投稿日 2024/05/10

選択がつくる未来。ハリー・ポッターの 「ダンブルドア校長の言葉」 から学ぶ戦略とマーケティング

#マーケティング #戦略 #選択

今回は、ハリー・ポッターからビジネスに学べることを掘り下げるという内容です。

ハリーが通う魔法学校のホグワーツの校長先生であるダンプルドアは、ハリーにある言葉をかけました。この言葉には戦略やマーケティングにも示唆深いものでした。

ダンブルドアの言葉とは何だったのか、そしてビジネスにも通じる教訓をぜひ一緒に紐解いていきましょう。

ダンブルドア校長の言葉


ハリー・ポッターで、ホグワーツ魔法魔術学校のアルバス・ダンブルドア校長が、ハリーにこんな言葉をかけていました。

     「ハリー、自分が本当に何者かを示すのは、持っている能力ではなく、自分がどのような選択をするかということなんじゃよ」 

この言葉は、シリーズ2冊目の ハリー・ポッターと秘密の部屋 2 (J.K.ローリング, 松岡佑子) での1シーンです。


ダンブルドアの言う 「自分が持っているものではなく、どんな選択をするかで自らは何者なのかを示す」 というのは示唆的です。

ビジネスの観点からも考えさせられます。


戦略への示唆


ダンブルドアの言葉から戦略への示唆を考えてみましょう。

戦略の本質


そもそもの話になりますが、戦略とは何でしょうか?

一言で言えば、戦略とは目的を達成するための 「やること」 と 「やらないこと」 の決めごとです。

目的達成への 「やること」 と 「やらないこと」 において、戦略の肝は後者の 「やらないこと」 にあります。何をやらないかが明確だからこそ、残ったやることにリソースを注力できるわけです。この意味において、戦略をつくるのは 「やらないこと」 を明確にするためと言ってもいいくらいです。

戦略としてやることを 「あれもこれも」 と考えうる全てのことに手を出すのは、戦略的ではありません。戦略の要諦は意思を持って何を捨てるかだからです。

戦略では 「あれもこれも」 ではなく、「あれかこれか」 という A or B です。算数で表現すれば足し算でやることを積み上げるのではなく、引き算の発想をします。

目的とリソースから 「何を選択するか」 


ここでダンブルドアがハリーに教えた言葉である 「自分が持っているものではなく、どんな選択をするかで自らは何者なのかを示す」 とつなげてみます。

戦略の文脈で 「自分が持っているもの」 とはリソースのことです。リソースとは人・物・金です。

ダンブルドアの言葉の 「どんな選択をするか」 は、戦略の一言の定義の中に入っている 「やることとやらないことの決断」 になります。

戦略についてレイヤーという階層に分けて整理をすると、一番上の上位には目的がきます。

目的の次に、今あるリソースがあり、目的を達成するために所与として持つリソースにおいて、目的達成のための最善のリソース配分の指針とするのが戦略です。さらに続けると、戦略から戦術、そして実行へと進みます。

ダンブルドアの言葉であった 「自分が持っているものではなく、どんな選択をするか」 というのは、戦略において何を捨てて、やらないことを決めた後で 「何にリソースを注力するのかが大事である」 という解釈ができます。

こうした1つ1つの選択と実行によって、自分 (たち) は何者なのかが自ずと示されていくでしょう。


マーケティングへの示唆


戦略に続いて、ダンブルドアの教えである 「自分が持っているものではなく、どんな選択をするかで自らは何者なのかを示す」 から、マーケティングへの示唆も考えてみましょう。

マーケティングの本質


ここでも、あらためてマーケティングとは何かに立ち返るところから始めます。

結論から言うと、マーケティングとは 「お客さんから選ばれる理由をつくる活動全般」 です。お客さんから選ばれるとは、買ってもらえる、使ってもらえる、来店してくれる、指名されることです。

お客さんから選ばれるのは、提供する商品やサービスに他にはない価値があるからです。お客さんに他にはない価値を提供し、選ばれる理由をアップデートし続けることが重要になります。商品やサービスは、お客さんから選ばれ続けることによって生き残っていけます。ひいては自分たちのビジネスも存続できるのです。

顧客文脈に合わせた選択


では、ダンブルドアの言葉 「自分が持っているものではなく、どのような選択をするかで自分が何者なのかを示す」 をマーケティングの文脈で捉えてみましょう。

マーケターの責任範囲は会社ごとで異なり、中には新商品の開発や既存商品の改良も対象とする場合もあるでしょう。一方で多くのマーケターの役割は自社商品の広告などのマーケティングコミュニケーションを展開し、新しいお客さんの獲得や既存顧客との関係の深化です。

大事になるのは、お客さんへの価値提案です。

自社商品においてどんな切り口で光をあて、ターゲットとするお客さんの置かれた状況、価値観やものの見方、望みや不満などの 「顧客文脈」 に合うような魅力を顧客価値として伝えます。

このような 「さまざまな候補の中から、お客さんにとって本当に価値になることを選択をすること」 がマーケターに求められる目利きです。

ダンブルドアの言葉につなげると、自分が持っているものを 「自社の商品やサービス (の全体) 」 と当てはめ、どのような選択をするかは 「商品のいくつかの特徴の中で、お客さんに訴求する商品の魅力や価値を見出すこと」 と見立てることができます。

担当する商品の特徴の中から、お客さんの顧客文脈をターゲットとして決め、顧客文脈にフィットする顧客価値を選択し、伝え、実際に価値だと感じてもらう。お客さんに成功や幸せをもたらすことによって、マーケターは自らの存在意義を示していくのです。


まとめ


今回はハリー・ポッターに出てくるダンブルドアの言葉から、ビジネスに学べることを見てきました。

最後にポイントをまとめておきます。

  • ホグワーツ魔法魔術学校のダンブルドア校長の言葉: 「ハリー、自分が本当に何者かを示すのは、持っている能力ではなく、自分がどのような選択をするかということなんじゃよ」 

  • 戦略への示唆: リソースにもとづいて、「やること」 と 「やらないこと」 を意思決定する。やらないことを決めることが大事。そして残ったやることの中での優先順位をつける

  • マーケティングへの示唆: お客さんを理解し、顧客文脈に合った魅力となる部分を商品の特徴や顧客体験から選び出す。そして、どのように価値を伝えるかを選択する


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。