分、人は別のことをやれるようになります。

Albert の存在をどう見るかです。自分たちのこれまでの仕事を奪う敵と見なすか、それとも、自分たちのやることを減らしてくれ、より創造的なことをやるための味方と見るかです。

今後、広告やマーケティングの世界では、プログラマティックと言われる自動化と効率化の流れは加速するでしょう。Albert の事例はその1つです。

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。