2015/12/23

Instagram の提供価値 (2015年時点) - なぜあの人はインスタを使うのか




マーケティングにはバリュープロポジションという考え方があります。日本語にすると提供価値です。


バリュープロポジションとは


価値を実感するのは顧客です。提供する側にとって重要な問いは、商品やサービスはターゲット顧客にとってどのような価値を提供しているかです。

バリュープロポジションの要素は3つあります。この3つが全て成立していることがポイントです。

  • 顧客が求める価値を提供できている
  • その価値は、自社が強みとするものがベースになって実現できている
  • その価値は、競合他社が提供できないもの、もしくは、他社よりも自社のほうが優れている

バリュープロポジションが何を意味するかと言うと、「顧客が選んでくれる理由」 です。

ある商品やサービスを買いたいと思うとき、顧客の頭の中には複数の選択肢があります。その選択肢の中で自社以外の候補が、競合となります。

ここでポイントなのは、競合他社はあくまで顧客の頭の中にあることです。提供する側が想定する競合は、顧客の頭の中の選択肢とは必ずしも一致しません。

顧客が頭の中で選択肢を思い浮かべ、その中から自社の商品やサービスが選ばれる。その理由こそがバリュープロポジションなのです。


Instagram のバリュープロポジション


今年2015年、1つ興味深かったことがありました。自分のまわりの友人が Instagram を使い始めたことです。それまでの2014年に比べて、特に今年は多かったのが印象的でした。

インスタグラムを具体例にして、バリュープロポジションを考えてみます。

インスタグラムの競合は、Line、Facebook、Twitter などのメッセージや SNS となります。加えて、先ほどの 「顧客の頭の中の選択肢が競合」 を当てはめると、スマホの中の他のアプリ (例: ゲーム) 、もっと広げると隙間時間にできることも含まれます。

これらの選択肢の中で、人々はスマホを取り出し、インスタグラムのアプリをタップして使うとすると、そこにはインスタグラムである理由があるわけです。これこそが、インスタグラムのバリュープロポジションになります。

インスタグラムを使い理由、すなわちバリュープロポジションは3つに整理できます。

  • 文字ではなく写真だけを楽しめる
  • インスタグラムでしか見られないコンテンツがある
  • インスタグラムで写真を共有したい、今の気持ちを伝えたい

以下は、それぞれについて書いています。


1. 文字ではなく写真だけを楽しめる


1つ目は、インスタグラムは写真 (と動画) に特化していることです。それによる提供価値は、フィードされるコンテンツには文字情報は最低限しかなく、視覚的に気軽に写真を眺めて楽しめることです。

文字情報ではなく写真で気持ちを伝えることができる、あるいはフォローしている人の気持ちが伝わる。ここに他の SNS にはないインスタグラムの特徴があります。

インスタには、時々なんでもない日常の風景の写真が幻想的に加工されているものがフィードされています。そんな写真にはアップした人のセンスが感じられ、見ているだけで楽しめるものです。こうした体験ができることが、インスタの提供する価値でしょう。


2. Instagram でしか見られないコンテンツがある


2つ目は、インスタでしか見られないコンテンツがあることです。お互いに知っている友人や恋人からの写真であったり、インスタを積極的に使っている芸能人などの有名人からの写真です。

自分自身の肌感覚として、インスタグラムを使う人がまわりに増えるにともない、Facebook で写真だけのアップをするフィードが減ってきたような気がしています。

登録は各 SNS にしているものの、積極的に投稿しているのはインスタグラムだけだと、その人の近況を知るためには、インスタからとなります。

自分の好きなアーティストや芸能人がインスタをよく使っていれば、これもインスタを選ぶ理由になります。

テレビや雑誌などの他では決して見られない、彼ら彼女らの日常の写真もアップされていることもあります。これらのコンテンツを楽しめることもインスタでしかできない体験、すなわち独自の提供価値になります。

インスタの写真を見ていると、最新の流行やファッションについて、参考になる情報が得られるそうです (これはまわりから聞いたことで、私自身の使い方ではないです) 。

行きたい飲食店を探すのにもインスタは使われるようです。従来であればグーグルの検索、食べログなどのレビューサイトでされていたことです。インスタから検索し、お店や料理の写真、レビューを見て、行くかどうかを決めるという使い方です。

流行りやファッションコーディネート、お店の情報。これらがインスタグラムでしか見られないのであれば、これもインスタ独自の提供価値です。


3. Instagram で写真を共有したい、今の気持ちを伝えたい


3つ目は、自分が撮った写真を加工でき、他人に共有できることです。

写真を通して今の気持ちが伝えられることと、見てほしい写真に対して 「いいね」 の評価がもらえるます。撮影 - 加工 - 共有 - フィードバックの全プロセスがインスタグラム内で完結しています。

他の場所ではなく、インスタグラムで共有したいと思えること。他の選択肢ではなく、インスタが選ばれる理由がここにもあるのでしょう。

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多田 翼 (書いた人)


外資系 IT 会社にて 「シニア マーケティングリサーチ マネージャー」 (LinkedIn) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身。学生時代は京都。家族4人で東京23区内に在住、2人の子どもの父親。気分転換は毎朝1時間のランニング。

書いている内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。