2017/10/03

ビットコインと既存通貨の違いを比較すると、ビットコインの本質が見えてくる


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今回のエントリーは、2017年現在の代表的な仮想通貨であるビットコインと、既存の通貨 (日本円や米ドルなど) を比較し、ビットコインの本質を考えます。

ビットコインを取引所で実際に買い、本やネットから仮想通貨について知れば知るほど、仮想通貨とは興味深いものです。ビットコインについて、興味深いと思うのは具体的には次の3つです。

  • インセンティブ設計
  • 取引情報が公開される
  • 仕組み自体の信用で成り立っている

以下、それぞれについて詳しくご紹介します。


インセンティブ設計


ビットコインで興味深いのはインセンティブ設計です。一言で言えば、ビットコインの通貨発行者が儲かる仕組みになっていることです。


既存通貨が発行される目的


まずは、仮想通貨ではない既存通貨を見てみます。2017年現在の日本国内の主流通貨である日本円や、世界の基軸通貨である米ドルなどの通貨では、通貨発行権はその国の中央銀行が担います。日本であれば日本銀行です。

確かに通貨発行益はありますが、日本銀行が通貨を発行する目的は、物価の安定と金融システムの安定です。金融システムの安定とは、銀行や決済などの金融が正常に機能し、企業や国民が問題なく使用できる状態にすることです。


ビットコインのインセンティブ


ビットコインでは、マイナー (採掘者) 達による10分ごとのビットコインマイニング競争で、勝者が一定のビットコインを得ます。2017年現在で 12.5 ビットコインです。

なお、ビットコインの場合、この報酬量は4年ごとに半分になる半減期が設定されています。直近では昨年2016年に起こりました。次に半分になるのは2020年です。

マイナーのインセンティブは、競争に勝って得られるビットコインの報酬と、競争の過程で承認する各取引の手数料です。

マイニングとは、仮想通貨の直近の取引をブロックチェーンに書き込む作業です。マイニングの勝者がビットコインを入手できるので、マイニングをビットコインの新しい発行と見ることができます。

日本円や米ドルなどの発行インセンティブと、ビットコインの発行インセンティブの対比は興味深いです。

ビットコインを俯瞰すると、以下のような循環が成立しています。このサイクルが好循環である限り、ビットコイン自体の価値が上がり、普及していくでしょう。

  • ビットコインが使われる (ビットコイン所有者から別の人へ移動する) 。使われた分だけ取引が増える
  • マイナーが未承認取引を承認し、新しいブロックチェーンを1つ追加する
  • 競争に勝ったマイナーは報酬としてビットコインを得る


取引情報が公開される


ビットコインの興味深い点は、ビットコインの取引情報がパブリックに公開されることです。取引情報とは、例えばビットコインでの支払いや送金です。例えば、「A さんから B さんへ 100 ビットコインが移動する」 という情報です。

取引情報が公開鍵とともに公開されているからこそ、マイナーにその取引情報が正しいかどうかを承認してもらうことができます。

マイニング勝者のマイナーが取引を正しいと見なし、勝者に続く競争の二番手以降のマイナーたちがその正しさを確認します。ビットコインが民主的で、不正が起きにくいと言われる仕組みです。

従来のお金の取引情報 (支払いや送金) は、人々に広く公開されることはありません。取引をした当事者のみです。この発想を180度変えているのがビットコインです。

取引情報が公開されること、それによってビットコインの信頼が得られている仕組みは興味深いです。


仕組み自体の信用で成り立っている


お金の本質は信用です。

日本円などの既存の通貨とビットコインが、それぞれ何への信用に基いているかを比較すると、興味深い違いがあります。

既存通貨は、発行する国への信用に基いて価値が決まります。

ビットコインへの信用は、ブロックチェーンをできあがるプロセスと仕組み自体への信頼がベースになっています。具体的には次の3つです。

  • 特定の国や企業に依存しない。分散したマイニング参加者における合意形成で、新しいビットコインが発行される。発行プロセスにルールがある
  • ブロックチェーンという、情報の偽造や過去の情報が改ざんされない仕組みが使われている
  • ビットコインは発行の上限額が決まっている (2100万ビットコイン) 。つまりデジタルであるが、無限に量は増えず有限である

既存の国が発行する通貨は、中央銀行の施策でマネー発行量が変わります。1つの中央が厳格に管理する仕組みです。一方のビットコインは、これとは逆の考え方と仕組みで成り立っています。

結果、通貨への信用も全く異なるものがベースになっています。この対比が興味深いです。


おすすめのビットコイン解説本


最後に、ビットコインをわかりやすく解説している本をご紹介します。いまさら聞けない ビットコインとブロックチェーン です。



以下は本書の内容紹介からの引用です。

ビットコイン、ブロックチェーン、フィンテックの 「?」 に答えます。

  • ビットコインはどうやって手に入れるの?
  • 投資対象としてはどうなの?
  • コピーや改ざんされる心配はないの?
  • ブロックチェーンってどんな技術?
  • フィンテックが実現する未来とは?
  • 次はどんなサービスが登場する?

これでわからなければ、ごめんなさい!基本の仕組みの解説から最新トピックまでを体系的に解説。数あるビットコインやブロックチェーンの解説書の中でも、一番わかりやすい入門書です。



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多田 翼 (書いた人)


外資系 IT 会社にてマーケティングリサーチ マネージャー (LinkedIn) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身。学生時代は京都。家族4人で東京23区内に在住、2人の子どもの父親。気分転換は毎朝 8km のランニングとピアノ。

書いている内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。