2016/09/05

Kindle 読み放題は有料会員電子図書館と考えると提供価値が理解しやすい (2016年9月現在)


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Amazon の電子書籍 Kindle の読み放題サービス 「Kindle Unlimited」 が、日本でも2016年8月から開始されました。トライアルとして30日無料体験ができ、使ってみました。


30日無料トライアルのみで終了


先日、その30日も終わりました。月額980円プランに移行するかは考えた結果、やめることにしました。当面は Kindle 読み放題プランには加入せず、これまで通り欲しい電子書籍を1冊ごとに買います。

Kindle Unlimited を無料トライアルだけで終わった理由は、読み放題の対象となっている電子書籍が少ないからです。

自分の読みたい本が読み放題になっていない状況では、毎月980円を払う価値がないと判断しました。しばらく様子を見て、読み放題対象が増えてくれば加入をしますが、少なくとも2016年の年内は KIndle Unlimited には入ることはなさそうです。

Kindle Unlimited を30日間で体験してわかったのは、読み放題というよりも 「有料会員電子図書館」 と見なすほうが実態に合っていることです。感覚として、電子書籍を 「借りている」 という表現が適切です。

今回のエントリーでは Kindle Unlimited を有料会員制の電子図書館と考えた時に、実際の図書館との共通点と相違点を考えます。なお、Kindle Unlimited の仕様は2016年9月現在です。今後、サービス内容は変わる可能性があります。


Kindle Unlimited と図書館の共通点


Kindle 読み放題と図書館との共通点は2つです。

1つ目は、全ての本が読み放題ではないことです。図書館は、図書館が保有している本しか借りられません。これと同じで、Kindle Unlimited は Amazon が読み放題の対象とした本のみです。

紙の本が全て電子書籍になっておらず、電子書籍の中でも読み放題になっているのは一部です。

紙 > 電子書籍 > 読み放題対象 と対象が減っていくので (一部の本は電子書籍のみで紙がない場合もあります) 、読み放題の対象は少ないというのをトライアルで感じました。対象の電子書籍が増えることを期待したいです。

2つ目の共通点は、一度に借りられる冊数の上限が決まっていることです。

Kindle Unlimited では、読み放題として一度に同時利用できるのは10冊までです (2016年9月現在) 。図書館では一度に借りられる数の上限があるように、Kindle 読み放題も10冊という上限があります。

11冊目を利用したい場合は、10冊のうちどれかの利用を終了し、常に10冊以内の状態にしておく必要があります。この利用終了という仕組みが、Kindle Unlimited では電子書籍を一時的に 「借りる」 というイメージになる要因でした。


図書館との相違点


Kindle Unlimited とリアル図書館の違いを整理すると、Kindle 読み放題サービスが理解できます。相違点は4つです。

1つ目の相違点は、返却期限がないことです。Kindle Unlimited にはサービスを加入している限りは利用期間に制限はありません。図書館によっては延長貸し出しも可能ですが (次に予約している人がいない場合) 、図書館の場合は2週間などの借りられる期限が決まっています。

2つ目の相違点は、いつでもウェブから電子書籍をダウンロードできることです。図書館は借りたり返すために足を運ぶ必要があります。また、図書館は営業時間のみ借りられますが、Kindle の場合は24時間いつでも入手することが可能です。

3つ目の相違点は、図書館は人気の本だと予約し、順番が来るまで待つ必要がありますが、Kindle Unlimited にはその必要はないことです。図書館の場合、ベストセラーの本や芥川賞などを取った小説は、時には何百人の予約待ちになっていることがあります。予約をしてから借りるのに、1年近く待つこともあり得ます。しかし、Kindle では読みたい時にすぐに手に入ります。

4つ目の相違点は、Kindle は本の中にハイライトやメモが残せることです。図書館の本には書き込みはできませんが、Kindle では気になった箇所にマーカーを引くなどのハイライトができます。Kindle 読み放題では、その本の利用を終了してもハイライト等のデータは残るので、再度利用を開始したときには前回のハイライトなどの記録が保存されています。


共通点と相違点から考える Kindle Unlimited の価値


Kindle Unlimited と図書館の相違点は、4つとも Kindle のほうが便利なことです。リアルの図書館で紙の本を借りることに比べ、電子書籍を 「借りる」 という Kindle Unlimited の価値はここにあります。

一方で、共通点である読める本は全てではないことと、同時利用の数が決まっているという使いにくさがあります。Kindle Unlimited は 「読み放題」 と言っていますが、「借りる」 と捉えるほうが実態に合っていると感じる理由です。

10冊までの同時利用制限だけであれば、月額980円はありだと思います (今後、同時利用の数が増え、価格も上がるプランは出るかもしれません。例えば月額1980円で利用制限は100冊など) 。

しかし、読み放題コンテンツが、自分の読みたい本が少なかったり、アマゾン側の判断で読み放題だったものがいつの間にか対象外になることは、ユーザー体験としては良くありません。対象が増えるのはともかく、突然、対象外になるのは残念です。

私自身の2016年9月時点での判断は、Kindle Unlimited は提供価値をトータルで考えると月額980円には見合っていません。今後、特に読み放題コンテンツがどのくらい増えるか、運用が安定するかを見て、再度 Kindle Unlimited に加入するかどうかを判断します。

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多田 翼 (書いた人)


外資系 IT 会社にてマーケティングリサーチ マネージャー (LinkedIn) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身。学生時代は京都。家族4人で東京23区内に在住、2人の子どもの父親。気分転換は毎朝 8km のランニングとピアノ。

書いている内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。