2015/07/18

良い調査の判断基準:その調査は Why - How - What の一貫性があるか




現在の仕事での役割は「マーケティングリサーチマネージャー」です。

業務として様々な調査に関わります。自分の経験から、良い調査企画や調査結果なのかどうかを見極めるポイントとして、Why, How, What の3つの要素に分けると判断がしやすいと思っています。
  • Why: 調査背景と目的、調査結果がどのように役立つのか
  • How: 調査設計や調査手法 (分析/結論のためにどうやってデータを取得するのか)
  • What: 分析結果を示すグラフや数表、考察や結論

■How は学びの宝庫

企画書や結果レポートを手にすると、自分が一番関心が高いのは、調査設計/手法(How)になってしまいがちです。単純な好奇心と、その調査手法が自分の仕事にもアイデアとしてヒントになるかどうかに興味があるからです。

例えば、最近目にしたものに「喫煙者と非喫煙者にアロマはどんな影響があるか」を調査したレポートがあります(レポートのPDF)。

調査設計は、喫煙者と非喫煙者をそれぞれ2つのグループに分け(合計4グループ)、片方のグループにアロマを、もう一方のグループにはアロマがない環境がつくられます。

4つのグループにおいて、喫煙者の喫煙後の気分や不安などの心理面や注意集中力が、アロマの有無によってどのように変化するのかを観察する調査でした。

調査対象者は、20歳以上の病気加療中や薬服用中を含まない健常な男子大学生です。喫煙者14名、非喫煙者14名の合計28名。

状態不安などの心理、集中力を確認するポイントは、合計3回に設定されています。喫煙者がたばこを吸う前の Pre-test、喫煙1時間後に同じテスト(Post-test 1)、さらに2時間後にテスト実施(Post-test 2)。非喫煙群も、喫煙者群と同じタイミングで3回の各種測定が行われました。

分析のための比較軸として、
  • 4つのグループ:喫煙アロマあり、喫煙アロマなし、非喫煙アロマあり、非喫煙アロマなし
  • 3回の測定:Pre、Post 1、Post 2

分析は、有意水準 5% 未満で t-test から対象グループに統計的に有意な違いがあるかどうかを検証しています。

リサーチデザインで興味深かった点は2つありました。1つ目は、喫煙者と非喫煙者それぞれでアロマありとなしの2つのグループをつくっていること。2つ目は、集中力などのテスト測定を喫煙後に2回実施している点です。

特に2点目については、Pre / Post test 結果から喫煙前後で比較できるとともに、Post が2回あるので、アロマの効果があったかどうかを一時的なものなのか、持続されるのかどうかも検証できます。

この設計アイデアは自分のやっていることに応用ができそうです。

■その調査には Why があるか

調査設計/手法(How)、調査結果(What)には自然と興味が湧きます。一方で、意識して関心を持つようにしているのは、Why の部分です。

その調査背景と目的は何か。調査実施するにあたってのモチベーションとも言えます。

また、調査結果がどのように役立つのかの視点も忘れてはならない重要なポイントです。

調査企画書には目的として「◯◯を明らかにする」とは書かれています。ただ、調査目的としては、できるならもう一歩先のことまで明記されているものが望ましいと考えます。

◯◯を明らかにすることで、それはどういう役に立つのか。何の意思決定に寄与できることなのか、自分たちの何に貢献するのか、調査結果レポートの読み手にとってどんな Next Step につなげられるのかです。

その調査には Why があるか。明確な Why があるかとは、調査に存在意義があるかどうかが問われているのです。

Why がクリアになっていて、その先の How (調査設計)が適切なのかどうか。調査から得られたデータでつくられる What (グラフなどのアウトプットや結論)も、Why とつながっているかどうか。

Why - How - What に一貫性があるかどうか。これが自分の中で大切にしている、良い調査かどうかの判断基準です。

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今回のエントリーに関連して、Simon Sinekの「優れたリーダーはどうやって行動を促すか (How great leaders inspire action)」(リンク先は日本語字幕付きTED動画)をご紹介します。

紹介されているアイデアを一言で表現すると、「人は『何を (What)』ではなく『なぜ (Why)』に動かされる」というもの。「なぜ」という自分の動機やビジョン/理念がまずあり、自分が信じていることを語ることで、共感が生まれ人々を惹きつけるという考え方です。

プレゼンでは例として、Apple が取り上げられています。
  • 我々のすることはすべて 世界を変えるという信念で行っています。違う考え方(Think Different)に価値があると信じています
  • 私たちが世界を変える手段は、美しくデザインされ簡単に使え、親しみやすい製品です
  • こうして素晴らしいコンピュータができあがりました
はじめにアップルの Why であるビジョンを伝える。人々はこれに共感するからこそ、アップルの商品を手に取る。これが Whyからはじまるストーリーです。

Start with why -- how great leaders inspire action | Simon Sinek | TEDxPugetSound - YouTube



動画よりもテキスト(日本語)で読みたい、という方はこちらをどうぞ。
サイモン シネック: 優れたリーダーはどうやって行動を促すか|読むTED


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