投稿日 2016/09/01

書評: 生涯健康脳 - こんなカンタンなことで脳は一生、健康でいられる! (瀧靖之)


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生涯健康脳 - こんなカンタンなことで脳は一生、健康でいられる! という本をご紹介します。

著者は脳医学者の瀧靖之氏です。世界最先端の脳画像研究を通して、16万人の脳画像を見てきました。



今回は、日常生活のちょっとした工夫でできる、脳に良い習慣をご紹介します。エントリー内容は次の通りです。

  • 生涯健康脳とは
  • 日々の生活習慣が大切
  • 脳に良い習慣をご紹介


生涯健康脳とは


本書のタイトルでもある生涯健康脳には、「人は亡くなる直前までしっかりとした頭を持ち、認知力を健全に保った状態で生活することが人生の理想であり幸せである。それを皆でめざしましょう」 という著者の思いが込められています。

生涯健康脳を実現するために本書で強調されているのが、日々の生活習慣の大切さです。


日々の生活習慣が大切


長い間、いい加減な生活を続け、いざ病気になってから治そうと思っても難しいでしょう。同じことが脳にも言えるそうです。脳を生涯健康に保つにために、認知力が落ちてから何かを始めるのでは遅いのです。

子どもの時には子どもなりに、大人は大人なりに、その時々にやれることがたくさんあります。生涯にわたって、日々の生活習慣を大切にすることが、生涯健康脳であるために重要です。


脳に良い習慣をご紹介


ここからは、本書に書かれていた日常生活の中でできる、脳に良い習慣をいくつかご紹介します。


1日30分の有酸素運動


有酸素運動は、脳のために最も良いことであると本書で紹介されています。具体的には1日30分程度のウォーキングやジョギング、水泳などです。

ポイントは、一定の心拍数で有酸素運動をすることです。無理のない時間と程度で有酸素運動を楽しむ。体に無理な負担をかけず、できる日は少なくとも 30分は続ける。有酸素運動は、認知症の改善にも効果が高いと注目されているようです。

マルチタスクが脳に良い刺激を与えるとのことでした。例えばウォーキングに会話をすると、運動 + 言語の2つの働きが脳で行われます。

私は毎朝のランニング中に Podcast を聴いています。これも脳に良いことだとわかりました。


知的好奇心


知的好奇心を保つことも脳に良いです。探究心、冒険心、追求心を持ち、日常生活の様々なことに興味関心があり、いつもワクワクしている状態は脳にとても良いのだそうです。

何か新しいことをやってみることは、脳にとってもこれまでにやったことがないので、様々な領域が活性化します。まだ使っていない脳の領域が刺激されると、脳細胞間のネットワークが育つとのことです。

例えば、本書では日常生活で脳を活性化させることは、以下が紹介されています。

  • 普段あまり本を読まない人は、新聞や週刊誌の短い記事を読んでみる
  • テレビで相撲と野球しか見たことがなければ、サッカーやテニスの試合を見てみる
  • いままで降りたことのない駅で途中下車して、初めての街を散策してみる
  • 外でおかずを買うときなど、これまで食べたことのないものを選んでみる
  • 今まで素通りしていたお店に入ってみる
  • 携帯電話を電話として使うだけでなくカメラも使ってみたり、ゲームなど普段は使わない色々な用途で楽しんでみる

好奇心について興味深いと思ったのは、子どもの頃の知的好奇心が生涯健康脳であるための重要な要素であることが研究からわかってきたことでした。

著者は、幼年期、青少年期、成人期、壮年期、熟年期と、脳と人の一生の関連を研究されています。そこから見えてきたのは、子どものころに知的好奇心が旺盛な子は、そうでない子より将来に認知症になる可能性が低いのだそうです。

親が子どもの好奇心を育むやり方として、子どもが図鑑で新幹線に興味を持ったら、次の日に親が実物を見せてあげる、ある植物に本で興味を持ったら、早い段階で本物の植物を見せてあげる、などが紹介されています。


人とのコミュニケーション


脳を健康にし、認知症予防にも効果的なのは、コミュニケーションで人と交流することです。

人と会ったり、話をしたり一緒に食事をする時、脳の中ではあらゆる領域が活発に動き、脳に良いことが起きているようです。相手の話を聞いて理解する、考えて話す、相手の気持ちを思いやるなど、脳の中でも特に前頭葉が活性化されます。

前頭葉は人間として最も高度な働きを担います。具体的には、言葉を話す、コミュニケーション、思考、意志決定、意識を集中する、行動や感情の制御、新しいものを創造する、記憶のコントロールなどです。人との交流は、これらを同時に行なう機会があり、脳には良いのです。


音楽


音楽の演奏も、脳にとって良いことです。

例えばピアノは、両手それぞれに違う動きで音を演奏します。ピアノのトレーニングを長くやればやるほど、脳の右と左をつなぐ脳梁 (のうりょう) の厚みが増すと言われているそうです。

楽譜を見ながら演奏すればマルチタスクの状態にできます。楽譜を見ながら演奏をする作業 は、当たり前にできているように感じますが、脳は活性化しています。

音楽は演奏だけではなく、聴くことも脳にとって良い刺激になるそうです。


最後に


本書のあとがきからの引用です。

私の最も伝えたいことは、「いつからでも、簡単なことから脳を健康にすることができる」 ということです。「生涯健康脳」 のつくり方は日常の生活の中にあり、何歳からでも一歩を踏み出すことができます。

(引用:生涯健康脳 - こんなカンタンなことで脳は一生、健康でいられる!)



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。