2014/10/05

Cookie 問題を解決する Facebook のマルチデバイス広告測定




フェイスブックがおもしろい取り組みを進めています。

参考:Facebook 、買収した Atlas 広告プラットフォームを再ローンチ―マルチデバイス、オフラインのセールスもモニタ - TechCrunch (2014年9月30日)


Cookie 問題


オンラインでのユーザーを計測するためには、これまでは Cookie を使う手法が一般的でした。ユーザーに対して Cookie をブラウザごとに配布し、広告が配信された数、クリック数、A という広告に接触した人に B という広告を出す (リマーケティング) などに使われます。

ただし、Cookie には課題もあります。例えば、以下です。

  • Cookie が削除される
  • ユーザーのカウントが UU (ユニークユーザー) ではなく厳密にはユニークブラウザ
  • スマホなどのモバイルではアプリごとに配布され、異なるアプリ間で Cookie 情報が共有されない
  • デバイス間の Cookie 情報が共有されない

Cookie は、スマホ以前のパソコン時代の設計思想で、これからのマルチデバイス環境には適さなくなっていました。


Facebook のアプローチ


こうした状況に対してフェイスブックのアプローチは、Cookie よりも優れているように見えます。フェイスブックがやろうとしているのは、Facebook ID を使ってユーザーをトラッキングし、測定することです。

上記の TechCrunch の記事からの引用です。

Facebook は新しいアプローチを 「人ベースのマーケティング」 と呼んでいる。広告主は消費者の行動をそれぞれの個人として複数のプラットフォーム上で追跡できる。つまり、あるユーザーが、スマートフォンで広告を見てからノートパソコンからその商品を買ったなどという情報を Atlas は広告主に提供できるようだ。

広告主が自社広告を Atlas (広告ネットワーク) から出稿し配信すれば、マルチデバイスでの広告接触や、さらにはオフラインまでの購買行動までトラッキングができるようです。詳細が書かれていなかったのですが、仕組みがどうなっているのかは興味深いです。

フェイスブックというオンラインのプラットフォームがあり、プラットフォーム上でユーザーを識別する Facebook ID を使います。Facebook ID が Cookie の問題 (削除・ブラウザ間/アプリ間で連携しない・デバイス間で連携しない) を解決することを期待できます。

さらに、店頭などのオフラインの購買行動もモニタできているようです。

オフラインでの購買行動の計測には、予想するにオフラインのユーザー情報 (登録メールアドレスや電話番号) とフェイスブック内のユーザー情報をひも付けて使っているのではないかと思います。

フェイスブックは、ユーザー情報の宝庫です。ユーザー自らが性別や年齢、居住エリアや興味関心を入力してくれます。

オンラインやオフラインでのユーザー行動が、Atlas を通して広告主にフィードバックされるメリットは大きいです。


Cookie 問題を Facebook は解決できるか


フェイスブックのマルチデバイス広告トラッキングでできるようになるのは、クロススクリーンでの広告計測です。

Cookie での計測は、デバイスごと、もっと言えばブラウザやアプリ内での閉じた計測でした。これが Facebook ID ではユーザーベースになります。

例えば、ある広告キャンペーンをマルチデバイス向けに配信した時に、スマホだけで接触したリーチ、スマホとパソコンの両方での接触リーチなどがわかり、それぞれの接触者が、その後にどういう購買行動を取ったかもわかります。

もう1つ、Atlas を使ってできるとおもしろいと思うのは、マルチデバイス広告接触による広告効果測定です。

Atlas 上での広告配信が Facebook ID でできるとすると、次のようなやり方が可能です。

  • 効果測定をしたい広告接触グループ A と、比較対照用の全く関係ない広告接触グループ B にランダムに分ける。グループ B はコントロールグループ
  • A と B に対して広告接触後に、広告やその商品/ブランドの認知・興味・商品イメージ等をアンケートで聴取
  • 比較対照であるグループ B に対して、広告接触グループ A のアップリフトが確認できれば、広告接触による態度変容の効果があったと言える


最後に


Facebook ID を使うのでプライバシー観点での制約が気になります。フェイスブックのマルチデバイス広告測定は、Cookie 問題や制約を解決するアプローチとして期待しています。

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多田 翼 (書いた人)


外資系 IT 会社にてマーケティングリサーチ マネージャー (LinkedIn) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身。学生時代は京都。家族4人で東京23区内に在住、2人の子どもの父親。気分転換は毎朝 8km のランニングとピアノ。

書いている内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。