2015/07/11

マーケティングの本質は日常にある:きな粉の袋の裏面情報が提供した価値




普段から、ヨーグルトをよく食べています。自宅でヨーグルトを食べる時は、ほぼ毎回のように蜂蜜ときな粉を混ぜています。


きな粉の新しい食べ方


ヨーグルトはごく普通の砂糖なしのプレーンです。これだけでも素朴でおいしいのですが、蜂蜜 & きな粉はいつの間にか欠かせないトッピングになりました。最近は、きな粉だけと、黒胡麻きな粉との2つを使い分けています。

ある時に、何気にきな粉の袋の裏面を見ると、きな粉のトッピング使用例が載っていました。その中の1つに、牛乳にきな粉を入れるというものがありました。

その場ですぐにできたこともあり試してみると、ヨーグルト+きな粉とはまた違った、きな粉のおいしさを味わうことができました。

きな粉をめぐる、何気ない日常の一コマです。この体験であらためて思ったのは、商品の売り手と買い手の 「タイミングの違い」 でした。


売り手の終わり = 買い手の始まり


売り手の目的は、売ることです。売上によって利益を得ます。目的として売ることに焦点があたりすぎると、売ったら終わりと考えてしまいます。

一方で買い手にとって、買う (= 売られる) のは、始まりなのです。

買い手である顧客が商品を買う時に求めるのは、使った時に価値があるだろうという期待です。


買い手が価値を感じるのは使ったとき


期待への対価でお金を払っても良いと思うものを買います。正確に言えば、期待と対価がイコールではなく少しでも 「期待 > 対価」 となった時に、財布の紐が解かれるわけです。

買った後に使う時が、買い手が 「価値」 を感じる瞬間です。冒頭の例で言えば、ヨーグルトに入れて食べておいしいと感じる瞬間、あるいは、袋の裏面を見て試してみた、きな粉牛乳を飲んだ瞬間です。

買い手が価値を感じる瞬間とは、買い手の利用シーンにあるのです。

今回、牛乳にきな粉を入れて、(私という) 一人の買い手のきな粉の利用シーンが増えました。実際に私がおいしいと感じ、買い手にとって 「価値と感じる瞬間」 が増えたわけです。

きな粉の袋の裏面の情報が価値を増やし、(やや大げさですが) 結果としてマーケットが広がったのです。


顧客視点で利用シーンを描けているか


袋の裏面等に 「こんなトッピングもどうぞ」 という情報は、きな粉だけではもちろんありません。よくよく意識してみると、同じトッピングとして使っている蜂蜜の容器にも載っています。

今まではあまり気に留めていませんでしたが、あらためて考えると、興味深いです。

「売って終わり」 ではなく 「買ったところが始まり」 と買い手目線で捉える。買い手の利用場面を増やす。そして、利用シーンでいかに商品を通じて 「価値」 を提供するか。

普段の日常にこそ、マーケティングの本質があります。

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多田 翼 (書いた人)


外資系 IT 会社にて 「シニア マーケティングリサーチ マネージャー」 (LinkedIn) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身。学生時代は京都。家族4人で東京23区内に在住、2人の子どもの父親。気分転換は毎朝1時間のランニング。

書いている内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。