#マーケティング #コミュニケーション #本
コミュ力が高いと聞くと、どんなイメージが浮かぶでしょうか?
笑わせてくれ話がおもしろい人、会話を盛り上げるのが得意な人、自信を持って話している人――。そんな人たちを思い浮かべるかもしれません。
しかし、本当にコミュ力が高い人は、聞く力に優れています。相手が自然と話せ、気持ちよく会話できる環境をつくることによって、結果的にコミュニケーションがうまくいくのです。
では、どうすればコミュ力を高め、相手との距離を縮められるのでしょうか?
そのヒントを、芸能人の田村淳さんの書籍である 「超コミュ力 (田村淳) 」 から紐解きます。
こちらの本から誰でもすぐに実践できる、シンプルで効果抜群のコミュニケーション術について、ぜひ一緒に学びを深めていきましょう。
本書の概要
数多の業界で、数え切れない人々を虜にしてきた田村淳さん。"ロンブー淳流" の 「好かれるコミュニケーション」 がわかりやすく書かれた本です。
話し方、聞き方、会話、愛嬌、気配り、人間関係など、コミュニケーションの技術を惜しみなく伝授してくれます。誰でもすぐに実践できるコツがこれでもかと詰め込まれたコミュ力を学べます。
コミュ力
本書のタイトルは 「超コミュ力」 ですが、コミュ力 (コミュニケーション力) とはそもそも何でしょうか?
聞く力こそがコミュニケーションの要
コミュニケーションというと、どうしても 「上手に話すこと」 に意識が向くのではないでしょうか?
たとえば、おもしろい話題や気の利いたジョークを出せるかどうか、あるいは誰もが注目するような話し方ができるかどうかといった 「話す力」 がクローズアップされることが多いはずです。
しかし、本来のコミュニケーションは、会話から相手と気持ちを通わせるためにあります。
そのためには 「相手の話をどれだけ気持ちよく聞けるか」 がカギを握ります。相手が安心して自分を表現できる雰囲気をつくることこそが、本当の意味でのコミュニケーション上手というわけです。
語り口は人それぞれかもしれませんが、コミュ力の高い人たちに共通しているのは 「相手の意見をうまく引き出す力」 に長けているという点です。
話し手自身が魅力的な話を次々と語っているようでいて、実は相手の話をしっかりと聴き、内容を理解し、適切な合いの手やうなづき、質問をすることで、さらに会話を弾ませているのです。相手の話を聞く力があるからこそ、会話が盛り上がり、話し手と聞き手の間に自然な信頼感が生まれます。
コミュ力とは 「相手が気持ちよく話してもらう力」
コミュ力とは一言でまとめるなら、「相手が気分よく話してもらう力」 です。
「相手が話をしていて心地いい」 や 「この人と話しているとつい本音まで話せてしまう」 と感じさせる力が、本質的なコミュ力といえるでしょう。
例えば、「ちょっと愚痴をこぼしたい」 とか 「誰かに相談したい」 という人が目の前にいたとします。その人が何を求めているかをいち早く察することができれば、 「じっくり話を聞いてくれる会話」 につながります。
相手は 「聞いてもらえるだけで救われた」 と思うかもしれませんし、そこに自然な共感や適度なはげましが加われば、さらに 「またこの人に話したい」 と思ってもらえるでしょう。そんな会話の積み重ねこそが、人との良好な関係を築くうえで大切なのです。
コミュニケーションで大切なこと
では、コミュ力を高めるためにはどうすればいいのでしょうか?
まずは大事な心得から見ていきましょう。
相手を大切にする姿勢
コミュニケーションでは相手を大切にするという姿勢が重要です。
会話とは本来、双方向のやり取りであるはずです。しかし、自分の話だけに終始したり、自分の言い分を通すことにこだわりすぎると、対話そのものが成り立ちません。相手を大切にするとは、会話での主役は自分ではなく相手にそうなってもらうことです。
話している相手に対して 「この人のために自分は何ができるか」 を意識することにより、自然と気配りや思いやりが生まれ、心地よい会話の流れがつくりやすくなります。
たとえば、相手が悩みを打ち明けているとき、 「自分だったらこうする」 などと自分本位のアドバイスばかり並べてしまうと、相手は 「本当に私の話を聞いてくれているのだろうか」 と感じるかもしれません。
そこで一呼吸おいて、「そうなんだ」 や 「なるほど、それは大変ですね」 といった共感を示す言葉でまず受け止めるといいでしょう。相手は 「自分の気持ちをきちんと理解しようとしてくれている」 と安心でき、心を開き本音の部分を語りやすくなります。
こうした何気ない態度の積み重ねが、相手を大切にしているという印象につながります。
相手が求めているものをまずは知る
コミュニケーションの場面では、相手がどんなことを本当に求めているのかを見極めることが重要です。
仕事の打ち合わせで 「上司はスピード優先での対応を求めているのか」 、それとも 「作業の正確性やきちんとした報連相 (報告・連絡・相談) を望んでいるのか」 です。相手の意図を間違えて認識してしまうと、行き違いが生じ、お互いが不満に感じます。コミュニケーションでは、まずはしっかりと 「相手が何を望んでいるのか」 を把握することが重要なのです。
プライベートでのコミュニケーションでも同様です。
たとえば、友人や家族が話をしているとき、ただ話を聞いてほしいだけなのか、または、具体的なアドバイスを必要としているのかを見極めることで、より円滑に対応できます。
相手が本当に求めているものを捉え、適切に応じることができれば、自分の気持ちをわかってくれる人という印象を持ってもらえ、次からも良いコミュニケーションになります。
相手が喜ぶことを考える気配り
話している相手を喜ばせようと思う気持ちは、コミュニケーションをスムーズにし、相手との関係を深めることにもつながります。
たとえば、相手の好きな食べ物や趣味、子どもやペットの名前など、ちょっとした情報を覚えておき、「そういえば前に ○○ って言ってましたよね。最近はいかがですか?」 などと聞いてみるだけで、自分に興味を持ってくれていると相手は感じるはずです。
自分が話すことよりも先に 「相手が喜びそうな話題は何か」 を探す習慣が身につくと、自然と会話が弾んでいきます。
自分の価値観や意見に固執しない柔軟性
コミュニケーションや人間関係のトラブルの原因のひとつは、自分の価値観に強く固執することです。
誰でも、自分が正しいと思っている考え方を否定されると、不快に感じたり対立してしまいます。相手も同じように自分の意見や価値観を守りたいと考えているものです。そこで、まずは相手の話に耳を傾けて 「なるほど、そういう考え方もあるのか」 と一旦受け入れてみる開いた態度が大切です。
話された内容や考え方について、その場ではすぐに共感できなかったり納得できないとしても、「相手の言い分にも一理ある」 という姿勢を示すだけで、相手の感情は落ち着き、摩擦が起きにくくなります。
自分とは違う考えに触れたとき、真っ先に否定をするのではなく、相手の世界観や価値観を尊重すること。人間関係を円滑にし、豊かなコミュニケーションを実現するための柔軟な姿勢です。
コミュ力を高める方法
では最後のパートでは、コミュ力を高める方法について見ていきましょう。
相手の感情を汲み取っての反応
人は言葉だけではなく、表情や仕草といった非言語の要素からも多くの情報を受け取っています。いくら言葉で 「わかる」 と伝えても、表情や態度が伴っていなければ、共感の気持ちは伝わりにくいものです。
そこで有効なのが 「ミラーリング」 です。相手の表情やジェスチャー、話すテンポなどに意識して似せることによって、相手に安心感を与え、好感度を高める方法です。
ミラーリングに加え、相手の感情より少し強めの表情を意図してつくることで、あなたの気持ちを自分のことのように感じているという姿勢を示すことができます。
具体的には、相手が喜んでいるならこちらはさらに大きな笑顔に、相手が悲しんでいるならこちらもより悲しそうな表情で共感を示すという具合です。相手以上の反応をすることで、 「ちゃんと自分の感情を受け止めてくれている」 と、相手は強く感じるようになるでしょう。
うなずきのタイミングは句読点
相手の話を聞くために、重要なのが 「うなずきのタイミング」 です。
話を聞いているだけでなく、適切なときににうなずきや相づちを入れると、話をちゃんと受け取っているというメッセージを伝えられます。
ただし、むやみにうなずくだけでは逆効果になる場合もあるので、相手の話の 「句読点 (、。) 」 に合わせるのがポイントです。
人は話の中で自然と区切りをつけながら話します。その呼吸のタイミングが句読点になるわけですが、話す文章がひと段落したようなところで 「うんうん」 「なるほど」 「そうなんですね」 と返すと、相手は心地よく自分の考えを言葉にし続けることができます。
そのための練習方法は、本を読んでいたり、動画やラジオを聞いているときに句読点が入ると思われる箇所に合わせて 「うん」 「なるほど」 「確かに」 と声に出してみたり、心の中で言ってみるのがおすすめです。相手の話をジャマすることなく適切なタイミングで相づちを打つ練習になります。
"SNS" で相手の心を開くリアクション
相手の話を盛り上げるためには、簡単なリアクションのフレーズを活用するのも効果的です。
田村淳さんが提唱するのは SNS です。
SNS はソーシャルネットワーキングサービスではなく、「すごい S」 「なるほど N」 「そうなんだ S」 という3つの言葉を組み合わせた SNS です。
SNS の3つはすぐにでも誰にでもできるリアクションですが、シンプルだからこそ使い勝手が良い方法です。
相手が何かを話したら 「すごいですね」 と素直に驚き、おもしろいと感じたら 「なるほど」 と反応する。さらに 「そうなんですね、もっと詳しく教えてください」 と話を促す。こうした "合いの手" によって、相手からは 「この人は自分の話をおもしろがってくれている」 や 「興味を持ってくれている」 と感じてもらえます。
大げさに相づちを打つわけではなく、本当に聞きたいという姿勢が伝わりやすいため、会話を円滑にするために有効です。
相手の良いところに気づき、それを伝える
コミュニケーションがうまくいく人は、相手の良いところを見つけるのが上手です。そして、ここが大事ですが、見つけるだけにとどまらず、良い面を相手に言葉にして伝えます。
初対面の相手であっても、「そのネクタイ、素敵ですね」 とか 「かわいいスマホのケースですね」 など、ちょっとした褒め言葉をかけると、相手の表情がほころんで会話が進みやすくなります。
ただし注意したいのは、無理やり探した褒め言葉を言わないという点です。心から 「いいな」 とか 「素敵だな」 と思うポイントを見つけ、そのままの気持ちを込めて言う、相手にも誠意が伝わります。
一度でも 「ここはすばらしいな」 と思える部分を相手の中に見つけると、不思議なもので次々と相手の別の魅力にも気づきやすくなります。こうして敬意を伝えて連鎖していくと、より良い雰囲気の中で自然なコミュニケーションが生まれるのです。
パートナーとのコミュニケーション
家族やパートナーといった、もっとも身近な存在だからこそ、コミュニケーションは意外と難しかったりするものです。慣れや甘えがあるぶん、お互いの会話に丁寧さを欠いてしまうこともなるかもしれません。
パートナーとの絆を深めるためには、ビジネス相手に接するように、ときにはそれ以上に相手の話をしっかり汲み取り、意見を聴き取るという姿勢が大事です。
具体的には、相手が何かを話したら 「そうなんだ、○○ なんだね」 といった形で一度くり返し、相手の意図を確認します。最後まで話を聞いたあとには、興味をもって質問をすることで 「きちんとあなたに関心を持っています」 と明確に伝えられます。
こうしたちょっとした工夫をするだけで、相手は 「自分の話を大切に扱ってくれる人」 と感じ、結果として会話が増えたり、深い話がしやすくなります。
日常生活に活かすコミュニケーションを
コミュニケーション力 (コミュ力) というと、特別な会話術やテクニック、場を盛り上げるための話芸のように捉えがちです。しかし、本来のコミュニケーション力は、日常生活のさまざまな場面でこそ役立ちます。
たとえば、家族同士の会話、会社の上司や同僚、取引先の担当者、友人、近所づきあいなどのやり取りでも、相手に対して 「相手に気持ちよく話をしてもらう姿勢」 が入ったコミュ力があれば、コミュニケーションから相手の受け取る印象は大きく変わるはずです。
ちょっとしたリアクションの取り方や、表情・姿勢などの気遣いひとつで、相手の気持ちをほぐしたり、自分への好感度を高められたりします。細やかな心配りは、たとえ短い会話でも 「この人とは気分よく話せる」 という思いが相手の中で芽生えることでしょう。
仕事、家庭、友人関係といったあらゆるシーンで、まずは相手を思い、喜んでもらうポイントを見つけ、相手の話をよく聞き、気分よく話をしてもらう。その結果、自分も楽しくコミュニケーションができる――。こうした積み重ねが、たとえ一つひとつは小さくても、やがては大きな人間関係の変化をもたらします。
まとめ
今回は、書籍 「超コミュ力 (田村淳) 」 を取り上げ、学べることを見てきました。
最後にポイントをまとめておきます。
- コミュ力の本質は 「聞く力」 。自分が話すことよりも、相手が気持ちよく話せる環境をつくることが重要
- 相手が求めているものをまず考え、相手が喜ぶことへの気配り。相手の期待や関心を理解し、気遣いを示すことで信頼関係を築く
- 感情を汲み取り、適切なリアクションをする。ミラーリングや表情・態度で共感を伝える。適切なうなずきや相づち、相手の良いところを伝えることにより、どんな場面でも円滑な会話にできる
- 「SNS (すごい, なるほど, そうなんだ) 」 で会話を盛り上げる。自然なリアクションから、相手の話す内容を肯定しながら話を引き出す
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