2015/12/19

書評: 論点思考 (内田和成)




論点思考 という本をご紹介します。



そもそも問題設定は正しいか


本書の問題提起は、問題解決の前提としてそもそもの問題設定は正しいか、という視点です。以下は本書からの引用です。

問題解決はビジネスで成果をあげる際にとても重要なものだが、暗黙の前提として 「正しい問題」 を解いていることを想定している。

しかし、考えてみてほしい。あなたがいま解いている問題、あるいは、これから解こうとしている問題は正しいのか、他に解くべき問題があるのではないかと。

ここを一度考えてみようというのが本書の狙いの一つでもある。


起こったことの現象は論点ではない


読んで印象に残ったのは 「論点は、一見してわかる単なる問題点 (現象や観察事実) ではない」 と書かれていたことでした。

本書の論点の定義は 「解くべき問題」 です。

目の前の事象は論点にならないというのは、現象はあくまで結果ということです。解くべき課題設定かどうかという視点で見ると、論点にはなり得ません。


論点の具体例


本書で説明されていた具体例は、会社に不法に侵入者が入り盗難被害にあったことでした。会社が被害にあったことは問題ではあるものの、これ自体は事象であり解くべき論点 (解決すべき問題) ではありません。

では何が論点になるのでしょうか。本書では論点候補として4つ挙げられています。

  • 不法侵入や盗難を防げなかった → 防犯体制をどう強化するか
  • 会社の物品盗難による損害や今後のリスク → 損失額や、盗難に伴ってさらに発生する被害リスクをどう評価するか
  • 侵入者や盗難発生の社内報告が遅れた → 情報共有の仕組みをどうつくるか
  • 盗難被害が報道され会社のイメージが低下 → イメージダウンをどう回復するか


論点にできればアクションが取れる


「会社が盗難に遭った」 では、どう次のアクションを取るかが具体的に考えることはできません。なぜなら、単に発生事象であり、本書でいうところの論点 (解くべき問題) になっていないからです。

上記4点に落とし込めば、具体的に何を検討するべきなのか、そして、それら検討事項のうちどれを対応し、どれの優先順位を下げるのかを考えることができます。


最後に


本書では、問題として捉えてしまいがちな現象や観察事実を、いかに論点にするかについて、著者のやり方や考え方、経験談が具体的に説明されています。

問題解決の前に、そもそも解くべき問題は何かという主題で興味深く読めます。



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多田 翼 (書いた人)


外資系 IT 会社にて 「シニア マーケティングリサーチ マネージャー」 (LinkedIn) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身。学生時代は京都。家族4人で東京23区内に在住、2人の子どもの父親。気分転換は毎朝1時間のランニング。

書いている内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。