2017/11/28

ビットコインがバブルだと思うこれだけの理由。5年後に振り返った時にビットコインの果たした役割を考えてみる


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2017年11月末に、1 ビットコイン (BTC) の価格が100万円を超えました。

私はビットコインの将来性は懐疑的に見ています。今回のエントリーは、ビットコインがバブルだと思う理由をまとめています。

そして、ビットコインについて俯瞰して5年程度の時間軸で見たときに、後から2017年を振り返ってビットコインが果たしたであろう役割を考えます。

具体的には、大きく以下の3つについて書いています。

  • 通貨として使いにくいビットコイン
  • バブルになるビットコインの構造的な要因
  • ビットコインが果たした役割


通貨として使いにくいビットコイン


ビットコインが通貨として使いにくいと思う理由は、次の通りです。

  • 価格変動が大きい (法定通貨に対して)
  • 1BTC の価値が日常生活の買いもの金額に合っていない
  • 送金コストが高くなった。送金完了に時間がかかる

以下、それぞれについて説明します。


価格変動が大きい (法定通貨に対して)


円やドルなどの法定通貨に比べて、ビットコインの値動きは大きく、支払い通貨には不向きです。

ビットコインは日々、時には数時間の中で急騰・急落することが度々起こります。

買いものの支払いに使う場合に、例えば2時間前に支払ったビットコインの金額が、今はビットコイン自体の値動きによって無視できないレベルで変わっているような状況です。リアルタイムでの変動が大きく、支払い通貨には使いにくいです。


1BTC の価値が日常生活の買いもの金額に合っていない


1BTC は2017年11月末に100万円を突破しました。ビットコインは円に対して100万倍の価値を持ったことになります。

米ドルと円では、1ドルが11月末現在で110円超です。おおよそ100倍の違いです。それに比べて、ビットコインは100万倍というのは違いすぎます。

日常生活でビットコインを買いものに使うことを考えた時に、例えば10,000円の商品やサービスのビットコインの値札は、0.00001BTC です。1万円でこれなので、1円単位ではもっと小さい桁の数字になります。

これほどの小さい桁を日常生活で扱うことは稀であり、モノやサービスの値段の表示方法として不向きです。

なお、ビットコインの単位で、最小単位に Satoshi というものがあります (Satoshi はブロックチェーンを考案した論文の執筆者名である Satoshi Nakamoto からです) 。1Satoshi は 1億分の1 BTC です。式で表記すると、1Satoshi = 0.000000001BTC です。小数第9位が 1 です。

1BTC を100万円だとすると、円を Satoshi に換算すれば 1円 = 10,000Satoshi です。BTC を単位に使うより、Satoshi のほうが今後さらにビットコインの値段が上がれば、まだ使いやすいでしょう。ただし、1BTC = 100万円の水準では、10,000円は 10,000,000Satoshi で、1億 Satoshi という規模は今度は大きすぎます。

もし BTC と Satoshi の中間くらいの単位があれば、今のビットコイン相場の値であればちょうどよいです。例えば Nakamoto という単位を新たに設定し、1BTC = 10,000Nakamoto とできれば、1BTC = 100万円であれば 1円 = 1Nakamoto です。1 米ドルは 100Nakamoto なので、ドル換算でも使い勝手は悪くないでしょう。


送金コストが高くなった。送金完了に時間がかかる


ビットコインの送金手数料は、例えば日本の取引所である Coincheck では 0.0005BTC と設定されています。1BTC が100万だと500円です。

これは、日本で銀行振込を他銀行にする場合と同じ水準です。確かにビットコインを国際送金の手段として使う場合は、450円では銀行間で国際送金をするよりも低い手数料です。しかし、2016年は 1BTC が数万円だった時に比べると、ビットコインの送金手数料は上昇しています。

送金コストが高くなる状況は、ビットコインの送金取引は少なくなる要因になります。通貨として使いにくくなっています。

送金に関してのもうひとつの問題点は、送金取引の完了に時間がかかるようになったことです。ビットコインは、取引完了は10分で済むとかつては言われました。日本の銀行の振込完了にかかる時間と比べても、10分はリアルタイムで送れる感覚でした。

しかし、2017年11月末現在は、10分で取引が完了することは、通常の送金手数料ではまずありません。私の場合は、今月11月に一度、送金完了までに3日以上かかったことがありました。送金時間を要することは、通貨としての使い勝手が悪いです。


以上、通貨としてビットコインが不便になってきている現状でした。


バブルになるビットコインの構造的な要因


ここからは、ビットコインがバブルになる構造的な要因を考えます。具体的には次の通りです。

  • 通貨発行量があらかじめ決まっている
  • 「通貨」 よりも 「資産」 として保有されやすい
  • マイナーへの報酬 (ビットコイン) 量が減り続ける
  • ビットコインは技術的に完成された通貨ではない
  • 政府による規制、法的にどのように扱われるかが将来的に不透明
  • ビットコイン価格の評価基準がない

以下、それぞれについて説明します。


通貨発行量があらかじめ決まっている


ビットコインは通貨発行量の上限があらかじめ決まっています。2100万 BTC です。2100万に達するのは、2140年と予想されています。

2017年11月時点で、すでに約 80% のビットコインが発行済です。

ビットコインはブロックチェーンで作られ、新しいブロックが作られるごとに新規にビットコインが発行されます。新規発行量は4年ごとに半分になる半減期の設計がされています。

ビットコインが生まれた2009年は、新規発行量は 50BTC でした。次に半分になった2012年に 25BTC になり、2016年にはさらに半分になり2017年現在は新規で 12.5BTC です。次に半分になるのは2020年です。

このように徐々に新規発行量が減っていくので、100% になるのは2140年とまだ先ですが、2028年には 98% 、2032年には 99% のビットコインが発行される計算になります。

つまり、ビットコインは今後はほとんど量が増えない通貨です。需要と供給を考えたときに、新規供給量は減り続けるために需要が高まりやすい構造です。ビットコインは値上がりしやすい性質を持つのです。


「通貨」 よりも 「資産」 として保有されやすい


新規発行量が減り続けるので、ビットコインは希少性が高まりやすい通貨です。モノやサービスに対するビットコインの価値が高まります。

つまり、ビットコインは、供給に対して、潜在的に需要が高まりやすいので、デフレ特性を持っている通貨なのです。

デフレの傾向があるということは、ビットコインは今後もモノに対して値上がっていくので、通貨として使うよりも資産として持っておくことに経済的合理性があります。通貨は本来、社会に流通することによって価値をもたらします。しかし、ビットコインは資産として保有されやすいのです。


マイナーへの報酬 (ビットコイン) 量が減り続ける


ビットコインの新規発行は、マイナーへの報酬として与えられます。具体的には、マイナーがビットコインの取引情報を確認し、一定数の取引が新しいブロックチェーンに保存され、P2P (ピアトゥピア) で承認されれば、そのマイナーに与えられます。

先ほど見たように、ビットコインは新規発行量は4年ごとに半分になります。つまり、マイナーへの報酬は、単純な量だけを考えると減り続けます。

もちろん、報酬額は 「ビットコイン価格 × 新規発行量」 のかけ算なので、発行量が半分になってもビットコイン価格が倍になれば報酬額は変わりません。逆に言えば、ビットコインの価格が半減期のスピードと反比例して上がり続けない限り、報酬額は減ることを意味します。

仮にもし報酬額が下がれば、マイナーにとっては取引を承認するというマイニング作業をやるインセンティブが下がります。マイニングがあってこそ、ビットコインは通貨としての送金や支払いなどの取引ができているので、マイニングが滞ったり止まったりすれば、ビットコインの取引が成立せず通貨としての価値はなくなります。


ビットコインは技術的に完成された通貨ではない


度々、ビットコインではハードフォークという仕様変更による分裂が起こります。ハードフォークが行われるのは、ビットコイン自体の技術的な仕組みが発展途上であることと、コア開発者やマイナーなどの利害関係者の合意が得られないためです。

つまり、ビットコインは技術的にも関係者のコンセンサスという意味でも、完成された通貨ではないのです。

今後も改良され、より良くなっていくというポジティブにも捉えることができる一方、未完成なものは通貨としては将来的に不透明な存在です。


政府による規制、法的にどのように扱われるかが将来的に不透明


ビットコインのもともとの思想は、中央の管理者がいない分散型の P2P(ピアトゥピア) で成立する通貨です。国の中央銀行が管理する円などの法定通貨とは全く異なる発想です。ビットコインは、中央管理者から独立した自由を目指す思想を持ちます。

しかし、ビットコインは政府からの規制されていくでしょう。例えば中国ではすでに規制対象になっています。

また、ビットコインが各国で法的にどのように扱われるかも、必ずしも明確になっているわけではありません。どのような通貨なのか、あるいはどういう資産として定義されるかによって、どんな税として位置づけられるかも変わります。

規制や扱われ方が将来的に不透明なのが、ビットコインの2017年現在の現状です。

もともとの思想が中央に管理されないことだったにもかかわらず、ビットコインは中央からどのように管理されるかという問題を含んでいるのです。


ビットコイン価格の評価基準がない


株式であれば PBR (株価純資産倍率) や PER (株価収益率) などの評価基準があります。モノサシがあるので、株価が妥当なのか、高すぎ・低すぎなのかを評価できます。

一方、ビットコインにはこのような基準はありません。法定通貨のような国への信頼、株式のように企業の割引現在価値に基づいているわけではなく、ビットコインの価値を客観的に測る方法がないのです。

やろうと思えば、ビットコインをつくるためのコストから算出することはできます。マイニングに必要なコンピューターマシンと電気代から、1 BTC の価値は出せます。しかし、現在の法定通貨の紙幣やコインは、製造コストと価値は一致しないことを考えると、コストベースでの評価基準の算出は現実的ではありません。


ビットコインが果たした役割


ここまで、ビットコインの 「不都合な真実」 を書きました。最後に、ビットコインについて、現在の私の総括です。

今から5年後のスパンで見たときに、ビットコインの存在意義は次の2つです。

  • ブロックチェーンを活用した最初のケースであった
  • 仮想通貨の可能性を世の中に知らしめたパイオニアであった

ビットコインによって世界の人々がブロックチェーンの可能性に気づき、仮想通貨という新しい通貨形態を具現化させた役割を果たしたと思います。

その意味で、ビットコインは、現在進行での実験的な試みです。ブロックチェーンや仮想通貨全体の視点で長い目で見れば、1つ目の PDCA をまわしたのがビットコインです。様々な失敗や、うまく機能しなかったことから、社会が学び、より良い世の中になる手段であったと考えます。

ビットコインは、ブロックチェーンの活用に示唆を与えた存在です。

もう一つあるとすると、バブルへの教訓を残すことです。この世の中に価値が永続的に上がり続けるものはありません。

人間の歴史を振り返ると、過去にはいくつかのバブルが発生しました。古くはチューリップの球根、日本では土地の地価が上がり続けると信じられたこと、最近ではサブプライムローンです。


最後に


ビットコインの将来性は、私は懐疑的ですが、仮想通貨そのものやブロックチェーンは社会を大きく変えるものだと思います。

特にブロックチェーンについては、インターネットが社会を変え情報社会をもたらしたように、ブロックチェーンは価値を保存し交換するインフラとして期待しています。


おすすめの本


ビットコイン関連本のご紹介です。

デジタル・ゴールド - ビットコイン、その知られざる物語 という本は、ビットコインがどのように生まれたのかについて興味深く読めます。

ニューヨークタイムズ記者が2009年から2014年にかけて、世界中のビットコイン関係者に直接取材し、その実態について掘り下げたルポです。

ビットコインを考案した人物とされる 「サトシ ナカモト」 と初期のコア関係者のやりとりなど、ビットコインがどのように生まれ、広まっていったのかがリアルに描かれます。マウントゴックスなど、日本も主要舞台の1つとして登場します。

ビットコインの原点と歴史が書かれていて、一読の価値ありです。



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。