2017/10/11

ベネフィットセグメンテーションは覚えておいて損はないマーケティングの方法


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今回のエントリーは、マーケティングについてです。ターゲット顧客を決めるために、ベネフィットからセグメンテーションをするやり方をご紹介します。


なぜベネフィットセグメンテーションか


ベネフィットからセグメンテーションをつくる理由は、同じ人でも、時と場合によってニーズが異なるからです。ニーズごとに分けてマーケティングをするためです。

例えば飲料であれば、ある人には次のような利用シーンがあります。() 内がニーズです。

  • 朝の出社直後にコーヒーを飲む (仕事モードに切り替えたい)
  • お昼ごはんにお茶を飲む (昼食に合うさっぱりした飲み物を飲みたい)
  • 午後は濃いめのコーヒーを飲む (眠気を覚ましたい)
  • 夕方はエナジードリンクを飲む (仕事をもうひと頑張りしたい)

同じ人でもこれだけのニーズが存在します。一人の生活者の中に複数のニーズがあるということは、ニーズごとに求められる価値 (ベネフィット) があることを意味します。

自分たちの製品やサービスは、どのベネフィットに適しているか、ターゲットとするベネフィットを求める生活者に具体的にどのようなマーケティング活動をするかです。


ベネフィットセグメンテーションの具体例


求めるニーズ (ベネフィット) でセグメントをつくる方法は、新人 OL 、つぶれかけの会社をまかされる という本にわかりやすく紹介されています。



以下は本書からの引用です。

「20代女性」 (男性でも同じです) といった場合、20歳の遊び回る大学生、21歳の就活の大学生、23歳の新人ビジネスパーソン、25歳の中堅ビジネスパーソン、27歳の DINKS の主任、あるいは29歳のお子さんがいる専業主婦など、さまざまな 「20代女性」 が含まれてしまいます。

「20代女性」 という分け方ではニーズが全く違う人が混在してしまうので、ニーズがわからないのは当たり前なのです。

(中略)

ではどうすればいいのでしょうか?求める価値が違うために分けるのですから、「ベネフィット (価値) 」 でくくればいいのです。

「分ける」 というより 「くくる」 ですね。ニーズが近い人をまとめるのです。

(中略)

当たり前のように見えますが、こればベネフィットセグメンテーションなどと呼ばれる、実は比較的高度な手法です。

「時間がないから10分で昼食をすませたい」 というニーズを持つ40代男性は、「ゆっくり同僚と話がしたい40歳男性」 より、「時間がないから10分で昼食をすませたい」 というニーズを持つ20歳女性に近いのです。

「ゆっくり同僚と話がしたい」 という40歳男性は、「ゆっくり友人と話がしたい」 という20歳女性のニーズに近いでしょう。年齢や性別ではなく、求める価値でくくればよいのです。

マーケティングをするターゲット顧客を明確にするために、人を 「分ける」 ではなく、同じニーズがある人たちを 「くくる」 と考えます。


ベネフィットセグメンテーションの方法


具体的にはどういう方法でくくればよいのでしょうか。再び、新人 OL 、つぶれかけの会社をまかされる から引用します。

顧客を価値でくくる具体的な方法は、具体化 → 普遍化 → 人をくくる、という3ステップです。これは私のオリジナルノウハウです。

まずは 「価値」 を具体化します。「付加価値」 のようなあいまいな言葉ではダメです。「どんな」 付加価値なのかを、お客様の言葉で具体化します。

イタリアンレストランの場合、最低限 「上司に怒られた後、友人と大騒ぎしてスカっとしたい」 くらいには具体化します。

(中略)

次に、具体化した後で、普遍化します。この場合は、「大騒ぎして職場のストレスを発散」 ですね。

最後に、同じような 「価値」 を求める人を探してくくります。「いうことを聞かない部下にハラをたて、大騒ぎしてスカっとしたい」 という課長さんも、同じニーズかもしれません。

すると、この課長と部下のニーズは同じですから、同じセグメントとしてくくってしまっていいわけです。「ストレス発散大騒ぎニーズ」 で考えると、世代も性別も違う人が同じ価値を求めているわけです。

(中略)

「具体化 → 普遍化 → 人をくくる」 という順番がポイントです。

最終的には性別・年代などに落とし込んでもいいのですが、それは、価値で人をくくった 「後」 の話です。価値で人をくくってみて、「やっぱりゆっくり語らうニーズは30代カップルが多い」 ということであれば、それは 「30代カップル」 とすればいいのです。

このようなプロセスを飛ばして 「30代カップルのニーズは?」 などと考えると、「ニーズがわからない」 と嘆くことになります。

以下は、「具体化 → 普遍化 → 人をくくる」 について見ていきます。


価値を具体的に言語化する


先ほどの引用は平易に書かれていますが、内容は深いことを言っています。

「具体化 → 普遍化 → 人をくくる」 という順番で、始めに行なうのはニーズの具体化です。ターゲットとしたい顧客はどんな価値を求めているのかを、徹底的に具体化します。

引用内に書かれていたように、「付加価値」 などの曖昧な表現ではありません。具体的にどのような付加価値なのかを、顧客の言葉で具体化します。本書で紹介されていた具体例は、「上司に怒られた後、友人と大騒ぎしてスカっとしたい」 でした。


価値を普遍化し、同じニーズの人たちをくくる


具体化した顧客が求めている価値を一般化し、同じ価値を求めている人でくくります。

具体的なニーズである、「上司に怒られた後、友人と大騒ぎしてスカっとしたい」 と 「言うことを聞かない部下に腹が立ったので、ストレスを解消したい」 は、「大騒ぎして職場のストレスを発散するニーズ」 と普遍化できます。

普遍化した後は、同じニーズを持つ人をくくります。くくった結果がベネフィットセグメンテーションです。

一般的にセグメンテーションは分けることだと理解されているでしょう。一方、ベネフィットセグメンテーションのポイントは、具体化したそれぞれのニーズを普遍化し、同じニーズと見なせる人同士を 「くくる」 というやり方です。


覚えておいて損はない方法


セグメンテーションのオーソドックスな切り口は、性別・年代・居住地域・職種・家族構成・年収などを使います。

例えば、20代女性というデモグラ情報で人を分けて、そのセグメントに入った人たちの特徴やニーズを探るやり方です。20代女性とそれ以外の人たちの違いを分析します。

ベネフィットセグメンテーションは逆のアプローチをとります。顧客が求めるニーズから入り、同じようなニーズでくくるというアプローチです。

ベネフィットセグメンテーションは、覚えておいて損はないマーケティングの方法です。



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多田 翼 (書いた人)


外資系 IT 会社にてマーケティングリサーチ マネージャー (LinkedIn) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身。学生時代は京都。家族4人で東京23区内に在住、2人の子どもの父親。気分転換は毎朝 8km のランニングとピアノ。

書いている内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。