2012/03/20

できない社員が一気に伸びる 「行動科学マネジメント」 はゲーミフィケーションでもあった


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組織や部下のマネジメント方法の1つに、WILL PM が提唱する 「行動科学マネジメント」 というものがあります。

今回のエントリーは、行動科学マネジメントをご紹介します。


行動科学マネジメントとは


名前に行動科学とあるように、行動科学マネジメントは人の行動そのものに焦点を当てます。行動をより具体的に分解して目標を達成させる手法です。結果を生むプロセスに目を向けます。

ベースとなる考え方は 「結果とは行動の積み重ねによって生まれる『産物』である」 です。行動科学マネジメントは3つのステップで成り立っています。

  1. 行動が起こせるレベルまで分解する
  2. チェックリストをつくる
  3. 行動することに 「快」 を与える (例: ほめる)

行動科学マネジメントは、人が行動を起こせない要因は2つに分解できるとします。

  • やり方そのものがわからない
  • やり方はわかっているが、継続の仕方がわからない

行動科学マネジメントでは行動を分析し、その1つ1つを順番にこなしていくことを徹底します。分解をするポイントは、行動を起こせる具体的なレベルまで落とすことです。

行動を分解し、それぞれに目標を設定します。

目標は、目的を達成するための達成事項 (マイルストーン) です。目標というスモールゴールを1つずつクリアしていくことで、本来のゴール (目的) に近づいていきます。


引用:石田淳の行動科学マネジメント講座|株式会社日立ソリューションズ


行動科学マネジメントを個人向けに使う


前述の行動科学マネジメントの3ステップを自分なりに解釈すると、次のようになります。

  1. 「目的」 を達成するために、行動が起こせる具体的な 「目標」 を設定する (分解する)
  2. 目標をチェックリストにし、リストに沿って行動を起こす
  3. 行動して達成したことにインセンティブ (快) を与える

この考え方は、部下や組織に適用できるだけではなく、自分自身にも使えると思っています。例えば、ダイエットをする、勉強を開始する、続ける、子どもへの教育に応用できそうです。

私自身よくやるのは、仕事で手をつける気分にならないタスクをやる場合です。細かい ToDo まで分解し、タスクの1つ目だけでも手をつけてみることです。

1つ目のタスクは、着手すればすぐに終わる程度のものです。例えば、必要な資料を取りに行く、作業フォルダをつくる、企画書や報告書の構成をメモ書きする、などです。

半歩にも満たないような1つ目に取り組むと、少しの達成感が得られます。1つ目のタスクで、上記の3つのステップができたことを意味します。仕事では、そのまま次のタスクに入ることができます (次の3ステップに入った状態) 。


ゲーミフィケーションとは


行動科学マネジメントの以下の3ステップは、応用ができます。

  1. 行動できるように分解する
  2. 分解したタスクを並べ、順番に勧める
  3. 行動して達成したことにインセンティブを与える

この考え方は、ゲーミフィケーションに共通しています。

ゲーミフィケーションとは、ゲームのメカニズムを使ってユーザーのモチベーションを高めることです。時間を忘れてゲームに夢中になるメカニズムを、様々なものに応用しようという考え方です。

ゲーミフィケーションについては以前のエントリーでも取り上げています。

参考:なぜゲームにハマるのかを考えるのがゲーミフィケーション理解のコツだったりする


「釣り★スタ」 のゲーム設計


例えば、GREE には 「釣り★スタ」 というゲームがあります。ゲームを開始すると、案内役のキャラクターが最初に釣りを体験させてくれます。メッセージに沿って進めていくと、このゲームの基本的な遊び方をはじめに体験できる設計です。

ゲームを進めていくと、新しい釣り場で釣りができるようになります。新しい釣り場になると、今まで使っていた釣り具では魚を釣ることが難しくなります。ポイントを稼ぎ、いい釣り具を獲得できれば今まで釣れなかった魚を釣ることができます。

そして、また次の釣り場で新しい魚に挑戦するというゲームサイクルです。

釣りをする → 魚が釣れる (快)  →難易度が上がった釣り場で釣りをする →魚が釣れる (快)  → … 、というサイクルが基本的なゲーム設計です。


ゲーミフィケーションを支えるゲームサイクル


ゲーミフィケーションのサイクルを一般化すると、次の図のようになります。


引用:書籍 ソーシャルゲームはなぜハマるのか - ゲーミフィケーションが変える顧客満足

  • 目的と目標の設定
  • 行動の選択 (自律的に選択する) 
  • 達成する

これを 「釣り★スタ」 で見てみます。

初めてゲームをするとき、まずはゲーム内での釣りゲームを体感するという1つ目のサイクルが与えられます。目的は魚を釣ること、目標は魚そのものです。

案内役のゲーム内のキャラクター (ナミ) は、どうすれば釣りができるかという 「行動の選択」 をわかりやすく提示します。

1回目の釣りは簡単に釣れるように設定してあり、魚を釣るという目的達成を体感できます。


ゲームサイクルと行動科学マネジメント


このゲームサイクルと前述の行動科学マネジメントを見比べると、その構図は似ています。

行動科学マネジメントでは、達成すべき目的を分解し行動を起こしやすくします。達成をチェックリストで管理し、行動したことに褒めるなどの快を与えます。

このサイクルを繰り返し、小さな目的をクリアし続け、最終的な目的を達成します。

ゲーミフィケーションを単にものごとをゲーム化すると捉えると、表面的な理解にとどまってしまいます。

なぜゲームに夢中になるか仕組みを構造的に理解すれば、他にも応用できます。

行動の目的がまずあり、それに対してどう行動を起こさせるかです。起こした行動を評価しフィードバックし、次の行動と目的にスムーズにつなげるか、このサイクルをどう回し続けるかです。

他人から強制的に回させるのではなく、本人が自発的に行動を起こしていくサイクルが望ましいです。つまり、外発的動機付けではなく、いかに内発的動機付けを持ってもらうかです。ビジネスでのマネジメントを考える上で欠かせない視点です。


ソーシャルゲームのフレームワーク


最後に、書籍 ソーシャルゲームはなぜハマるのか - ゲーミフィケーションが変える顧客満足 に載っていた、ソーシャルゲームのフレームワークの図をご紹介します。

行動マネジメントで、色々と応用できるフレームワークです。


引用:ソーシャルゲームはなぜハマるのか - 深田浩嗣氏インタビュー|NIKKEI STYLE (2012年3月5日)


※ 参考情報




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多田 翼 (書いた人)


外資系 IT 会社にてマーケティングリサーチ マネージャー (LinkedIn) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身。学生時代は京都。家族4人で東京23区内に在住、2人の子どもの父親。気分転換は毎朝 8km のランニングとピアノ。

書いている内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。