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子どもの 「いや」 に困ったとき読む本 という本をご紹介します。
本書の内容
以下は内容紹介からの引用です。
「ママじゃないといや!」 「買って、買って!」 「いま食べる!」 ……言いだしたらきかない。でも言いなりになるのも……。しつけとは何か?
多くのママたちが、子どもの 「いや」 を前にして、どう関わればいいのか自信がもてず困惑しています。ママたちの質問に答えながら、理論に基づいた具体的なしつけ方をアドバイス!
いやいや脳とおりこう脳
本書のキーワードは 「いやいや脳」 と 「おりこう脳」 です。この本で使われているオリジナルの言葉です。いやいや脳は 「本能」 、おりこう脳は 「理性」 です。それぞれ、次のような役割です。
いやいや脳
- 命を守るために機能している本能的な賢さを持つ脳の部分
- 身体を司っている脳幹部、感情と記憶を司っている辺縁系
おりこう脳
- 言葉によってママやパパの言うことを理解し、言うことを聞こうと思う脳の部分
- 人間だけが高度に発達した皮質、考えた通りに行動するための前頭分野
人は生まれてすぐは、まだ理性である 「おりこう脳」 は機能しておらず、大人になるまでの成長に伴い機能していくようです。
「いや」 と 「かんしゃく」 は成長のために必要
赤ちゃんや乳幼児の 「いや」 や 「かんしゃく」 を起こすのは、いやいや脳という本能が欲求する感情を、理性であるおりこう脳が制御できないためです。
この本からの学びは、小さい子どもの 「いやいや」 や 「かんしゃく」 は一時的なもので、成長には必要なことでした。
子どもがかんしゃくを起こすことが問題ではない
この本の指摘でなるほどと思ったことがあります。問題なのは、子どもが 「いや」 と主張したりかんしゃくを起こして泣きわめくことではなく、子どものかんしゃくを見て、ママやパパがイライラしたり穏やかな気持ちでいられないことである、という指摘でした。
解決すべきなのは、子どもがいやと言ったり、泣いて暴れるようなかんしゃくを起こすことではありません。大事なのは、親が子どものいやいや・かんしゃくを成長に必要な一時的なことと捉えて受け入れ、余裕を持って穏やかな気持ちで対応することです。
親の役割
余裕のある穏やかな親の態度が、子どもに安心感を与えます。いやいや脳で起こる欲求不満などの感情も、親からの安心感を感じれば制御され、感情はおさまっていきます。
大切なのは、いやいや脳からの欲求不満・痛みなどの身体的な感覚・怒りや悲しみを、親がどう受け止めるかです。いやいや脳からの感情を認め、受け入れてあげることの重要性は、本書で繰り返し書かれています。
子どものいやいや脳からの感情を親が理解し、言葉や態度で子どもに示してあげることです。子どもは、親からの共感をおりこう脳で理解するようになります。
このプロセスによって、子どもはいやいや脳 (本能) の制御をおりこう脳 (理性) を使ってできるようになっていきます。つまり、親の役割は、いやいや脳とおりこう脳の感情をつないでやることです。
本書で書かれていた例は、道路で子どもがころんで膝を地面で打ち付けた時に、「痛かったね」 と言葉で子どもの感情を親が言ってあげることです。子どものいやいや脳とおりこう脳で、「痛い」 がつながります。
一方、親が 「痛くない痛くない」 と言えばどうなるでしょうか。子どものいやいや脳は 「痛い」 という感情があるにもかかわらず、親の言葉を理解するおりこう脳は 「痛くない」 と受け取ってしまいます。いやいや脳とおりこう脳はつながりません。
しつけ方
この本では、しつけとは子どもが自律する力を導くことと書かれています。自ら律する力を身につけることです。
しつけでのポイントは、子どものいやいや脳からの不快な感情は承認するが、しつけの決まり (ルール) は変えないことです。
具体的には次のようなプロセスです。例として、子どもがご飯の直前にアイスクリームを食べたいと言って聞かないケースです。
- しつけの決まりを示す: 「ご飯を食べ終わってからアイスは食べようね」 と、ご飯前にアイスは食べない決まり (ルール) を伝える
- 不快感情が出る:しかし、子どもは 「いま食べたい」 と言い張る。泣きわめくなどのかんしゃくを起こす
- 不快感情は受け入れるが、決まりは変えない:親は 「いま食べたいんだよね。ダメと言われて怒っているんだよね」 と子どものいやいや脳の不快な感情は承認する。感情は認めつつ 「ご飯を食べたら食べようね」 と決まりは譲らない
- いやいや脳とおりこう脳をつなげる:子どもは、親から言われたこと (今は食べられない・ご飯の後という決まり) は 「おりこう脳」 で受け取る。食べたいという本能的な欲求を持つ 「いやいや脳」 と葛藤する
- 欲求の制御:不快感情や欲求を親に受け入れられたことが認識でき、子どもは安心感を抱く。いやいや脳の感情が制御される。親は、子どもがかんしゃくを起こし続けてもしばらく待ってやる余裕が必要
変えてはいけない 「しつけのルール」
子どもが 「いや」 「やりたい」 と言ったものを、しつけを優先してさせないのか、やらせるかの線引きをどう考えればいいのでしょうか。
子どもの反応がどうであろうと、親がだめと言い通してよいのは2つです。社会のルールと、子どもの健康や命を守るための制限です。
該当しない例は、子どもが朝出かける前に青い服を着たいと言い張り、ママは今日は黄色い服を着せたいと思っている場合です。このケースでは、子どもの欲求を認めてあげるといいでしょう。
しかし、もし、冬の寒い日に夏用の半袖を着たいとかんしゃくを起こす場合は、子どもの健康に関わることなので、子どもの着たい欲求は言葉で返して承認しつつも、しつけの決まりで冬用の服を着せます。
まとめ
私の長女は、今年2017年の9月で4歳です。自分のやりたいことや思い通りにならないことがあると、激しく泣いたりかんしゃくを起こすことがあります。今年の秋で2歳になる次女も、自分のやりたいことが出てきて 「いやいや期」 が始まりつつあります。
この本を読んでから、子どもの 「いや」 や 「かんしゃく」 に自分の反応が変わりました。
- 「いやいや」 や 「かんしゃく」 は子どもの成長に必要。子どものかんしゃくが起こることが問題ではない。起きた時に親は余裕を持ち、穏やかな気持ちで対応することが大事
- 子どものいや・かんしゃくの裏にある感情を汲み取り、受け入れる。感情を言葉にして返し、子どもと共有する
- しつけのルールから逸脱する場合は、子どもの欲求や感情は言葉で共有するが、決まりは守らせる
もちろん、この3つを意識しても、子どものかんしゃくがすぐにおさまらない時もあります。それでも、本書を読む前と後で心構えが変わったことを実感しています。