2015/01/12

スタンフォード大学の 「人は他人の購買行動に影響を受けるのか」 を明らかにした調査がおもしろい




フェイスブックで、あなたの友人が 「これを買いました」 と写真付きでタイムラインに流れているのを目にしたとします。他人が買ったものを見て、なんとなく自分も欲しいと思った経験はないでしょうか。

親しい友人であれば、そのまま自分も買ってしまうケースもあるかもしれません。

もし知人や友人ではなく全くの無関係な人であっても、他人の購買行動から人は影響を受けるのでしょうか。


他人の購入を見て自分も影響するかの調査


この調査課題を明らかにしたスタンフォード大学の調査が、ワシントンポストの記事に掲載されていました (2014年12月) 。

参考:People around you control your mind: The latest evidence - The Washington Post


全くの赤の他人であっても、人はまわりの人の購買行動に影響を受けるのでしょうか。

26万人近くの飛行機乗客データを使って調査した結果が紹介されています。隣の人が機内販売で何かを買った場合、その横の人が買うかどうかを、実際の乗客のデータを使って調査をしたようです。こちらがスタンフォード大の発表論文 (PDF) です。 (2017年9月追記:リンク先の論文は削除されていたのでこちらも削除しました)


調査設計


具体的な調査設計は次の通りです。



右上の枠内のように、調査対象者を3種類に分けます。

  • Indicator (赤色):機内販売で何か買った乗客
  • Treated:何かを買った人 (Indicator) の隣に座っていた乗客
  • Control:何も買わなかった人の隣に座っていた乗客。比較対照として扱う

2つ目の Treated と3つ目 Control の人たちの購買有無を比較します。なお、調査では家族や知人同士で隣に座っていた乗客は対象者から外されています。Treated vs Control の違いはあくまで、隣の他人が購買したかどうかとなる調査設計です。

これ以外にグループ間の差異はないので、Control に比べて Treated の購買確率が有意に高ければ、隣の人が買ったことでその人も買うことには、因果関係があると言える設計になっています。

調査で見るポイントは、自分の隣の人が何かを買ったのを見て、自分も購入するかどうかです。仮説は、隣の人が買った Treated のほうが、Control よりも購買する確率は高くなることです。

    調査結果


    調査結果は、乗客が機内販売で何かを買う確率は 15-16% でした。この平均値に比べ Treated となった人 (自分の隣の人が何かを買ったのを見た人) は、+4 ポイント高い約 20% ほどになったとのことです。

    結果から示唆されることは、知らない人であっても人は他人の購買に影響を受けることです。


    調査は完全な自然状態で実施


    興味深いのは、あらかじめ機内販売を買うように指示した人を座らせ、その隣の人が同じように買うかどうかという調査設計ではないことです。すなわち、完全な自然状態において乗客の座席と機内購買データから集計した結果であるということです。

    もし、あらかじめ機内で買うことを指示された実験協力者を座らせ、その隣の人が買うかどうかを調べるような調査設計だと、物議を醸すことになります。というのは、その隣の人 (Treated) は実験のことを事前に知らされず、承諾なしで勝手に実験に協力させられたとなり得るからです。

    以前、フェイスブックがネガティブな投稿内容についての実験調査を行ない、議論を読んだ論点の1つでした。

    参考:Facebook Manipulated User News Feeds To Create Emotional Responses | Forbes


    最後に


    話を調査結果に戻すと、他人の購買行動に人は影響を受けるのであれば、例えばサクラを入れることは (倫理的な議論は別にして) 理にかなったことになります。

    スタンフォード大学の調査では、他人同士の購買行動への影響を調べたものです。これがもし家族や知人など親しい人同士では、人は購買にどんな影響を及ぼすのか。感覚としては、他人のそれよりもより強く影響を受けるのではないでしょうか。

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    多田 翼 (書いた人)


    外資系 IT 会社にてマーケティングリサーチ マネージャー (LinkedIn) 。

    1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身。学生時代は京都。家族4人で東京23区内に在住、2人の子どもの父親。気分転換は毎朝 8km のランニングとピアノ。

    書いている内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。