
グーグルが取得した特許が話題になっています。出願は2012年4月で、2015年3月31日に登録されたとのことです。
参考:有名人や故人の人格をロボットにダウンロードする時代が来る?Google が特許取得|ITmedia ニュース (2015年4月2日)
以下は上記記事からの引用です。
人格データをクラウドからダウンロードしてロボットに吹き込む ── 米 Google がこんなシステムの米国特許を取得したことが分かった。有名人や故人の人格をロボットに演じさせるといった使い方も想定しているようだ。
特許は2012年4月に出願され、今年3月31日に登録された。人のさまざまな特徴に基づく人格データを蓄積するデータベースやデータを配信するクラウドベースのシステムで、ネットを介してロボットやモバイルデバイスが人格データを受信し、人格を再現する。
人格をどうやってデータ化するのか
このニュースで最初に思ったことは、人格がどうやってデータ化されるのかでした。予想するに、例えば、明るさ / 協調性 / 責任感、といった性格診断に使われるような各種項目を点数化した情報なのかもしれません。
性格に加え、思考力や記憶力などの能力についてもデータ化されれば、人格を構成する1つの要素となり得ます。
自分自身のこともわかっているようで、実はわかっていないものです。人格をどうやってデータ化するのか、実際にどの程度その人を反映しているのかは興味深いです。
自分自身の性格や能力をロボットにダウンロードするとどうなるか
上記のニュース記事では、この特許の利用想定として、有名人や故人の人格をロボットにダウンロードすることが言及されています。
逆はどうなるのでしょうか。つまり、もし、自分自身の人格をロボットに入れればどうなるのかです。
仮に次のようなことができるとします。自分の性格や思考能力のデータ化、運動能力のデータ化、そして、データのロボットへのダウンロードです。ロボットの見た目や声色も、その人を忠実に再現できるとします。実現できれば、もう1人の自分を存在することになります。
自分の人格をロボットに入れられば、分身として自分をつくることができます。使い方の例は、離れた家族のもとに分身ロボットを置いておくことです。
さらに仮定として、自分の性格や思考能力が再現されたロボットに機械学習の機能を追加できるとします。ここで言う 「高度」 とは、一般的な人間の学習能力程度、あるいはそれ以上をイメージしています。
この場合、自分の人格を入れたロボットに、日常生活を送らせたり仕事をさせるなどの経験を積ませればどうなるのでしょうか。
機械学習の能力があるので、自分を再現させた時点よりも経験を積むと賢くなっていきます。機械学習の能力が人間以上であれば、自分よりもロボットのほうが優れた存在になっていきます。自分と自分を再現したロボットとの能力格差は開いていきます。
経験を積めば、当初ロボットにダウンロードした人格にも影響し、変わっていくと考えられます。そうなると、中身はもはや自分と同じではない存在になります。
ロボットに自分をダウンロードした時点では自分のコピーにしかすぎなかった存在が、お互いが同じではない経験を積み別々の道を歩み、違った存在になっていくでしょう。
ロボットは人間と違い、半永久的に存在できます。究極的には、寿命のある人間の死後は、自分を再現したロボットを 「自分として」 この世に存在させ続けることも、技術的には可能になっていくのかもしれません。