2013/06/09

自動車×インターネットという有望フロンティア

携帯電話もPCも便利になったのは、インターネットにつながったからです。ネットというオープンなネットワーク系に高速・常時・低コストでアクセスできるようになったことは画期的だったと思っています。

ネットアクセスを期待したいもので残っているのは、TVや家電、そして自動車です。今回のエントリーでは、自動車×ネットという組み合わせを考えてみます。

■ネットにつながり自動車情報が可視化される恩恵

デバイスがネットと組み合わさることの意味は、
  • 個の情報発信
  • 双方向性
の2つだと思っています。例えばスマホ自身からネットに向かって情報発信が行われ、ネットを介してスマホ同士が双方向のやりとりを行なう。各スマホがネットというオープンな系と連携することで、スマホには様々な情報が入ってくる。それを整理することでユーザーにとっては便利になるわけです。

自動車もネットにつながると「個の情報発信」「双方向性」が起こり、スマホで享受されているような利便性が期待できます。車それぞれの情報が集まり集約することでいろんなことが可視化されます。それにより便利になる。思いつくことを挙げてみると、

渋滞情報:道路上の走行情報から、リアルタイムにどの道が混んでいる/渋滞しているのかがわかる。◯分後の渋滞予測や、来週のお盆の時期の混み具合も予測できるモデルができるかもしれません。すでにGoogle mapではAndroidの位置情報を活用して実現できています。これが「車に乗っているAndroidユーザー(かつ位置情報オン&情報提供OK)」ではなく「車そのもの」の情報で、かつ全ての自動車から情報が収集されれば、より精度が上がります。(とはいえ、全自動車でなくてもAndroidユーザーだけでもそれなりの誤差に抑えられているのであればサンプリングとしては十分で、全数調査をしなくてもいいかもしれませんが)

駐車場の空き状況:渋滞情報と似ていますが、どの駐車場が今空いているかもリアルタイムでわかると便利です。自分が行きたいところの近くのどこに駐車場があるかは今でもわかりますが、それが満車なのか空きなのかは駐車場に行ってみないとわからない。満車が続くと駐車場をたらい回しにされているようなもの。空き状況の把握と、車の中から駐車場の予約ができると便利そうです。

カーナビの利便性向上:自動車用のカーナビは機能としてはいいのですが、いかんせん地図情報がアップデートされていないので使いにくいですよね。新しい道や店舗情報が入っていないので、地図情報が古いほど最適なナビができていない。スマホを使っていると、都度情報をアップデートしておいてよいう感覚がありますが、大半のカーナビはできていない。車がネットにつながることでこの不便さは解消されます。

天気(降雨情報):車がワイパーを使っている情報を集めてくるとどのエリアで雨(or雪)が降っているかがわかります。ワイパーの速度情報から降雨量もわかる。ウェザーニュースがユーザーの雨が降っているという提供情報からリアルタイム降雨情報を公開しているように、これと同じ仕組を自動車でやる。山間部などの走行量が小さいところは情報が少ないですが、人の多い市町村であればリアルタイム降雨情報が把握できます。

タクシー:すでに日本交通がアプリを使ってタクシーの手配をできる仕組みをつくっていますが、商用車もネットにつながることでユーザーの利便性は高まるはず。スマホを使ってタクシーを呼ぶこともできるし、そうなるとタクシーの流しという営業スタイルも過去のものになるかもしれません。

この他にも交通事故情報の共有が迅速化されたり、レンタカーやカーシェアも進化しそうです。ヤマトなどの配送サービスももっと便利になるかもしれません(すでに情報共有の仕組みはできあがっていそうですが)。

■自動車がメディアになる

自動車×ネットで変わるもう1つの方向性は、車がメディアになることです。マーケットとしてはこのインパクトは大きいと思っています。

PCやスマホのネット画面で起こっていることが自動車でも実現されることになります。わかりやすい例で言うと、広告が配信されるようになります。ドライバーに対する運転中の広告配信は規制されそうですが、同乗者だったり、ドライバーにもエンジンをかけた時/電気自動車ならスイッチを入れた時、車を降りる直前など、可能なあらゆるタイミングで広告が表示されるようになると思います。PC/Mobileの広告がそうであるように、ターゲティングなどの広告手法も駆使される。

広告表示はユーザーにとって悪いことばかりではなく、広告が出るかわりに車の値段が下がるとか、いわゆる広告モデルが自動車にも適用されることも期待できます。つまり、広告主が支払う広告出稿量が自動車保有者にも還元される仕組み。広告が出ないプレミアムモデル、なんて考え方もでてくるかもしれません。

自動車への広告はネット広告に含まれるのか、新しいカテゴリーになるのかはわかりませんが、広告市場は拡大します。日本の自動車台数と、ユーザーの利用頻度を考えると、現在のネット広告規模まではいかないものの、感覚的にはラジオ広告市場よりも大きく新聞よりも小さいくらいになりそう。

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車がネットにつながることで、車自体の価値も変わってきます。車の価値は、移動手段としてと移動の目的化(例:運転する楽しさ・家族/恋人とのドライブ)だと思っています。自動車のネット化で、この両方共に恩恵があります。移動が快適になり、車に乗ることそのものも楽しくなる。後者についても、車内が第二の部屋のようなよりパーソナルな空間になることが期待できます。そうなるとユーザーへの訴求ポイントも変わってきます。

直感的に思うのは、ガソリン自動車よりも電気自動車のほうがネットとの相性は良さそうです。それとGoogleなどが開発中の自動運転の車も。インターネットが進出していない自動車×ネットは有望なフロンティアです。実現の期待とどんな未来が実現されるかは楽しみです。


※参考情報
思考の整理日記: Google Mapのビッグデータ活用事例と2つの課題
思考の整理日記: Googleの自動走行車は普及するのか?


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多田 翼 (書いた人)


外資系 IT 会社にて 「シニア マーケティングリサーチ マネージャー」 (LinkedIn) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身。学生時代は京都。家族4人で東京23区内に在住、2人の子どもの父親。気分転換は毎朝1時間のランニング。

書いている内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。