投稿日 2015/02/08

売上への広告効果を測定する Facebook Conversion Lift が登場 (2015年1月)




Facebook が Conversion Lift (コンバージョンリフト) という、新しい広告効果測定サービスを発表しました (2015年1月27日) 。

参考:Conversion Lift Measurement for Facebook Ads | Facebook for Business


Facebook Conversion Lift とは


Facebook Conversion Lift とは、Facebook 上の広告により、広告をした自社製品やサービスの売上やコンバージョン (会員登録等) にどれだけの広告効果があったかを測定できるものです。

Facebook Conversion Lift の特徴は次の通りです (2015年2月現在) 。

  • Facebook のデータと広告主データ (売上データなど) を統合し、Facebook 広告の売上への効果がわかる
    • データ統合には、メールアドレス、電話番号、住所等が使われる
  • 比較方法は、広告接触者と非広告接触者とを実際の売上データで見る。広告接触と非接触者は Facebook 内で ランダムに構築 (randomized ad exposed / control groups)
  • Facebook ユーザーを識別するために、Facebook ID が使われる。パソコン・スマートフォン・タブレットのクロススクリーンで見られる

Conversion Lift ではオンラインのセールスデータだけではなく、店頭売上のオフラインのデータでも Facebook データとマッチングができれば効果測定が可能なようです。

参考までに、Conversion Lift の説明を引用しておきます。

Conversion lift accurately captures the impact that Facebook ads have in driving business for marketers. Here’s how it works:
  1. When creating a Facebook campaign, a randomized test group (people that see ads) and control group (people that don’t) are established
  2. The advertiser securely shares conversion data from the campaign with Facebook. Typically, this data comes from sources like the Facebook Custom Audiences pixel, conversion pixel or secure point-of-sale (POS) data.
  3. Facebook determines additional lift generated from the campaign by comparing conversions in the test and control groups
  4. The results of the study are made available in Ads Manager

参考:Conversion Lift Measurement for Facebook Ads | Facebook for Business


広告主データと Facebook データのマッチング


今回の Conversion Lift のアナウンスでまず思ったのは、広告主の POS データなどの売上データと Facebook データが直接マッチングされることへのインパクトでした。興味深いのは、オンラインデータのみならず、オフラインデータでもできていることです。

Facebook での対象広告の接触者と非接触者のグループはランダムに作られるので、2つのグループの差異は、広告接触と非接触の違いだけです。

リサーチの観点からするとこれが重要です。広告接触者グループが非接触者グループよりも、売上が統計的に有意に高ければ、因果関係を見出すことができます。つまり、科学的にその Facebook 広告を見た結果、売上に貢献できたと言えます。

一方、広告主の売上データと Facebook データをメールアドレスや電話番号・住所等の個人情報でマッチングさせることには、ユーザー側からの反対の声は出そうです。

ただし、広告主と Facebook それぞれにおいてユーザー規約ではそれができることがすでに書かれており、ユーザーはすでに同意をしているはずです (同意があり法的に問題ないと判断されたからこそ Conversion Lift が実現できている) 。


Cookie 問題を解決する Facebook ID ベースのユーザー識別


もう1つの所感は、ユーザー識別に Facebook ID が使われることです。これにより、マルチデバイス間でデータ分析ができます。

以前のエントリーでも書いていますが、Facebook ID を持っていることは、フェイスブックのアドバンテージです。

参考:Cookie 問題を解決する Facebook のマルチデバイス広告計測


例えば、広告主は消費者の行動を、スマートフォンで広告を見てからノートパソコンからその商品を買った、あるいは、スマホとタブレットの両方で広告を見て店頭で買ったという一連のプロセスを、一人のユーザーの行動でひもづけて見ることができます。

従来の Cookie ベースでは、スマホとパソコンは別のユーザーとしてカウントされていました。パソコン内で Chrome と Internet Explorer の異なるブラウザを使っていれば、別ユーザーとして認識されていたわけです。

Facebook Conversion Lift のようなツールが、広告主に普及すれば、広告を出して終わりではなく、広告出稿 → 計測 → 評価 → 適用 (次回広告 or その広告運用にリアルタイムに適用する) 、が当たり前のようになっていくのかもしれません。

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。