2017/10/01

行動とインセンティブに注目したいこれだけの理由 (ゲーム・習慣づくり・マネジメントまで)


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超 AI 時代の生存戦略 - シンギュラリティに備える34のリスト という本に、ゲームなど遊びを楽しく遊べるのは理由があり、その要素は3つあると書かれています。



遊びの中の3つの要素


3つの要素とは、問題・解決・報酬です。以下は本書からの引用です。

これからは、「遊び」 という概念がますます重要になってくる。

遊びと聞くと、飲みに行くことも遊びになるし、街中をぶらつくことも遊びになってしまうが、大人の遊びではなく子どもの頃の遊びを思い出していただきたい。問題設定があり、それを解決していき、その中で報酬が決まり、楽しいと思える。それが遊びだったのではないだろうか。

たとえば、ゲームをする、将棋をする、ごっこ遊びをする、スポーツをするというのも、あるフレームの中に、問題と解決と報酬があって楽しいわけだ。

(中略)

ゲーム的でない遊びももちろん存在するが、たいていの遊びはゲーム的に定義しようと思えば、ゲームに捉えることができる。

たとえば、スキーがゲームかといえば、スキーそのものはゲーム的ではないと思うかもしれないけれど、スキーをゲームに捉えると、「より速く降りるということを問題とし、その滑り方を解決し、その報酬として風を切る感覚がすごく気持ちいい」 など、ゲーム的に分解することができる。

ゲームなど遊びを楽しく遊ぶための3つ要素が、問題、解決、報酬です。この3つを1つのサイクルにし、サイクルが回り続けるとゲームに飽きることなく遊ぶことができます。

引用では、問題・解決・報酬の具体例を、以下のようにスキーに当てはめています。

  • 問題:今までより速くゲレンデを降りる
  • 解決:滑り方を工夫したら、前よりも速く滑ることができた
  • 報酬:スキーで滑りながら風邪を切る感覚が気持ちいい


3つの報酬


本書では、報酬には3つの種類があると言います。ギャンブル、コレクション、心地よさです。それぞれ、次のような喜びや快感の報酬です。

  • ギャンブル:チャレンジ、競争、誰かに勝つ、賞を獲得する
  • コレクション:積み上がっていくことが見える喜び
  • 心地よさ:五感で感じるうれしさ

これら3つを、野球が好きであることに当てはめると、次のようになると説明しています。

  • ヒットを打てるかどうかがわからない (ギャンブル)
  • コツコツとヒット数を重ねる (コレクション)
  • バットの芯に当たりカキーンと打つこと自体の快感 (心地よさ)


自分に3つの報酬を当てはめてみると


3つの報酬を私自身のことに当てはめてみます。

私は毎朝ランニングをしています。ギャンブル、コレクション、心地よさの3つの報酬は次のようになります。

  • ギャンブル:走る距離や時間を早くするチャレンジ、昨日の自分に勝つ競争 (自分自身との戦い)
  • コレクション:走った歩数や走行距離を測定し、アプリで可視化
  • 心地よさ:ランニング中の爽快感、走り終わった後の充実感

毎朝のランニングは2年以上続けているので、毎日の習慣の一つです。このように、自分にとって報酬は何か、つまり何がインセンティブになるかを理解できれば、習慣化の助けになります。


外からの動機、自分の内側からの動機


人間の動機付けには、外発的動機付けと内発的動機付けという2種類があります。心理学者のデシが提示したものです。

  • 外発的動機付け:主に金銭などの外部からの報酬に基づく動機付け
  • 内発的動機付け:自分の内側から湧いてくる好奇心・興味に基づく動機付け

デシの主張は、外発的動機付けでは短期的な効果しか得られないというものです。モチベーションを維持するためには報酬を与え続ける必要があり、内発的動機付けでモチベーションを維持し向上すべきと言います。

外発的動機付けは、他者から動機付けをされることです。一方の内発的動機づけは、自分の好奇心や興味に基づきます。外からよりも自分の中から起こる動機づけのほうが、モチベーションが高まるというのは理解できます。


行動とインセンティブに焦点を当てる 「行動科学マネジメント」


WILL PM が提唱する 「行動科学マネジメント」 というものがあります。

参考:石田淳の行動科学マネジメント講座|株式会社日立ソリューションズ


行動を具体的に分解し、目標を達成させる手法です。

ベースとなる考え方は 「結果とは、行動の積み重ねによって生まれる “産物” である」 です。行動科学マネジメントは3つのステップで成り立っています。

  1. 行動が起こせるレベルまで分解する
  2. 分解した行動をチェックリストにする。リストに沿って順番に行動する
  3. 行動することに 「快」 を与える (例: ほめる)

このサイクルを繰り返し、小さな目的をクリアし続け、最終的な目的を達成します。

他人から強制的に回させるのではなく、本人が自発的に行動を起こしていくサイクルが望ましいでしょう。外発的動機付けではなく、いかに内発的動機付けを持ってもらうかです。


世の中を動機付けの視点で見る


何がインセンティブになるかは、自分だけにとどまりません。他人や世の中についても何が動機になっているかの視点で見ることができます。

有名なフレームにマズローの欲求5段階説があります。人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されており、低階層の欲求が満たされると、高次の階層の欲求を欲すると言われるものです。

マズローの欲求5段階は以下の通りです。順番は低次の欲求から並べています。

  • 生理的欲求:食べたい、寝たい
  • 安全欲求:危険を避けたい、安心な暮らしがしたい、健康でいたい
  • 社会的欲求:組織に属したい、仲間が欲しい
  • 尊厳欲求:他人から認められたい、尊敬されたい
  • 自己実現欲求:自分の能力を高めたい、あるべき自分になりたい

何が動機になって動いているかの視点は、世の中のことを理解する時に役立ちます。


最後に


冒頭でご紹介した、遊びの中の3つの要素である 「問題・解決・報酬」 は、行動とインセンティブの適切な設計と見ることができます。

行動を起こすための目的があり、それを問題として設定します。実際に行動し問題解決すれば、報酬が得られます。報酬というインセンティブがあるからこそ、行動が起こせます。

行動とインセンティブという見方や設計は、ゲームなどの遊び、習慣づくり、ビジネスでのマネジメントなど幅広い範囲で使えます。



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多田 翼 (書いた人)


外資系 IT 会社にてマーケティングリサーチ マネージャー (LinkedIn) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身。学生時代は京都。家族4人で東京23区内に在住、2人の子どもの父親。気分転換は毎朝 8km のランニングとピアノ。

書いている内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。