2014/11/30

アイレップが動画広告の検索行動への効果検証調査を提供開始




インターネット広告代理店のアイレップが、動画広告の効果検証サービスをリリースしました (2014年11月14日 ベータ版) 。


動画広告の検索広告への効果検証


特徴は、動画広告を見てその後の検索行動に、広告が影響したかを測定できることです。

参考:アイレップ、動画広告の新しい効果検証方法の β 版を開発、提供開始へ 動画広告接触ユーザーの検索行動における変化を観測-|株式会社アイレップ (リリース PDF)


アイレップの調査手法


アイレップの提供するサービスの分析手法は、同じユーザーが動画広告を見る前と後で検索ワードがどう変わったかを比較します。同一ユーザーにおけるプレポスト方式です。



引用:アイレップ


動画広告を見たユーザーの検索キーワードのログで抽出します。ログなので、ユーザーが自分は何を検索したかをはっきりと覚えていなくても、どんな検索行動をとったかを見ることができます。


プレポスト方式の注意点


同一ユーザーでの広告接触前後で比較する方法 (プレポスト方式) には、分析結果を見るときに注意点があります。

広告実施期間が、世の中の広告対象商品またはサービスへのニーズが高まるタイミングと同じである場合です (季節性ニーズ) 。もし同一ユーザーの前後比較で検索行動が増えたとしても、それは本当に広告による効果なのか、単に世の中のニーズが高まったタイミングで増えただけなのかがわからないことです。

例えば、クリスマス商戦に向けて12月から広告を出すケースで考えてみます。

その広告開始前の11月時点と、広告接触後のクリスマス直前では、対象商品の検索が自然と増えます。広告を出さなくて、クリスマスが近づいてくれば検索量は増加します。

広告期間の前後で比べると、検索への影響のうち純粋に広告部分の効果がどの程度なのかがわかりません。

通常、広告出稿をするのは、その商品やサービスへのニーズに併せて実施します。アイレップの同一ユーザーの広告接触前後の比較で、動画広告が検索行動に統計的に有意な効果があると確認できたとしても、それは本当に広告の効果なのかはこの方法ではわからないのです。


メタファーで望ましい調査方法を考える


理想として望ましい比較方法は、どうすればよいでしょうか。

メタファーは、薬を投与する集団と、「偽薬」 を投与する集団を、1年経過後に薬の効果を比較するやり方です。ポイントは2つです。

  • 比較対照を別の集団でつくること (同一グループの薬剤投与前後の比較ではない) 
  • 偽薬を投与すること

偽薬グループには、本人には薬の効果を伝えますが、実際は何の効果もないニセの薬を飲んでもらいます。

期待される結果は、偽薬の集団でもプラシーボ効果によって効果が見られるかもしれませんが、本物の薬を飲んだ人たちがそれよりも高い効果を見せることです。効果に統計的な有意性が見られれば、2つの集団の違いは薬の投与だけなので、薬の効果があったと言うことができます (統計的な因果関係) 。


望ましい動画広告の効果検証調査の方法


以上を動画広告接触による検索行動の効果を調査する手法に当てはめてみます。ユーザーを2つのグループに分け、グループ A には広告を見せる、グループ B には偽の広告 (ダミー広告) を見せます。

グループ B で重要なのは、本来はグループ A と同様にその広告を見る人たちなのを、あえて偽広告に差し替えることです。グループ B を単に広告を見なかった人を集めてくると、グループ A と B の集団の性質が変わってしまうので、A と B の比較が正確にできないためです。


動画広告効果の可能性


動画広告を見ると、その後に検索行動に影響があるかをログベースで調査する手法自体は興味深いです。先に書いたように、本人が検索をしたと記憶に残らないような検索行動も対象にできます。
さらに、検索行動の内容を見られれば、動画広告はどんな興味喚起を起こせたのかもわかります。その商品と他の商品との比較検討や、購入意向への影響も検索ワードを精緻に見ることでわかるでしょう。

アイレップの同一ユーザーの広告接触前後ではなく、異なるユーザーグループの比較ができればベターです。


最後に


同一ユーザーのプレポストではなく、異なるユーザーグループのダミー広告を使う方法を採用しようとしているのは、グーグルのブランド リフト調査です。プロモーション動画はこちらです。


Google Brand Lift - Measuring Interest in Your Brand - YouTube

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多田 翼 (書いた人)


外資系 IT 会社にて 「シニア マーケティングリサーチ マネージャー」 (LinkedIn) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身。学生時代は京都。家族4人で東京23区内に在住、2人の子どもの父親。気分転換は毎朝1時間のランニング。

書いている内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。