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投稿日 2010/05/15

あまり知られていない日経電子版Wプランの問題点

■まとめ

今回の内容を先にまとめておきます。

(1) 朝刊と夕刊のセット部数は減少傾向にある (1999年比で20%減)
(2) 日経Wプラン(宅配+有料電子版)は、夕刊も契約となる (セット版地域のみ)
(3) 強制的に朝刊+夕刊のセット購読となるWプランの仕組みは疑問


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(紙の)新聞には朝刊と夕刊の二種類があります。日本での発行部数はそれぞれどれくらいなのでしょうか?最近は新聞を取っていない人もめずらしくなく、また日本の総世帯数が約5200万ほどということを考えると、5000万部前後程度というところでしょうか。


■新聞発行部数

社団法人「日本新聞協会」によると、2009年の新聞発行部数は次の通りです。
・ 朝刊+夕刊 : 1473万部 (以下、セット部数)
・ 朝刊のみ : 3440万部
・ 夕刊のみ : 123万部

合計すると、5035万部です。(2009年の途中での新規契約や契約解除をどの程度含めるかはわかりませんが)

次に、ここ10年でのトレンドを見てみると、以下のグラフのようになります。



朝刊のみ部数は横ばい、セット部数は減少傾向が見られます。これを1999年を期初として指数化すると、よりはっきりとその傾向を確認することができます。セット部数は1999年に比べて2009年では20%減なのです。




同期間の日本の総世帯数はやや増加しています。



先ほど、朝刊の部数は横ばい傾向にあると書きましたが、世帯数当たりの部数で見ると実は減少傾向にあるのです。これは、自分のまわりの印象からも実感できる数字かと思います。



■日経新聞電子版の購読プラン

日経新聞が2010年3月23日より、「日経電子版」というWeb媒体の有料新聞をスタートさせました。プランは有料や無料パターンなど複数用意されています。




電子版のみだと月額4000円ですが、紙の新聞を購読すれば+1000円で電子版の有料会員となれます。これが日経Wプラン(宅配+電子版)です。



■Wプランの問題点

さて、上記の表のWプランをよく見ると、2種類の価格があることがわかります。セット版地域での月額5383円と全日版地域の月額4563円。この違いは何かというと、夕刊の有無にあります。
・ セット版地域 : 朝刊+夕刊+電子版=5383円 (東京や大阪はこちら)
・ 全日版地域 : 朝刊のみ+電子版=4568円

つまり、東京や大阪などのセット版地域に住んでいる場合は、朝刊と夕刊の2つをセットで宅配されることになり、「朝刊のみ+電子版」という選択肢は存在しないのです。

個人的な話になりますが、平日は帰宅から就寝までに家で夕刊を読む時間はなく、そもそも夕刊それ自体に魅力があるとは思っていません。従って、紙の新聞は朝刊のみで十分だと考えています。しかし、私のケースで電子版を有料情報を見たい場合には、「+1000円」ではなく「+夕刊代&1000円」となるのです。

上記の日本新聞協会の数字を見ても、朝刊と夕刊のセット発行部数は明らかに減少傾向にあります。それなのに、なぜセット版地域では夕刊もセットで購読するプランしかないのでしょうか。もちろんこのデータは日経だけではなく、朝日や読売などの新聞も含む数字であり、日経の夕刊は同じ状況とは言い切れません。しかし、全体の傾向とそれほど大きな乖離がないのではないかというのが個人的な印象です。

百歩譲って日経夕刊のニーズがあるとしても、電子版の有料登録をするためには、強制的に朝刊と夕刊のセット購読となる仕組みには疑問を呈せざるを得ません。



■まとめ

以上の内容を整理すると次のようになります。

(1) 朝刊と夕刊のセット部数は減少傾向にある (1999年比で20%減)
(2) 日経Wプラン(宅配+有料電子版)は、夕刊も契約となる (セット版地域のみ)
(3) 強制的に朝刊+夕刊のセット購読となるWプランの仕組みは疑問

有料電子版登録で夕刊もセットする狙いはあえて書きませんが、少なくとも読み手である消費者の立場は考慮されていないのではないでしょうか。



※参考情報

日本新聞協会
http://www.pressnet.or.jp/

新聞発行部数 (日本新聞協会)
http://www.pressnet.or.jp/data/circulation/circulation01.html

日経電子版購読料金一覧
http://www.nikkei.com/help/subscribe/price/

日経全日版地域
http://www.nikkei.com/help/subscribe/price/plan.html#area


投稿日 2010/01/23

ネットインフラ社会

インターネットにアクセスするツールとして、パソコン(PC)や携帯電話(モバイル)があります。
その他にもアクセス目的を限定すれば、ゲーム、音楽プレイヤー、キンドルなどの電子書籍などもそうです。個人的には、現在の主なアクセスツールはPCとモバイルを使っています。ただどちらも、まだ制約があるのが正直なところです。
・ PC: 立ち上げに時間がかかる
・ モバイル: 画面が小さい、通信速度が遅い

総務省調べ(09年)では、日本のネット普及率は75.3%(人口ベース)のようですが、ネットへのアクセス環境はまだまだ改善の余地があるように思います。



少し古いですが、今年の元旦の日経新聞の記事に「次の10年へ 未来を読む」という特集がありました。その中の1つに、「買い物のデジタル化加速」というタイトルの記事には次のような内容が書かれていました。
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デジタル技術の発達により、ネットによる買い物は今よりもっと便利になる。

例えば
・ ネットが見られるテレビ(ROBRO-TV
・ 拡張現実(AR:Augmented Reality)
・ 次世代通信技術(LTE:Long Term Evolution
・ 電子マネーによる支払方法多様化

これらの例から、ネット消費はますます増えていくと示唆しています。
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ちなみに、上記のROBRO-TVの特徴は、「リモコンでテレビのチャンネルを変えるのと同じようにWebページを閲覧することができ、テレビ番組だけでなく、豊富なインターネットコンテンツを楽しむことができます」(カデンザHPより)とのことで、パソコンよりももっとネットがより身近になっていくはずです。



では、「ネットがより身近になる」とはどんな環境になるのでしょうか。ここからは個人的な勝手な妄想も含まれますが、あらゆるものがネットにつながっている社会だと思っています。
普段の日常生活で、(PCのように)ネットがつながっていればもっと便利なのに、と思うものとして、例えば車(特にカーナビ)があります。ちょっと前にカーナビを利用した時には、カーナビの検索でなんとか調べ、携帯で詳細を検索するという二度手間が発生しました。
これをPC並とまではなくても、もっとサクサクと情報が調べられれば、ドライブもより快適になると思います。最近、携帯電話でもカーナビのようなサービスがありますが、逆に言えば、携帯が参入するのはカーナビの機能がまだ不十分だということを物語っているのかもしれません。

これ以外にも、便利だと思うものとして、
・ 台所: クックパッドなどのレシピを見ながら料理ができる
・ 冷蔵庫: 足りない食材をその場でネットから注文。また外出時に携帯からアクセスし、スーパーの買い物時に足りないものをチェック。
・ 風呂: お風呂に入りながらネットを見る。(動画、ブログ、など)
があります。



こんな感じで考えていくと、家がまるごとネットにつながっている状態が「普通」になるかもしれません。
無償のネットブラウザを活用し、クラウドコンピューティング、スマートグリッドなども駆使すれば、そんな社会が実現できるかもしれません。その時は、ネットが今以上に「インフラ」になるのでしょう。(ただし、その大前提として、セキュリティ強化は必須)

個人的には、家電の説明書とかあらゆるものが電子化され、自宅そのものに取り付けられたハードディスクに保管してあれば、「あの説明書どこいったっけ?」という時に、すぐに検索できるととても便利です。

このあたりは国が各メーカーのとりまとめを行なって、推進してほしいものです。


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。