2016/09/17

書評: 16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える「賢い子」に育てる究極のコツ (瀧靖之)


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16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える「賢い子」に育てる究極のコツという本をご紹介します。

著者は脳医学者の瀧靖之氏です。世界最先端の脳画像研究を通して、16万人の脳画像を見てきました。



キーワードは好奇心


この本に書かれているのは、16万人の脳の MRI 画像の研究から考え出された子育て法です。本書のキーワードは「好奇心」です。

子どもは、生まれながらに好奇心を持っています。しかし、子どもが持つ好奇心を生かしきれていない家庭が、少なからずあると著者は言います。

重要なのは、親が子どもの好奇心を邪魔しないことです。

例えば小さい子どもは、大人から見れば何とも思わないものに強い興味を示すことがあります。道ばたに落ちている石ころや落ち葉、雑草や花、公園の地面に列をつくっているアリなどです。

子どもが興味を示しているのに、親はその好奇心を大切にしているでしょうか。急いでいる時は「はやく行くよ」と言う、「そんな汚いものは触らないで」と怒る。親の都合で子どもの関心に目を向けることなく、好奇心を取り上げてしまうケースです。

子どもの興味に親はどう対応するか


大切なのは、子どもが何かに興味を持ったときに、親がどう反応するかです。

これに関して本書で印象的だったのは、子どもの「なぜ?」の質問にはあまり真面目に答えすぎないほうがよいという指摘でした。

確かに自分の子どもにも、そう対応したほうがよいと感じたことがありました。見かけたバスは回送バスで誰も乗客が乗っていないので、娘が「なんでだれものっていないの?」と聞いてきました。

それまでなら「回送バスだから誰も乗っていない」と答えていたでしょう。そうではなく、「どうして誰も乗っていないのかな?」と返してみました。すると、娘はそれを受け、「バスはお休みしているのかな」と言っていました。親の受け答え1つで、娘なりに自分で何かを考えることができると思った出来事でした。

親が自分の役割を果たす


子どもの好奇心をサポートするために親ができるもう1つは、子どもに何かをさせたいなら、親が自らやって見せてあげるがよいことです。本書から引用します。

「伸びる子・伸びない子」を現在進行形で見続けている先生方が口をそろえて言っていたのが、「親の役割」でした。

といっても、伸びる子の親が「勉強しなさい」などと言っていたわけではありません。伸びる子の親は、「図鑑などを使って、子供の好奇心を伸ばす」という役割を果たしていたのです。

(中略)

ここで簡単に説明すると、子供が図鑑で得る「バーチャルの知識」と、現実世界の「リアルな体験」とを、親が結びつけてあげるのです。

乗り物図鑑で電車に興味を持ったら、実物を見に、駅まで連れて行く。公園で花を見つけたら、図鑑でその花を探してみる。

そうやって、子供の中で「バーチャルの知識」と「リアルな体験」が結びつくと、子供のワクワクは大きくなり、「知ること」に純粋な喜びや楽しさを感じます。それが、より強い刺激となって、脳に成長をもたらすのです。

3つの道具


本書で紹介されていたのは、子育てに役に立つ「3つの道具」です。図鑑、虫取り網、楽器です。

図鑑と虫取り網はリンクしています。著者が推奨していたのは、図鑑で見た動物や昆虫を、動物園や公園で実際のものを見ることです。図鑑というバーチャルと実際の動物などのリアルな情報が結びつき、子どものもっと知りたいという好奇心を育むことができます。

年齢別に脳に良いこと


他には、年齢別に脳科学の視点で良いことも紹介されています。

  • 0-2才:音楽や絵本
  • 3-5才:楽器や運動
  • 8-10才:語学

一方で、これらの時期をすぎてしまうともう遅いかと言うと、必ずしもそうではないとのことでした。重要なのは、子どもの好奇心を尊重し、子どもが興味を持つことややりたいことを親がサポートすることです。

例えば、3-5才のケースで、全ての子がピアノなどの楽器を習ったり、体操教室に通うことは現実的ではありません。3-5才の時期に特に良いのは手先や運動なので、それが適うのであれば手段は何でも良いのです。楽器は1つの例として考えるのがよいでしょう。




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多田 翼 (書いた人)