2014/06/14

ネット広告の効果指標の近未来 (2014年現在)




広告ビジネス次の10年 という本に、近未来予測 (第七章) がいくつか書かれています。



態度変容がネット広告効果の指標になる


広告の近未来予測の1つは、ネット広告の効果指標に 「認知」 や 「態度変容」 が加わることでした。以下は本書からの引用です。

動画広告の普及にともない 「認知」 「態度変容」 といった指標がネット広告の効果指標として浸透していくことだ。ウェブ上で直接購入を促すことだけがゴールではない商品を扱う広告主が、広告の認知、ブランドの認知、そして購入意向などの態度変容効果に着目して、動画広告を本格的に活用していく。

(中略)

EC サイトなどのビジネスゴールがネット上にある場合はよいが、実店舗での販売が主力の広告主にとって、ネット広告活用における効果指標をどう定義するのかは大きな課題であったが、今年からネット広告による 「認知」 「態度変容」 の効果を測る流れが加速するだろう。

ネット広告に限らず、広告を出すことの目的はその商品やサービスが売れることです。ただ、広告を出稿し売上アップまでプロセスについても、広告の効果があったかどうかをネット広告でも見ないといけない、ということです。

具体的には、広告によって、その商品を知ってもらう (認知) 、興味を持ってもらう、商品やサービスの特徴を理解してもらう、商品/サービスのことを好きになってもらう (好感度) 、などです。

認知 - 興味 - 商品理解 - 好感 - 購入意向という人の気持ちや意識の変化を、広告によって引き起こせたかを指標として見ていきます。

ネット広告の世界では、これまで、広告をいかにクリックしてもらえるか、クリックした人が資料請求や加入申込みをしてくれるかというコンバージョンを、広告の効果があるかないかの判断基準としてきました。

本書への近未来予測は、クリックなどのコンバージョンだけではなく、クリック重視から態度変容へというものです。


態度変容をどうやって測るのか


態度変容が広告効果測定指標になっていくという本書での説明は、2ページにわたって書かれています。

読んで物足りなかったのは、認知や態度変容をどうやって測っていくのか、仮に測れたとしてこれらの効果指標をどう活用するかが、具体的には書かれていなかったことでした。

前者の認知や態度変容をどうやって測るかについてです。

態度変容は、人の気持ちや意識の内面の変化です。知るためにはその人に直接聞き出す必要があります。広告のクリック数であれば、ウェブ上にクリックというログが残るのでログを集計すればいいのですが、態度変容などの意識面についてはそう単純ではないのです。

方法は、広告を見た人にアンケートをかけて直接聞くやり方です。考えるに、広告に関するアンケートとして、商品やサービスを知っているかの認知や、興味関心、購入意向までを聞きます。比較対象として、広告を見ない人にも同じ内容を聞いておき、見た人 vs 見せなかった人で比較分析をします。

比較者を違う設定にすれば、同じ人に対して広告を見る前と見た後の2回アンケートで聞いておき、見た前後で比較するやり方もできます。


比較設計の注意点


専門的な話になりますが、前者の 「見た人 vs 見せなかった人」 について、見せなかった人には注意が必要です。というのは、正確に比較するためには、本来その広告を見るであろう人に対して、何かしらの方法であえて見せないことによって (あえて別の広告を見せる) 、「見せなかった人」 とします。

つまり、広告配信のターゲットは全く同じ条件にし、見た人と見せない人で広告接触以外は同質なグループをつくります。ランダムに見せる人か見せない人に振り分け、A / B テストのように理論的にはつくることができます。

同じ人に2回アンケートをし、広告接触前後で比較するやり方も注意が必要です。1回目と2回目のアンケート間隔が短すぎると、1回目のアンケートが記憶に残っていて、2回目のアンケート回答に影響を及ぼす可能性があります (専門的には調査バイアスと言います) 。

例えば、1回目のアンケートで、◯◯ を知っているかを回答することで、アンケートからその商品を知ってしまう可能性があります。2回目アンケートで 「知っている」 と回答されても、広告を見て商品認知をしたのか、単に1回目のアンケートで知っただけなのかがわからなくなるのです。


広告による態度変容をどう活用するか


広告による認知や態度変容が測れたとしても、その結果をどう活用するかも大事です。

例えば、コスト換算して活用するやり方です。認知者1人を獲得するのに必要なコストを出して、判断基準とします。認知だけではなく、興味や商品理解、買いたいと思わせる人を1人獲得するためのコストを比較する考え方です。

ネット広告でも静止画と動画広告で比較や、動画広告でも動画再生前に流す形式と、ウェブページの右上のバナー内で流す形式では、見る人にとってのインパクトも違うはずなので、費用対効果が異なるのかという視点です。

認知を効果的に獲得するのはこのやり方、好感度を上げる方法は別のやり方のような判断ができるようになるかもしれません。

ネット広告でも、パソコン広告とスマホ広告では効果も違うでしょうし、ネット以外にも視野を広げ、テレビ広告とネット広告の比較もできるようになるかもしれません。

「ネット広告の効果指標に認知や態度変容が加わる」 の先がどうなっていくのか、興味がある世界です。



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多田 翼 (書いた人)


外資系 IT 会社にてマーケティングリサーチ マネージャー (LinkedIn) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身。学生時代は京都。家族4人で東京23区内に在住、2人の子どもの父親。気分転換は毎朝 8km のランニングとピアノ。

書いている内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。