投稿日 2010/05/14

情報スクリーニングと情報摂取

私たちのまわりには大量の情報があります。玉石混合の情報が時々刻々と洪水のように流れていきます。



○情報についてのドラッガーの言及

情報についてピーター・ドラッガーは、著書である「ネクスト・ソサエティ」の中で次のように述べています。
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情報を道具として使うようになるや、それが何であり、何のためであり、どのような形であり、いつ得るべきであり、誰から得るべきであるかが問題になる。 (p.110から引用)
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職業上、情報リテラシー(活用能力)を高めたいと思っていますが、どうすればいいのでしょうか。個人的には、情報のインプットとアウトプットの両方をいかに高めるかを日頃から意識したいと思っています。



○読むべき本を判断する

最近読んだ本に、「ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術」(立花隆 文春文庫)があります。その中で著者は、情報が氾濫する中で欠かせないのは、素早い情報スクリーニング術と情報摂取術であるとしています(p.41)。

この本ではそういった考え方から、
・ その本が読む価値があるか否か。読む価値があるとして、どの点においてあるのか
・ いまの自分にとってどういう読みを要求している本かを、素早く見極める
・ それにふさわしい読みを選択する
と書かれています。

なお、ここでいう本には小説のようなページを順に読んでいくものは対象としていません。



○まずは全体像をつかむ

では、どのように本を読んでいけばいいのでしょうか。著者が主張するのは、まずは本の構造をつかむことです。その本が自分にとって、精読に値するかどうか、値するとすればどの点かを判断するためです。 

まず最初にその本の全体像をつかむために、具体的には以下の手順をとります。
・ はしがきとあとがきをしっかり読み、目次を構造的にしっかり把握する
・ 章単位で全体の大きな流れをつかむ
・ 次に節単位を読み、パラグラフ単位でパラグラフの頭の文章だけを次々に読む

著者は、とにかく頭から終りまで強引に目を通したほうがいいとの意見です。なぜなら目的はあくまで全体像の把握であり、枝葉の理解はその次だからです。まず終わりまでいってから二度目の読みをどうするかを考えます。

以上のことを意識すると、その本を読むべきかどうか、すなわち、自分にとって必要な情報かどうかを少しずつ判断できるようになります。少なくとも自分の読書法は変わったと実感しています。



○最後に

繰り返しになりますが、冒頭でも書いたように、素早い情報スクリーニングと情報摂取が大事であり、その理由は、まさにドラッガーが言うように情報を道具として使うためなのです。


ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる

ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術 (文春文庫)


投稿日 2010/05/12

書籍: 失敗学のすすめ (畑村洋太郎)




失敗とは何でしょうか?

失敗をマイナスに捉えると、起こしてはならないもの、起こしたくないもの。失敗した自分が恥ずかしいなどと思ってしまうかもしれません。人は誰しも失敗に対して否定的なイメージを持つものです。

しかし、このように失敗をネガティブに考えるのではなく、失敗のプラス面にも目を向けるべきと主張するのが 失敗学のすすめ という本です。



失敗について考えさせられるいい本だったので、以下に内容を整理しておきます。
投稿日 2010/05/08

完全暗闇体験イベント「Dialog in the Dark」

人間が持つ知覚には、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の5つがあります。では、これらの五官から得られる知覚の割合は、それぞれどれくらいなのでしょうか。

古い資料ですが、1972年にされた「産業教育機器システム便覧」という本によると、視覚:83%、聴覚:11%、嗅覚:3.5%、触覚:1.5%、味覚1.0%とされています。どういった方法で計算されたかはわかりませんが、視覚と聴覚の合計が94%というのは、普段の生活を振り返ってもそれほど違和感のない数字だと思います。





先日、「Dialog in the Dark」という体験型イベントに参加してきました。光が全くない暗闇の空間で、日常生活の様々な内容を視覚以外の感覚で体験するエンターテイメント形式のワークショップイベントです(参照:Wikipedia)。

視覚障害者のアテンダントさんにサポートいただき、完全な暗闇の中でのツアーです。森の中を歩いたり、公園で遊んだり、カフェでドリンクを飲んだりと、日常生活ではごく普通にできることを全て視覚なしで体験します。ツアー時間は約90分ほど。参加者は8人で、アテンダントさんも含め見ず知らずの初対面のメンバーです。



暗闇に足を踏み入れた瞬間は、五官から視覚が取り除かれただけであたかも全ての情報が遮断されたような錯覚に陥りました。上記の視覚:83%がなくなり、(実質は残り17%はあるのですが)感覚的にはゼロになったような感じです。暗闇の中で足を一歩踏み出すのも怖くなるほど。ちなみに、暗闇に入る前に視覚障害者用の白い棒を渡されますが、これだけでは非常に不安になります。

しかし、人間とは不思議なもので、全くの暗闇でも次第に様々なものを感じることができるようになっていきます。葉っぱがすれる音と小川のせせらぎや他のメンバーの声(聴覚)、木や土の匂い(嗅覚)、右手の棒から得られる地面の感触やアテンダントさん・他のメンバーの感覚(触覚)、カフェで飲むドリンク(味覚)。つまり、視覚が全く使えない状況でも、他の知覚がどんどん研ぎ澄まされていくようになります。

視覚を使わずに、ものが「見える」ような感覚。ツアーの後半くらいからは、視覚がないにもかかわらずメンバーとの会話や暗闇での活動も、普段の日常のそれとあまり変わらないような気すらしました。



日本では夜でも電気で明かりを灯せば、暗闇は解消できます。また、視覚によりものを見ることは当たり前のように持っています。日本の豊かさ自分の持っている五官のありがたさ。今回参加したことで、これらのことにあらためて気づかされました。

Dialog in the Dark。もし機会があれば、ぜひ体験されることをおすすめします。


※Dialog in the Dark
http://www.dialoginthedark.com/index.html

※Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/


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多田 翼 (運営者)

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。