投稿日 2017/01/28

書評: 白米が健康寿命を縮める - 最新の医学研究でわかった口内細菌の恐怖 (花田信弘)


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白米が健康寿命を縮める - 最新の医学研究でわかった口内細菌の恐怖 という本をご紹介します。



本書の内容


本書の内容紹介から引用です。

歯原性菌血症という言葉をご存知だろうか。菌血症とは、細菌が血中に入り込み、全身の血管を巡るものをいう。

通常は血管の中に細菌は入らないが、身体の中でただ1カ所、日常的に細菌が血管に容易に入ることのできる場所がある。それは歯の根元にできた虫歯や歯周病である。

この歯原性菌血症は、気づかぬ間に全身の血管でじわじわと炎症を進行させ、血管を劣化させて、心筋梗塞、脳梗塞、動脈硬化、がん、認知症、リウマチなど、種々の慢性病の原因となることが、最新の DNA 解析技術でわかってきた。

とても興味深く読めました。この本からの学びは大きく3つでした。


学び 1: 虫歯や歯周病は口の中だけの問題ではない


先ほどの引用に書かれていたように、虫歯や歯周病が原因で、様々な身体の病気が引き起こされることです。具体的には、心筋梗塞、脳梗塞、動脈硬化、がん、認知症、リウマチ、様々な慢性病を起こします。

メカニズムは、以下の通りです。

  • 虫歯菌や歯周病菌が、歯や歯の根元の毛細血管内に入り、全身の血管に行き渡る (歯原性菌血症)
  • 血管内の細菌数が増えすぎると、血管内で慢性的な炎症が起こり血管が劣化する (動脈硬化が起こる)
  • 劣化した血管が原因で様々な疾患に。がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、慢性関節リウマチ、脳脊髄膜炎、心内膜炎、血行性肺炎、急性虫垂炎、肝臓腫瘍、脾臓腫瘍、など

これまでは虫歯は口の中だけの問題という認識でした。本書からの学びは、そうではないことでした。虫歯や歯周病が、身体全体に深刻な影響を及ぼすのです。

学び 2: 虫歯や歯周病の原因は、砂糖だけではなく 「糖質」 も


虫歯と歯周病の主な原因はプラーク (歯垢) です。歯垢は食べカスではなく、細菌の塊です。歯垢の細菌が糖質を分解し、酸や毒素が作られます。この酸や毒素により虫歯や歯周病が発症します。

たんぱく質、脂質、炭水化物の三大栄養素のうち、虫歯や歯周病の原因になるのは炭水化物です。正確には炭水化物から食物繊維を除いた糖質です。

糖質制限の話はダイエットの視点で語られることが多いでしょう。本書のタイトルは 「白米が健康寿命を縮める」 とあり、白米だけではなくパンやめん類などの糖質は、歯科の観点からも影響が大きいのです。

学び 3: 虫歯や歯周病を効果的に予防する新しい治療法 「3DS 除菌治療」


3DS とは、本書の著者である花田信弘氏らによって開発された治療法です。Dental Drug Delivery System から 3DS と呼ばれています。

専用の抗菌剤や殺菌消毒薬の薬剤をマウスピースに入れ (写真左) 、歯に装着します (写真右) 。薬により菌を減少させます。


かみむら歯科矯正歯科クリニック より


最後に


本書を読む前までは、歯のケアは大きく2つをやっていました。

  • 歯磨き、マウスウォッシュ、歯間ブラシ
  • 3ヶ月に1度の頻度で歯医者での歯のクリーニング

これらに加えて今後は、糖質や砂糖をなるべく食べないようにすると決めました。白米や玄米などのお米、パン、めん類などは基本的に食べません。砂糖が多く使われている菓子類やジュースも口に入れないようにします。

3DS 除菌治療を受けるかどうかはまだ決めていません。虫歯や歯周病の予防方法として魅力に思う一方で、2つのハードルがあります。

1つ目は料金です。2017年1月現在、3DS は保険適応外の自費診療です。調べてみると歯医者によって料金にばらつきが見られ、高いところでは5万円以上します。

2つ目は、3DS は一部の歯医者でしか行われていないことです。あいにく、かかりつけの歯医者さんではやっていませんでした。

本書はとても興味深く読め、おすすめします。



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。