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2011/05/22

Bing+Facebook検索から考える情報入手のこれからの棲み分け

マイクロソフトが5月16日(現地時間)、同社提供の検索サービス「Bing」に対してFacebookと連携させた新機能を追加したと発表しました。Facebookの"Like"(いいね!)情報を活用し、友人やFacebookユーザーのオススメ情報などが検索結果に表示されるようになっているようです。
Facebook Friends Now Fueling Faster Decisions on Bing|bing

■bing+facebookで検索するとこうなる

新機能は、大きくTrusted Friends、Collective IQ、Conversational Searchの3種類。Trusted Friendsでは、キーワード検索の結果にFacebook上の友人が"Like"登録したページがあれば、その情報が表示されます(友人の顔写真が最大3名まで)。以下のイメージ画像では検索結果の3番目に友人の顔写真が表示される。

Facebook Friends Now Fueling Faster Decisions on Bing|bingより引用

Collective IQでは、友人に限らず、Likeをたくさん集めたサイトが検索結果の上位に表示されるようです。

Facebook Friends Now Fueling Faster Decisions on Bing|bingより引用

Conversational Searchでは、人名による検索結果にFacebookのユーザー情報が表示されたり、下のイメージのように地名を検索すると、そこに住んでいる(あるいは住んでいた経験のある)友人が表示されます。

 Facebook Friends Now Fueling Faster Decisions on Bing|bingより引用

このサービスを利用するためには、フェイスブックにログインした状態で、bingから検索する必要があります。また、現在はアメリカだけでのリリースのようです。

少し古いデータですが、ニールセンが2009年4月に、50か国で25,000人のネットユーザーを対象に調査を行ったところ、各国のネットユーザーの9割が「友人からのおすすめ」を信用していると回答しています。

<広告形態別の信頼度 2009年4月>

Nielsen Global Online Consumer Survey (PDF)|Nielsenから引用

今回のマイクロソフトとフェイスブックの取り組みは検索結果に友人のおすすめが出るということで、まさにこの信頼度を検索結果というアウトプットの(その人への)精度に活用するものです。Googleなどの従来の検索とは異なる「人と人とのつながり」という条件で結果が表示されるのです。

■インプットとしての検索の向上余地は?

それでは、検索のインプットのほうはどうでしょうか?あらためてネット検索でのインプットのプロセスを考えると、こちらのほうはまだまだ進化の余地があるように思います。検索をするには、まず自分が知りたいことを検索用語として打ち込みます。すなわち、具体的な単語にまで知りたいことを落とし込まないと検索自体ができないということ。「こないだのあれ、何だっけ」みたいなあいまいな状態では検索は有効に活用できません。もちろん、インプットとしての検索機能の向上例として、Googleでは、画像・動画・ニュース・リアルタイム、などとカテゴリーに絞って検索ができますが、これも入力する検索ワード、あるいはその組み合わせがうまくいっていないと、効果が薄れてしまいます。

上記で取り上げたbingのソーシャル検索ではアウトプットでの進化でしたが、インプットにおける検索についても検索のインプットでも新しい考え方・仕組みを期待したいところです。ユーザーに検索ワードを考えさせる、検索を色々と工夫しても、欲しい・必要な情報がなかなか上位に表示されない、など、よくよく考えるとネットでの検索は非常に便利とはいえ、まだまだ使い勝手がいいとは言えないように思います。ネットでの検索は検索連動型広告のおかげで無料サービスとして提供されていますが、もし今よりももっと早く・正確に必要な情報が手に入るのであれば、効率的な検索から時間を有効に使える有料サービスもあってもいいような気もします(実際に利用するかは価格と精度によりそうですが)。

■AISASで情報入手プロセスを考える

ここまで、マイクロソフトとフェイスブックの新しい検索機能の話から、検索のアウトプットとインプットについて考えました。情報を入手する手段としてはネット検索は便利ですが、一方で検索だけに頼る必要もないと思っています。検索というのはワードを指定して自分から情報を探しにいきますが、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアを使っていると、「必要な情報が向こうからやってくる」という感覚を持ちます。前提として、そのような情報を発信してくれる人(ニュースメディアやBotも含む)をフォローしておく必要がありますが、国内外問わず、大きなニュースなどは最近ではツイッターなどを経由して第一報を知ることが多くなっています。最近の例で言えば、ビンラディン殺害がそうでした。その後、気になったのでネットで調べてみると(検索)、CNNでのニュースとして大きく報じられていたり、オバマ大統領の発表演説が見つかり、これはデマではなく本当に起こったことのようだと実感するようになりました。ツイッターで知り、詳細を検索から、というプロセスでした。

ところで、AISASという消費者の購買行動モデルがあります。AISASとは、Attention(注意)=>Interest(興味・関心)=>Search(検索)=>Action(行動)=>Share(共有)の頭文字をとったもので、電通が考案したマーケティングにおける消費行動プロセスを表す考え方です。具体的には、消費者がある商品を知ってから購入に至るまでは、注意が喚起され、興味;関心が生まれ、関連する情報を検索し、その商品やサービス購入し、そのことを共有する、というプロセスのこと。


AISASはもともとは購買行動モデルですが、4番目のActionを、情報接触という行動と見なせば、情報接触・探索のモデルとしても当てはめられるように思います。AISASというプロセスでは、検索は真ん中のSにあたり、上流には注意、興味・関心がありますが、ソーシャルメディアで興味・関心が湧き、Googleで検索をするということです。

■情報入手をマトリクスで整理

先ほど、「情報入手は検索だけに頼る必要もない」と書きましたが、今後、マイクロソフト+フェイスブックのように検索にソーシャル性が加われば、自分にとっての情報入手は次のようなマッピングができそうです。


Googleリーダー、Google検索は今のところソーシャル性よりも、機械的なアルゴリズムにより検索精度の向上させています(Googleのミッションである「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」)。ただ、ソーシャルの取り組みがないわけではなく、Googleリーダーでは共有アイテムがあり、検索でも「+1」という新しいソーシャル機能に挑戦しています。IT系の世の中の流れとしてはソーシャル全盛な感じがありますが、個人的には、機械的な結果を提示してくれる(今の)Googleのような存在もあってほしいと思いますし、上記のマトリクスのような棲み分けごとに、それぞれがもっと使いやすくなってくれることを期待したいです。


※参考情報

Facebook Friends Now Fueling Faster Decisions on Bing|bing
Bing、Facebook連携を大幅強化 - 友人のいいね!などを検索結果に表示|マイコミジャーナル
Nielsen Global Online Consumer Survey (PDF)|Nielsen
世界で最も信頼される広告形態は「知り合いからのおすすめ」「ネットのクチコミ」【ニールセン調査】|MarkeZine
Googleは「+1」でソーシャル検索を実現できるのか?|思考の整理日記


2011/05/01

アイデアをつくるシンプルな原理と方法

「アイデアのつくり方」(ジェームス W.ヤング)という本を読みました。帯には60分で読めると書いてありますが、文庫本サイズで100ページほどで、著者自身の説明はわずか60ページ程度。早い人なら60分もかからないかもしれません。ただ、この本の内容はなかなかに深いことが書いてありました。

■アイデアをつくる原理

著者は、どんな技術を習得する場合でも大切なことが2つあると言います。第一に原理であり、第二に方法です(p.25)。これは本書の主題であるアイデアをつくり出す場合にも当てはまり、本書ではアイデア作成のための原理と方法が記されています。

それでは、アイデアをつくるための原理とは何でしょうか。著者によれば、1.アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない、2.既存の要素を新しい一つの組み合わせに導く才能は、事物の関連性をみつけ出す才能に依存するところが大きい、という2点に集約されます(p.28)。要するに、アイデアは組み合わせであり、そのためには関連性を見分ける才能が重要ということです。

■アイデアをつくる方法

次に方法です。著者はアイデアの作成には一定の明確な方法に従うと言います。よって、この技術を意識して修練することでアイデアをつくり出す能力は高められるとしています。アイデア作成の方法をまとめると以下の通りです。
1.資料・データ集め
2.資料・データの咀嚼
3.問題を放棄し、心の外にほうり出してしまう
4.アイデアの誕生
5.アイデアを具体化し、展開させる

■なぜ「ステップ3」で問題を放棄するのか

あらためてこの5段階の方法を見ると、3から4に至る間になぜアイデアが生まれるのかと思ってしまうかもしれません。ここで、もう一度アイデアをつくる原理に立ち返ってみると、アイデアは既存のもの組み合わせからできるということでした。そして組み合わせがどこで発生しているかと言うと、まさに3と4の段階で起こっています。

著者によれば、アイデアが現れるのはその到来を最も期待していない時だと言います。例えばお風呂に入っている時や真夜中に目を覚ました時で、そのためステップ3において、いったん忘れろとしているのです。だから著者が薦めるのは、音楽を聴いたり、劇場や映画に出かけたり、詩や探偵小説を読んだりすることでした。ただ、これも何のためかを考えると、自分の想像力や感情を刺激するためであり、つまりは頭の中で新しい組み合わせが起こりやい状況をつくるためなのでしょう。こう考えれば、ステップ3は組み合わせをする段階とも言えます。

■アイデアは組み合わせである

アイデアは既存の要素の組み合わせであるという著者の主張は、なるほど確かにその通りかもしれません。この視点で身の回りを考えてみると、実はいろいろなものがA+Bに要因分解できることに気づきます。

例えば世界で6億人以上のユーザーがいるFacebookですが、もともとは顔写真入りの紙の学生名鑑をオンラインで実現したという名簿+ネットという組み合わせでした。もちろん、ここまでユーザーが増加した要因は様々あり、戦略的にユーザーを増やしたこと、ユーザー増に耐えうるサーバー増築、フェイスブック上の友達の更新情報が1つに集約されるニュースフィードの公開、広告によるマネタイズなど、上記のアイデア作成の方法のステップ5である、具体化・展開で成果を出した結果なのでしょう。(このあたりは書籍「フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)」に詳しく書かれています)

繰り返しになりますが、このアイデア作成の方法は意識することで能力を高められると書かれています。アイデアをつくり出すのは別に1人だけで行なうものではなく、組み合わせを複数人で実施してもいいのです。あるいは、アイデアの具体化や展開もむしろ他人の目を入れることで、より強固なアイデアになるかもしれません。

ステップ3から4の工程は、当然ながら言うほど簡単ではありません。ただ、これは今のところ人間がコンピューターに勝てる領域だと思います。コンピューターはデータの保存は得意でも、忘れることは苦手です。そして、今までにはない組み合わせを試みるのも不得手なのではないでしょうか。

「アイデアは組み合わせである」。深い内容ですね。



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2011/02/27

多様性を希望したい今後の検索サービス

グーグルの公式ブログ:「Official Google Blog」に、2/24付で次のような記事がエントリーされていました。Finding more high-quality sites in search

■グーグルの検索アルゴリズム変更

記事によれば、アメリカ時間の同日に検索アルゴリズムを大幅に変更したとのこと。改訂の目的は、質の低いサイトを検索結果から除外し、質の高いサイトを上位に上げるためというもの。グーグルによれば、質の低いサイトとは役に立たないコンテンツや単に他からコピーしたコンテンツなどを指しています。なお、検索アルゴリズムの変更はまずはアメリカだけのようで、今後は他国にも展開すると記事では言及しています。

ちなみに、今回のアルゴリズム変更前のことですが、グーグルの検索結果が自分の望む情報が得られない状況を批判した記事がTechcrunchに掲載されていました(記事:Search Still Sucks)。この記事の記者によると、旅行先の宿泊ホテルを探す時やガジェット製品レビューを検索する時は、グーグルは使っていないと言っています。つまり、この分野ではグーグルで検索をすれば自分に必要な情報よりも、そうでないサイトばかりが表示されるのだと思います。24日の今回のグーグルの検索アルゴリズムの変更はこうした状況を改善しようというものです。

グーグルが検索アルゴリズムを改善し続けるのは、彼らが次のようなゴールを設定しているからです。Our goal is simple: to give people the most relevant answers to their queries as quickly as possible. (Official Google Blogより) 目指すところは同じですが、ここ最近はグーグルとは異なる方法を取る検索サービスが登場しているのが興味深いです。

■グーグルとは異なる新しい検索サービス

まずはマイクロソフトのbing。これも2/24付のbingのブログによると、検索結果にフェイスブックの「いいね」ボタンの情報を表示させるそうです。どういうことかと言うと、検索結果のサイトに対してユーザーのフェイスブック内の友達が「いいね!」を投稿していれば、URLの下に友達のアイコンが並び、「いいね」としたことが表示されるのです(図1)。

引用:Bing expands Facebook “Liked Results” | bing Community

bingと同じようなことをblekkoという検索サービスがグーグルに挑戦しています。詳細はこちら:Blekko Goes Social, Now Lets You Search Sites Your Friends Have ‘Liked’ On Facebook | Techcrunch

■コンピューターvs人間

グーグルは検索アルゴリズム、すなわち技術を徹底的に追及することで、検索結果向上を目指しています。一方で、上記のbingやblekkoなどは、友達の「いいね」という人の情報を加味した検索結果を返します。

bingについては、表面的にはグーグル対マイクロソフトの対決に見えますが、実は起こっていることはグーグル対フェイスブックだと思っています。これは個人的な見方ですが、グーグルの思想には、あらゆることをコンピューターがするにようなる、という考え方があるような気がします。一方のフェイスブックは、人を中心に置くという思想であることが「フェイスブック 若き天才の野望」という本では、「人間中心型情報構造」という表現で書かれています(p.431)。

■多様な検索サービスを

では、これら検索サービスについてどう考えるのか。個人的には、グーグルの検索システムはこれからも必要であり、フェイスブックのようなSNSによるソーシャルグラフの情報を活用した新しい検索システムもあってもいいと思っています。現在の検索サービス市場のシェアはグーグルが独占している状況です(図2)。

出所:Experian Hitwise

多様な検索サービスがあり、そして実現されるのはグーグルの目指すゴールであってほしいと思っています。Our goal is simple: to give people the most relevant answers to their queries as quickly as possible.

そう言えば今日、あるテレビ番組で次のような言葉を耳にしました。
「人生での無駄な時間は探し物をする時間である。」

探し物が情報である検索にも、この言葉は当てはまるのではないでしょうか。


※参考情報

Finding more high-quality sites in search | Official Google Blog
Search Still Sucks | Techcrunch
Bing expands Facebook “Liked Results” | bing Community
blekko
Blekko Goes Social, Now Lets You Search Sites Your Friends Have ‘Liked’ On Facebook | Techcrunch
Experian Hitwise reports Bing searches increase 21 percent in January 2011 | Experian Hitwise


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2011/02/05

facebookの理念とこれからを考える

「フェイスブック 若き天才の野望」という本を読みました。早くも2011年の読んだ本ベスト5に入りそうなくらいおもしろく、示唆に富む内容でした。

著者のデビッド・カークパトリックによるマーク・ザッカーバーグ(フェイスブックCEO)本人へのインタビュー取材、その他数多くの関係者への取材内容から書かれたものです。特筆すべきは、その取材量の膨大さで、巻末の著者による謝辞にはインタビューをした関係者の名前一覧が載っており、ざっと数えただけでも100人を超える人数です。

■映画「ソーシャル・ネットワーク」との違い

この本のおもしろさには、2つの切り口があると思いました。1つはフェイスブックの歴史と言っていいほど、ハーバード大学での立上げから規模拡大、5億人のユーザー規模に至るまでの経緯が、その間の人間関係などと併せてとてもリアルに描かれていることです(注.2011年2月現在は6億人を超えている)。これは膨大な取材量だからこそ再現できたのだと思います。

この点は1月に日本でも公開された映画「ソーシャル・ネットワーク」と大きく異なる点だと思いました。余談ですが、映画を見た印象を一言で言えば、フェイスブックの1つの側面を描いているにすぎないというもの。これは、フェイスブックの共同創業者であり後にCEOのマーク・ザッカーバーグを訴えることになるエドゥアルド・サヴェリンからの視点が色濃く出ていること、また、映画作成にあたりザッカーバーグへの取材を断られているためザッカーバーグがフェイスブックを通じて何をしたいか(フェイスブックの本質的な部分)があまり描かれていないこと、ストーリーではユーザー数が100万人突破からの先が省略されていること、などが主な理由です。その点、「フェイスブック 若き天才の野望」にはフェイスブックの歴史が忠実に書かれていると思わされたのが印象的でした。フェイスブックに興味のある方は、この映画だけではなく本書「フェイスブック 若き天才の野望」も読んでみてもおもしろいと思います。一読の価値ありです。

■facebookの理念

2点目のおもしろさは、CEOのザッカーバーグがどう考えていたのか・考えているのか、フェイスブックとグーグルの設計思想の比較、フェイスブックにはどのような価値があるのか、今後の可能性など、これからのネットの世界のあり方を示唆する内容が豊富に書かれている点です。

本書を読んで見えてきたのは、フェイスブックの理念は「オープンな世界・透明な世界をつくること」です。これはCEOであるザッカバーグ個人の核となる思想でもあり、本書では何度もこの表現が出てきます。フェイスブック上ではユーザーが自分の名前を実名で登録し、自分の身元に即したプロフィールを公開することがルールになっています。プロフィールには、顔写真、連絡先、生年月日、出身地、学歴、現在の所属先(勤め先など)、趣味・関心、好きな言葉や本・音楽、宗教、政治観、フェイスブックに何を求めているか(情報共有、出会いなど)、といった内容を一通り読むだけで、その人のことある程度わかるようになっています。このようなフェイスブックの厳格なまでの実名主義は、まさにこのオープンで透明な使命を果たすためのものです。

フェイスブックのコンセプトは、本書に書かれている「フェイスブックの本質はソーシャルグラフに基づいて現実世界をデジタル世界に移し替えるものが」(p.496)というザッカーバーグの言葉に表れていると思いました。順番としてリアルな世界での家族・友人・知人という人間関係があり、それをフェイスブックというデジタルなオンライン上の世界に移すという設計思想です。よって、フェイスブックではリアルに近い友人同士などでの信頼関係に基づいたソーシャルグラフ(人間関係)が築かれるのです。

では、なせフェイスブック、もっと言えばザッカーバーグは「オープンで透明な世界」を目指すのでしょうか。それは、透明な世界では個人がより責任をもって行動するという信念を持っており、フェイスブックを通じてそういう世界をつくりたい、そしてよりよい世界にしたい、世界を変えたいと考えているからです。

■オープンとプライバシー

フェイスブックの理念、そしてザッカーバーグの信念は「オープンで透明な世界」です。この考え方に時として相反するのがプライバシーの問題。「フェイスブック 若き天才の野望」を読むと、フェイスブックにはプライバシー問題が常につきまとっていたことがわかります。例えば、自分の近況やあらゆる更新情報が友達のフェイスブック上に表示されるニュースフィードという機能がリリースされた時は、(当初はニュースフィードのメリットが十分に伝わらず)自分が公開を望まない情報までも送られることに何十万人もの反対グループができました。

ザッカーバーグはプライバシー問題をどのようにとらえているのでしょうか。それは、「オープンで透明な世界」という信念が目的であり、プライバシー問題は手段だということ。すなわち、オープンと透明性に至る方法として、プライバシーを位置づけており、だからフェイスブックではプライバシー設定が細かく制御できると書かれています。制御を細かくできることで安心感を与える、ザッカーバーグが期待するのはそうすることで次第にみんながオープンになることのようです。これに関して、前述のニュースフィード抗議グループを立ち上げたベン・パーはある記事でこのように書いていたようです。自分の生活や考えを親しい人に共有することが快適になってきた、それが新しいテクノロジーの発展とザッカーバーグによって。そしてこうも書いています。プライバシーは消えていない、むしろユーザーにとって容易に制御できるようになっており、共有したいことは誰にでも公開する、秘密にしたいことは公開しない、あるいは自分の頭の中にとどめておけばよい、と。

プライバシーに関して思うのは、自分の情報に対する公開/非公開の判断は、自分自身で判断するしかないということです。上記のようにフェイスブックではプライバシー設定により、確かにある程度の自由度が公開/非公開のききます。ただ、仮に自分のプロフィールや連絡先情報を「友人のみ」と限定した場合でも、ネット上に公開していることには限りなく、その友人から情報が流れる可能性はゼロではありません。であるならば、これを前提として理解した上で、公開のメリットを楽しめばいいのではないかと思います。mixiなどでは匿名のニックネームでの登録・公開も多く見られ、一見すると自分の知っている友達かどうかの判断に迷うことがあります。一方のフェイスブックでは実名や経歴、あるいは写真などのプロフィールから、よりリアルな友達とつながりやすい環境を提供しています。そのためにも、ネット上での自己データ公開リテラシーを各自それぞれが自分の基準で持つべきではないでしょうか。

■facebookのこれから

ユーザーが多ければそれだけ利便性が高まる「ネットワーク効果」。ネットワーク効果により、ナンバー1の位置を確保すれば、ますますユーザーが増えていくという好循環が起こります。この典型がGoogleでしょう。SNSの世界では、フェイスブックでそれが起こりました。ただ、本書を読むとフェイスブックはまだまだいろんな可能性があることを感じさせます。

すでに多数の企業がフェイスブック上に自社のフェイスブックページ(ファンページから名称を変更)を設け、プロモーションやマーケティングに活用しています。広告媒体としての価値も認められつつあります(参照:Nielsen調査)。フェイスブックのある幹部の発言である「モバイルこそ本質的にソーシャルである」からも読み取れるように、2011年の今年はモバイルにも注力していくようです(参照)。

それ以外の大きな動きとしては、独自通貨であるフェイスブッククレジットです。TechCrunchの記事によれば、フェイスブックは2011年7月以降にフェイスブック上のゲーム開発者に対して、フェイスブッククレジットの利用を義務付けるとのこと。ソーシャルゲームの収益構造の特徴にアイテムなどの課金モデルがあり、これにフェイスブッククレジットが利用されることになります。まずはゲームの世界ですが、今後はコンテンツだけでなくモノを買う場合にもこのクレジットが使われるようになるのでしょう。すでに6億人を突破したフェイスブックは、中国とインドに次ぐ第三の国と表現されることもありますが、フェイスブッククレジットに信用が伴えばリアルの通貨と同様の価値が生まれるかもしれません。国を越えた決済に必ず発生する為替が、フェイスブッククレジットでは存在しないことも、旅行やもしかしたら輸出入にも利用されるなんてこともありそうです。もう一つ、現在のフェイスブックの収益へはBtoBビジネスである広告からが最も寄与していると思いますが、ユーザーから直接の収益を上げることができれば、BtoCにもマネタイズ領域を広げられそうです。

フェイスブックが誰でも使うようなインフラ、あるいはザッカーバーグの「公共事業」という表現が現実になれば、国民と政府や国との意見交換の場としても使われることも考えられます。そこでは実名や身元のあるプロフィールに伴う参加者の議論が交わされ、これこそがフェイスブックの理念である「オープンで透明な世界」を体現することになり、ザッカーバーグの描く「よりよい世界」がつくられるのかもしれません。

前述のように、フェイブックはリアル社会での友人知人関係を映した鏡のようなものです。それに加えて、リアルな世界にある時間的・空間的な制約がずっと小さいというネットの特徴を活かせば、それは友人とのつながりは鏡以上の頻度や新密度となり得ます。「フェイスブック 若き天才の野望」という本の原題は「The facebook Effect」です(個人的には「野望」という訳にやや違和感ありますが)。フェイスブックの人間を中心としたソーシャルグラフが引き起こす効果はどんな未来をつくるのでしょうか。


※参考情報

映画「ソーシャル・ネットワーク」 - オフィシャルサイト
http://www.socialnetwork-movie.jp/

Nielsen/Facebook Report: The Value of Social Media Ad Impressions|nielsenwire
http://blog.nielsen.com/nielsenwire/online_mobile/nielsenfacebook-ad-report/

Facebook CTO Bret Taylor: “Mobile Devices Are Inherently Social”|TechCrunch
http://techcrunch.com/2011/01/25/facebook-cto-bret-taylor-mobile-devices-are-inherently-social/

Facebook CTO Bret Taylor: “Mobile is the primary focus for our platform this year.”|Inside Facebook
http://www.insidefacebook.com/2011/01/25/bret-taylor-facebook-platform-mobile/

Facebook、ゲームデベロッパーに独自仮想通貨Facebook Creditsの利用を義務付けへ|TechCrunch JAPAN
http://jp.techcrunch.com/archives/20110124facebook-to-make-facebook-credits-mandatory-for-game-developers/


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2011/02/04

facebookで国民の声を聞くデジタル民主主義なインド

フェイスブック情報に特化したブログ「All Facebook」に、次のような記事がアップされていました。
Indian Government Asks For Budget Input On Facebook|All Facebook
(インド政府はFacebookで国家予算への意見を募る)

■フェイスブックから国民の声を聞くインド政府

同記事によれば、インド政府はフェイスブック上に専用の「フェイスブックページ」(ファンページから名称を変更)を設定し、2012~2017年の5ヶ年の国の予算について国民の意見を広く募るそうです。この取り組みに関して、インドのビジネスブログ「Trak.in」には、もう少し詳しく書かれています。国家予算について国民の意見を集める場としては、専用サイトとフェイスブックが用意されているようです。

この専用サイトには、Strategy Challengesとして次のような12項目が明記されています。今後インド政府が重点的に取り組む分野なのでしょう。

<12 Key Strategy Challenges>
1. Enhancing the Capacity for Growth (成長)
2. Enhancing Skills and Faster Generation of Employment (雇用)
3. Managing the Environment (環境)
4. Markets for Efficiency and Inclusion (市場の効率化)
5. Decentralisation, Empowerment and Information (地方分権)
6. Technology and Innovation(技術革新)
7. Securing the Energy Future for India (エネルギー)
8. Accelerated Development of Transport Infrastructure (交通インフラ)
9. Rural Transformation and Sustained Growth of Agriculture (農業)
10.Managing Urbanization (都市開発)
11.Improved Access to Quality Education (教育)
12.Better Preventive and Curative Health Care (ヘルスケア)
出所:12TH five year plan (Government of India Planning Commission)

インド政府の今回の取り組み、とりわけフェイスブックを使って国民の声を聞くことは、かなり驚かされました。企業レベルであれば、ここ最近は日本でも複数の企業が自社のフェイスブックページを開設し、そこでは商品説明や、画像、動画があったり、キャンペーンの告知や、担当者とユーザーの双方向からの発信がウォール上に流れているのを見かけます。これと同じことを、インドでは政府が、しかも5ヶ年の国家予算という大きなテーマでやろうとしているのです。もちろん、専用のサイトがありフェイスブックの位置づけは、あくまでそれを補足するものだとは思います。同時に、実験的な意味合いもありそうです。(これを考慮しても、個人的には驚きですが)

■フェイスブックユーザーの偏り

インド政府の意欲的な取り組みだと評価する一方で、フェイスブックで本当に国民の意見が集めらるのかという疑問も生まれます。フェイスブックを使うということは、そこでの議論や自分が書き込むためにはフェイスブックユーザーでなければいけません。あるいは、PCにしろモバイルにしろネットに接続できる環境が必要です。逆に言うと、そのような条件にない人々は排除されてしまいます。

フェイスブックのユーザー数などのデータを公表しているsocialbakersでは、11年2月4日時点でのインドのユーザー数は約2,000万人となっています(図1)。国別では第7位とはいえ、それでもインド全人口(約12億人弱)に占めるフェイスブックユーザーは2%にも満たない状況です。


出所:socialbakers


以下(図2)はインドの人口構成を男女×年代で表したものです(きれいなピラミッドを構成しています)。

出所:国連による人口推計から作成

同じくsocialbakerにはインドでのフェイスブックユーザーの男女別の構成比が提示されています(図3)。なんとユーザーの7割が男性で、明らかにインド人口のそれと異なります。これから予想されることとして、フェイスブック上での意見は男性の声がより多くなることが考えられます。

Male/Female User Ratio on Facebook in India

出所:socialbakers


以上のような状況から、フェイスブックに集まる声にはユーザーのバイアス(偏り)が発生していることから、一般の人々の意見とのかい離が発生する可能性もあります。

■フェイスブックが目指す「オープンで透明な世界」

もっとも、インド政府はそんなことは十分に承知でしょう。その上でフェイスブックを民主主義のインフラとしての可能性を試しているのだと思います。そういえば、冒頭で紹介したAll Facebookにはこんな記事が紹介されていました。ニューヨークのブルームバーグ市長がフェイスブックCEOのザッカバーグと会談し、ニューヨーク市民のためにフェイスブックページをつくることについて意見交換をしたとのこと。同市長はソーシャルメディアの大きな可能性に言及したようです(一方、これに関してフェイスブックの正式コメントはない模様)。

話をインドに戻すと、気になるのは、本日時点(2/4)でインド政府によるフェイスブックページ「Twelfth Plan」に登録しているユーザー数は1,000人を超えた程度にすぎない点です。まだ人々に認知されていないだけなのか、あるいは興味がないのかなどはわかりませんが、今後の状況はどうなっていくのでしょうか。

フェイスブックは原則として実名主義であることから、フェイスブックページへの書き込みも身元がわかる実名とともに意見が反映されます。また、その様子はフェイスブックユーザーであれば誰でも見ることができます。これは、まさにフェイスブックが目指す「オープンで透明な世界」です。今回のインド政府がフェイスブック上で国民に意見を問う試みは、今後のデジタル民主主義のパイロットケースになるのかもしれせん。


※参考情報

Indian Government Asks For Budget Input On Facebook|All Facebook
http://www.allfacebook.com/indian-government-asks-for-budget-input-on-facebook-2011-02

Twelfth Plan|facebook
http://www.facebook.com/TwelfthPlan

wow…Govt goes hi-tech! 12th Five Year Plan uses Web & Facebook for citizen Feedback|Trak.in
http://trak.in/tags/business/2011/02/03/indian-government-planning-commission-12th-five-year-plan/

12TH five year plan|Government of India Planning Commission
http://12thplan.gov.in/

India Facebook Statistics|socialbakers
http://www.socialbakers.com/facebook-statistics/india

NYC Mayor Wants Municipal Page On Facebook Site|All Facebook
http://www.allfacebook.com/nyc-mayor-wants-municipal-page-on-facebook-site-2011-02


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2010/11/27

書籍 「ソーシャルメディア維新」

「ソーシャルメディア維新」(オガワカズヒロ マイコミ新書)という本を読みました。今回のエントリーでは、同書で取り上げられているグーグルとフェイスブックを中心に見ていきます。

■「ソーシャルメディア維新」の主題

この本の内容を一言で表現すれば、ウェブトラフィックがグーグルの「検索エンジン」からフェイスブックなどの「ソーシャルメディア」へのシフトです。具体的には、各種ウェブサイトへ行く時に従来はグーグルで検索をしていたのが、フェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディア経由となっている状況を指しています。ちなみに副題でも、フェイスブックが塗り替えるインターネット勢力図、とあります。

少し古いデータですが、アメリカの調査会社Hitwiseの発表(2010年3月15日)によれば、アメリカでのアクセス数でフェイスブックがグーグルを抜いたようです(図1)。フェイスブックは前年同週比で185%増、一方のグーグルは9同%増としています。


■検索エンジンからソーシャルメディアへのパラダイムシフト

グーグルの検索エンジンからフェイスブックなどのソーシャルメディアへのシフトを見るため、まずはグーグルについて考えてみます。

グーグルは次のようなミッションを掲げている企業です。Google's mission is to organize the world's information and make it universally accessible and useful.(Googleの使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることである) グーグルがこれまでやってきたことは、まさにこのミッションに従ってのものであり、社会にあるありとあらゆる情報をウェブ上に整理し、検索可能な状況をつくる努力をしてきたのだと思います。

グーグルのすごさは、ネットでの検索エンジンで世界一になり、かつそこから検索連動型などの広告モデルを自分たちの収益に結びつけたことです。グーグルは多くの人がネットを使えば検索も利用されると考えており、だから彼らは検索可能な領域を増やし続けてきたのではないでしょうか。

このようなグーグルとユーザーのWinWinの状況を脅かしつつあるのが、フェイスブックなどのソーシャルメディアの存在です。ツイッターを使っていて実感することに、何かのサイトやコンテンツを知るきっかけがフォローしている人のつぶやく情報だということがよくあります。例えば話題になっているニュースを知るきっかけはツイッターという状況が普通に起こるようになりました。

「ソーシャルメディア維新」ではツイッター上を流れるつぶやきなどの総称をソーシャルストリームと表現し、グーグルのこれまでの情報整理の仕方ではソーシャルストリームのスピードに追いつけていない状況が発生していると言います。というのも、グーグルの考え方はウェブの最小単位をウェブページとし、それらのリンク構造を把握することで正確な検索技術を実現してきましたが、ソーシャルメディアの台頭で、ウェブページよりもその上に流れている情報やコンテンツが重要になってきたからで(図2)、その流れのスピードがグーグルにとって速すぎるのです。「ソーシャルメディア維新」では、このような状況の結果として、グーグルの検索エンジンからソーシャルメディアへのパラダイムシフトを起こしていると指摘しています。



■Facebookが目指すもの

フェイスブックのグーグルに対する優位性に、フェイスブックの5億人を超えるユーザーの人間関係情報(ソーシャルグラフ)があります。さらには、各ユーザーが持つ様々な情報への興味・関心もそうで、例えばLikeボタンにより、これらの興味関心までもユーザー同士でつながります。「ソーシャルメディア維新」という本では、フェイスブックが行おうとしているのは人間関係というネットワークをウェブに移すこと、すなわち人間関係のクラウド化であり、かつウェブ上にある様々なコンテンツとフェイスブック内の人間関係を結びつける「オープングラフ」だと指摘しています。

上記のようにグーグルの捉え方はウェブページとウェブページのリンクでしたが、フェイスブックはユーザーの人間関係や興味・関心のリンクを目指します。グーグルはウェブ上の情報を整理してくれますが、フェイスブックはウェブ上の情報を各ユーザーの自分好みにパーソナライズ化してくれる存在なのです。

■Facebookの課題

一方で、「ソーシャルメディア維新」ではフェイスブックが抱える課題についても言及しています。その最も大きな課題がプライバシー問題と言います。先ほどフェイスブックの優位性にユーザー同士の人間関係や興味・関心と書きましたが、実は優位性となる前提としてこれらの情報がオープンに公開されている必要があります。しかし、ユーザーにとっては当然ながら公開したくない情報もあり、それがユーザーとフェイスブックの間に齟齬が起こりプライバシー問題につながってしまうのです。

グーグルが自社の検索技術から検索連動型広告という収益モデルを築いたように、フェイスブックは自分たちが保有する優位性を収益に結び付けるためにこの課題をどう解決するか、世界中にいる5億人のユーザー数とそこから発生するウェブのトラフィックからの換金方法を見出した時、ソーシャルメディアによる維新が起こるのかもしれません。


※参考情報

Facebook Reaches Top Ranking in US (March 15, 2010) | Hitwise
http://weblogs.hitwise.com/heather-dougherty/2010/03/facebook_reaches_top_ranking_i.html

Google's Mission
http://www.google.com/corporate/facts.html


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ソーシャルはユニバースかマルチバースか

11月4日にソフトバンクモバイルとミクシィは、「ソーシャルフォン」サービスの提供を開始すると発表しました。

■ソーシャルがモバイルのベースに

発表内容を見ると、「ソーシャルフォン」サービスは、mixiのさまざまな機能とスマートフォンの機能を連動させることで、友人・知人とのコミュニケーションを、より便利に楽しんでいただけるスマートフォン向けのアプリケーションサービスです、とあり、2011年2月より開始するようです。スマートフォンの電話帳とmixiの友人データが自動的に同期するなど、これまでの「スマートフォン+SNSアプリ」とは異なり、注目に値すると思っています。(とはいえ、買うことはないかと思いますが)

SNS世界最大手のFacebookは、世界でユーザーが5億人を突破し現在も増え続けているようです。CEOのZuckerberg氏はFacebookケータイについてあるインタビューで次のように語っています。(出所:TechCrunch) Our whole strategy is not to build any specific device or integration or anything like that. (中略) Our strategy is very horizontal. We’re trying to build a social layer for everything. (中略) So I guess, we view it primarily as a platform. Our role is to be a platform for making all of these apps more social,  英語部分をすごく簡単に言ってしまえば、Facebookケータイではなくプラットフォームをつくりたいとのこと。

また、別の記事(Scobleizer)によれば、Facebookがソーシャルフォンそのものを開発しないであろう理由として、以下を挙げています。 Facebook is so powerful that mobile companies are forced to build their own Facebook apps, after all, who would buy a phone that doesn’t have Facebook today?  すでにたくさんのケータイにはフェースブックのアプリが入っており、故に、フェースブック自身がケータイを開発する必要がないことを示唆しています(記事ではこれ以外にも開発しない理由が書かれています)。

ソーシャルケータイをリリースするmixi、自らは開発しないと説明するFacebook。どちらの戦略が正しいかは現時点ではわかりませんが、いずれにしてもSNSなどのソーシャルグラフ(人間関係)をモバイルであたかも身に着けるような方向性に進んでいるように思います。上記のmixiフォンではついに、SNSのデータが電話帳に同期します。これまでは、モバイル機能の1つでしかなかったソーシャルが、ソーシャルをベースとしたモバイルの登場です(図1)。



■ソーシャルは1つになるのか?

さて、私たちは複数の人間関係を持っています。家族、彼氏・彼女、友人、バイト仲間、仕事関係、などなどです。ここで、いくつかの人間関係を下図のようなマトリクスで整理してみます(図2)。



リアル世界では、これまでは自分の持つ人間関係は別々に存在していました。しかしSNSなどの登場により人間関係がSNS上でつながり、自分に関係ある人たちがフラットに並びつつあるような気がします。今後ますます多くの人がSNSを利用した場合、そこには仕事の同僚もいれば、幼馴染もいたりとか、1つの大きな人間関係がソーシャル上に存在することになっていくことも考えられます(図3)。いや、もしかしたら、ビジネスライクなSNS、友達用のカジュアルなSNS、などと、複数のソーシャルを持つのかもしれません(図4)。

ユニバース型SNS




マルチバース型SNS



人間は社会的な動物です。人とつながりたいという気持ちは普遍的な感情だと思います。これは何もSNSができたからでは決してなく、大昔からずっとそうだったはずです。人間の三大欲求には含まれませんが、人間の本能に近い欲求なのではないでしょうか。ソーシャルというキーワードはますますいろんなところに入り込んでいきそうです。


※参考情報

「ソーシャルフォン®」サービスを提供開始 (ソフトバンクモバイル株式会社)
http://www.softbankmobile.co.jp/ja/news/press/2010/20101104_03/index.html

Interview With Mark Zuckerberg On The “Facebook Phone” (TechCrunch)
http://techcrunch.com/2010/09/22/zuckerberg-interview-facebook-phone/

Why Mark Zuckerberg would be an idiot to announce a hardware device today (scobleizer)
http://scobleizer.com/2010/11/03/why-mark-zuckerberg-would-be-an-idiot-to-announce-a-hardware-device-today/


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書いている人 (多田 翼)

ベンチャーから一部上場企業の経営・事業戦略を支援。マーケティング、コンサルティング・アドバイザー・メンター、プロダクトマネジメント。前職は Google でシニアマーケティングリサーチマネージャー、現在は独立 (詳細は LinkedIn または Facebook をご覧ください) 。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。