2013/06/08

データ分析だけだとまだ五合目くらい

Facebookの広告配信サービスは関心があります。例えば、
  • Facebook Exchage:ユーザーのサイト閲覧履歴に基づいて広告を掲載するリターゲティング広告
  • Facebook Custom Audiences:広告主が事前に用意した顧客リストに基づき、自社のFacebook広告を顧客に配信する。購入頻度に応じて広告を配信したりできる
  • Facebook Lookalike Audiences:ターゲットにしたい顧客と似ているユーザーに広告を配信する
どれも、FB内のユーザーデータを活用するものです。ユーザーの関心や趣味/嗜好などをもとに、より適切なメッセージを適切な人に広告を出すことが期待できます。

■自社データ+外部データの統合

上記3つのうち、特に興味深いのが2つ目のFacebook Custom Audiencesです。広告主側で持っている自社データ(顧客リスト等)と、広告主から見た外部データ(FBデータ)をつなぎ合わせる。自社+外部データの両方を使うことで、よりユーザーのことがわかり広告配信に活用していくというもの。

自社で保有する顧客リスト・購買データ・自社サイト閲覧行動などのデータをマーケティングに活用するのがこれまで主流であったものが、そこに外部データも紐付けていくのが今後の方向性だと思っています。

外部データというのは、例えば自社以外のサイトでの閲覧履歴、リアル店舗での購買情報などです。自社以外でのオンライン情報だけではなく、オフラインでの顧客情報を集約し紐付け、一元管理する。1つに統合したデータベースをマーケティングに活用する。もちろんマーケティングにとどまらず企業のあらゆる活動にも生かせます。

■データ分析の先

自社+外部データを統合してデータを見ていくというのがビッグデータ時代の潮流になると思っています。

データの活用の仕組みをつくるために気をつけたいと思っているのが、手段と目的を混合しないこと。自社+外部データの活用で言うと、データを統合して一元化するというのは手段です。統合されたデータを使って何をするのかという目的が大事。

本来データを使ってマーケなどに活かすというのは、始めに目的があり、そのためにどんなデータが必要なのか、そのデータはどうやって集めてくるか/保存するか、どう使えばよいのか(集計ツールなど)、という順番です。

それがビッグデータと言われるようなユーザーのアクセスログだったり、デバイスの利用ログが自然発生的に大量に集まってくると、データ使用目的を明確にする前に、すでに目の前にはデータが存在することになります。集まったデータの山を見て「何をしようか」と考える。

料理で例えると、膨大な食材が用意されているけど、それを使ってどんな料理/メニューをつくるかを考えるのはこれから、という状況。もっと言うと、大量データの中には使えないデータも多くあったりするので、食材の中には石・砂・葉っぱのような食べられないものも実は混ざっている、という感じ。

これからのビッグデータの時代で求められるのは、あらゆる食材をどう使うかを考えること、考えるだけではなく実際に料理をつくってみる、つくった料理を他のメニューとどう合わせるか、何よりその料理を実際に売れるものにすることです。食材を集めて終わりではなく、どう活用するかが問われる。

データの利用に話を戻すと、データを集計し分析だけで終わるのではなく、むしろ大事なのはその先。分析結果のSo whatは何なのか、それをどう活用するのか、そして、実際に施策として次の行動を起こす。ここまでやって初めてデータを分析する価値があるし、ここが難しくもありデータを扱う醍醐味でもあると思います。


※参考情報
FacebookのAPAC責任者が語るマーケ論~実名IDがもたらす古き良きバー体験 -INTERNET Watch


2013/06/02

Web広告の「反応者ターゲティング」というパラダイムシフト

ブラウザでウェブを閲覧をする仕組みは「往復はがき」で考えると理解しやすいと思っています。仕組みとしては、
  • 往信はがきを送付:PCから、ウェブページのコンテンツ情報があるサーバーに閲覧したいというリクエストを送る
  • 返信はがきの住所を確認:サーバーはユーザー情報(IPアドレス/ドメイン/ブラウザ種類等)を確認する
  • 返信はがきが届く:ユーザーのブラウザにコンテンツ情報が表示される

■Web広告とTVCMの違い

ウェブページの多くには広告が表示されていますが、ウェブ広告が画期的だったのはコンテンツサーバーと広告サーバーが別々になったことでした。往復はがきの例えで言うと、ユーザーははがきを2通用意し、コンテンツ情報が入っているサーバー宛と広告情報が入っているサーバー宛にそれぞれ送っています。

なぜこれが画期的かの理由は、コンテンツは同じ情報なのに広告はユーザーごとに適切なものに変えられるからです。例えばこのブログエントリーを見ているユーザーに表示されるコンテンツ(ブログ記事)は同じですが、広告内容はPCだと上部/スマホは下部に表示される内容はユーザーごとに違うのです。

これができるのは、コンテンツサーバーとアドサーバーが別々で運用されているから。この仕組はアドネットワークサーバーでも第三者配信サーバーでも基本的には変わらないものです。

一方のTVでは、番組とCMの放送配信局は同じなので、同じ番組を見ている視聴者には誰もが同じCMを見ることになります(例:サッカー日本代表の試合で、ハーフタイム中に流れるCMはみんなが同じものを見る)。

もしTVもWebと同じ仕組になれば、番組は同じものを見るけれど、車が趣味のAさんの家のTV1には車のCMが、来年小学生になる子どもを持つBさんの家のTV2にはランドセルのCMが、みたいなことができるようになるわけです。同じ世帯でもリビングのテレビと寝室のテレビでも違うCMを流すこともできます。

Webの世界では、(発展途上であるものの)広告配信のユーザーごとの最適化ができています。Web広告配信の最適化には様々な手法があって、
  • 行動ターゲティング:ユーザーにクッキーファイルを配り(正確には利用ブラウザに配る)、クッキー内に記録されるブラウザ情報・閲覧履歴や検索ワード・ユーザーIDなどを参照し広告を配信する
  • リターゲティング:特定のサイトに訪問したユーザーに、別のサイトで関連する広告を出す。例えば、商品サイトを訪れたユーザーに、別のニュースサイトに訪れた時にもその商品の広告を出す
  • リターゲティング拡張:↑の応用みたいなもので、リターゲティングの対象となったユーザーと似た人を選び出し、広告を出す。商品サイトに訪れたユーザーとウェブ行動が似ているユーザーは、「(まだ商品サイトには訪問していないけど)恐らく同じような関心を持っているよね」というロジック。商品サイト未訪問者なので見込み新規ユーザーに広告が出せる
  • オーディエンスターゲティング:サードパーティクッキーなどの広告主の持つ情報以外の外部データも活用し、より精緻にターゲティングを行い広告を配信する

■反応者ターゲットという考え方

「ビッグデータ時代の新マーケティング思考」という本で強調されていたのは、ターゲティングの考え方が変わる、ということでした。

従来のターゲットの考え方は、年齢や性別のデモグラ・価値観などのサイコグラフィック・行動特性などのユーザー情報からターゲットを「事前に想定する」ことでした。こういうユーザー層がターゲットになりそうと事前にしっかりと絞り込むイメージです。ターゲットを絞り、そこに向けて広告を配信する。

一方で本書で強調されていたのが「反応した人がターゲット」という考え方。ざっくりとターゲットは想定はするものの、広告をまずは配信してみて、それに反応した人たちをターゲットにするという従来とは逆の考え方、パラダイムシフトです。

反応者をターゲットにする考え方で重要になってくるのが、反応者をどう捉えるかになります。

反応者をどうグループ分けをするか。デモグラ、ジオグラ(エリア)、サイコ(心理的属性)、ビヘイビア(行動)、などに加え、ニーズで分けられるかもポイントだと思います。反応者はなぜ反応したのか、その裏にはそれぞれのニーズがあり、ニーズごとにグルーピングができるかどうか。

従来のターゲティングはターゲットを事前に想定することにウェイトを置いていたことに対して、反応者ターゲティングでは実際に反応した人をターゲットとして、その後に反応者をどれだけ分析できるかにウェイトが置かれます。PDCAで言うと、従来型はPに比重が、反応者ターゲットではまずDをやってCとAに比重があるイメージ。

■反応者ターゲットで問われる「データ活用」

反応者ターゲットの考え方はおもしろいものだと思いました。従来のターゲットの考え方は狙うことに集中しているので、撃った後のことはあまり重視されていませんでした。というかそもそも撃った後にどうなったかが知る術がなかったのです。例えばTVCMをやっても、誰が見て、その人たちにどれくらいのCM効果があったのか、つまり事前想定ターゲットが正しかったのかの検証ができなかった。CM出稿と配信後の売上という、最初と最後しかわからなかったのです。

反応者ターゲットでは、広告は誰が反応したのか、AとBの広告のどちらのクリエイティブに反応が良かったのか、反応した人の行動特性までわかります(クッキーが削除されないことという前提がありますが)。そうすると、まずはやってみて、反応者がわかり、その人達に対してどういう対応をして、という感じで次のアクションにどんどん進む、つなげていくことが可能になります。

データ分析の醍醐味は単に分析して終わりではなく、分析結果から次への示唆、ネクストステップにどう活かすかです。反応者ターゲットの考え方では、反応者した人というターゲットの発見から始まり、反応者をどう括るか、グルーピングした各反応者群にどんなアクションを取るのか、など、一歩踏み込んだデータ活用が期待できます。そうしなければ進化はないのではと思っています。





2013/06/01

Do を重視する PDCA サイクル。自分の気持ちを信じてさっと行動するために


Free Image on Pixabay


前々回のエントリーでは、転職して1ヶ月後の状況を振り返ってみました。思ったポイントは3つあって、

  • とにかく自分から行動
  • 比較優位を意識する
  • 自分のやりたいことは何か

参考:転職して1ヶ月を振り返る


今回のエントリーでは1つ目の「とにかく自分から行動」について、もう少し考えてみます。

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書いている人 (多田 翼)

複数のスタートアップ支援に従事。経営や事業戦略のコンサルティング・アドバイザー・メンター、プロダクトマネージャー、マーケター。前職は Google でシニアマーケティングリサーチマネージャー、現在は独立 (詳細は LinkedIn または Facebook をご覧ください) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。note も更新しています。

内容は個人の見解です。