2017/09/25

想定外にどう対応するか?失敗学と羽生善治に学ぶ想定外への対処法


Free Image on Pixabay


「想定外」 を想定せよ! - 失敗学からの提言 は、失敗学を提唱した畑村洋太郎氏の著書です。



想定とは何か


この本には、想定とは人が人為的につくる境界であると説明されています。ここまでは考えるという範囲を線引きし境界をつくり、内側が想定、外側が想定外です。

想定は人が勝手につくった境界内にすぎません。想定外への認識として正しいのは、「想定外 = 絶対に起こらないこと」 ではなく、想定外のことは確率が低いとはいえ、起こりえるというものです。境界設定が甘ければ、想定外のことも起こる可能性が高くなります。


想定外にどう対応するか


では、想定外のことに対処することはできるのでしょうか。

将棋の羽生善治氏が、想定外にどう対応するかを 勝負哲学 という本で話していました。この本は、羽生氏とサッカーの岡田武史氏の二人の対談本です。



想定外にどう対応するかについて、羽生氏は次のように話しています。

羽生:私の感覚では、想定の範囲内の事態への対応策をきちんと考えておくことは、そのまま想定外の事態に対するよき善後策につながることが多い気がします。想定できることはちゃんと想定しておくことが不測の事態、すなわち不確定要素の起こる確率を低くしてくれるし、それが起きたときの対処も適切に進められるんです。

ちょっと逆説的ですが、必然性をしっかり固めることが偶然性というものに対する最良のリスクヘッジにもなるし、アクシデントマネジメントにもなるんですね。回りくどい言い方をしましたが、「わかる」 ことをきちんと押さえておけば、「わからない」 ことへの対処の幅も広がるということです。 (中略)

岡田:想定できることをきちんと想定しておくことが、想定外のアクシデントへのよき対処につながる、ですか。

想定への準備が、もし想定外が起こったとしても、想定外への適切な対処につながるという捉え方です。

畑村氏の想定と想定外の考え方と併せると、想定の準備へのヒントは2つあります。

  • どこまでを想定するかの線引きをする (想定と想定外の境界を明確にする)
  • 境界内の想定について、起こるであろうこと (事象)・原因・起こったことへの対策など、あらかじめ考えておく


2つの想定外


想定外とは2つあります。想定しなかったこと、想定できなかったことです。

前者の想定しなかったとは、あらかじめ想定と想定外の線引きをした際に外側に含めたことです。意図的に想定外としたものです。

後者の想定できなかったこととは、線が引くことができなかった、もしくは境界が曖昧になっていたことです。


想定外が起こった後の対応


いくら綿密な準備をしても、想定外は起こり得ます。

先に書いたように、想定外とは考える領域の外なので、どれだけ事前に考えておいても想定外は発生するからです。境界を広げれば広げるほど考えることが増えるので、どこかで線引をせざるを得ません。

事前対策とともに重要なのは、想定外のことが起こった場合にどう対応するかです。発生した後に被害をどれだけ最小化できるかです。

今までの自分の経験から、想定外が起こった後の対応のポイントは5つあります。


1. 事実の確認


まずやるべきは状況確認です。

想定外という予想していなかったこととはいえ、起こってしまった以上は早急な対処が必要です。初動で大切なのが、何が起こったのかを正確に把握することです。事実確認が不十分だと、その後の復旧や今後の対策にも影響します。


2. 復旧


目先の対応のために応急処置が必要です。短期的な復旧では根本的な解決にはならないこともありますが、これ以上は被害が大きくならないように、とりあえず止血をします。


3. 原因究明


復旧の目処が立ってきたら、並行して行なうのが、なぜ想定外のことが起こったかの原因究明です。

畑村洋太郎氏の 「失敗学」では、原因究明と責任追及は分けて考えることを提唱しています。責任追及を分離し、原因を中立的に究明します。


4. 今後の対策


原因が把握できたら、対策を検討します。

復旧で応急処置をできたとしても、根本的な治療をしておかないと同じようなことがまた起こりかねません。想定外のことが起こることをポジティブに捉えれば、それを次に活かすことができる、知見がたまり教訓にできるということです。

想定外の出来事という具体を抽象化する、得られた知見は他にも応用できないかを考えます。


5. 開き直る


想定外のことが起こった時にもう1つ重要だと思っているのが、いい意味で開き直ることです。

想定外に真剣に対処しますが、必要以上に深刻にならないことです。動揺しパニックになってしまうと、二次災害や三次災害が起きかねません。ミスがミスが重なるのを避け、被害を最小限に抑えるためです。

起こってしまった以上は、その現実は変えられません。これからどうするかです。過去は変えられませんが、現実を見据え正しく対応し、未来は変えることができると信じることです。

想定外というトラブル中でも、いかに自分が冷静な精神状態に戻せるかです。


まとめ


最後に、今回のエントリーのまとめです。3つです。

  • 想定は人が勝手につくった境界内にすぎない。「想定外 = 絶対に起こらないこと」 ではなく、想定外のことは確率が低いが起こりえる
  • もし想定外が起こったとしても、想定への準備が想定外への適切な対処につながる。「わかる」 ことをきちんと押さえておけば、「わからない」 ことへの対処の幅も広がる
  • 想定外が起こった後の対応のポイントは、事実の確認、復旧、原因究明、今後の対策、開き直るの5つ。起こってしまった過去は変えられないが、未来は変えられる




最新エントリー

多田 翼 (書いた人)


外資系 IT 会社にてマーケティングリサーチ マネージャー (LinkedIn) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身。学生時代は京都。家族4人で東京23区内に在住、2人の子どもの父親。気分転換は毎朝 8km のランニングとピアノ。

書いている内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。