2013/04/29

リスクテイク→変化→成長という方程式




プロゲーマーである梅原大吾氏の著書「勝ち続ける意志力」の冒頭プロローグには、次のように書かれています。

「結果を出す」ことと、「結果を出し続ける」ことは根本的に性質が異なる。勝つことに執着している人間は、勝ち続けることができない。

(引用:書籍「勝ち続ける意志力」

この部分を初めて読んだ時、いきなり先制パンチを食らった感じでした。なぜなら結果を出すことを1つずつ積み重ねると、結果を出し続けられる、と思っていたからです。しかし、梅原氏によれば2つは根本的に異なるのです。

■「勝ち続ける意志力」とは

梅原氏が考える「勝ち続ける意志力」とは何でしょうか。

結論から先に言うと、勝ち続ける意志力とは、勝つことではなく「自分が成長し続けること」を目的とすることです。

勝つ、あるいは結果を出すというのは1地点でのことにすぎず、成長し続けるというのはその意思や向上心がある限りは終わりのないことです。梅原氏の言葉が印象的でした。

僕にとって生きることとは、チャレンジし続けること、成長し続けることだ。成長を諦めて惰性で過ごす姿は、生きているとはいえ生き生きしているとは言えない。

(引用:書籍「勝ち続ける意志力」

■ 変化なくして成長なし

「成長すること」について次に考えてみたいのが、どうすれば成長することができるのかです。

書籍「勝ち続ける意志力」に書かれていたヒントは「変化なくして成長なし」でした。印象深い内容だったので引用しておきます。

僕にとっての正しい努力。それはズバリ、変化することだ。

昨日と同じ自分でいないーーー。そんな意識が自分を成長させてくれる。ゲームの世界においては、変化なくして成長はない。
「本当にこのままでいいのか?」
「自分の殻を破って新しいことに挑戦してみよう」
「必死に編み出したやり方も通用しなくなった。別のやり方を考えてみよう」
常に自分を変えようとする、そうした意識が求められる。

しかし、多くの人は、変わることと前に進むことは別だと思っているだろう。確かに、自分を変えることは不安だし、変化した先に勝利があるとは限らない。けれども、変わり続けていれば必ず前へ進める。

変化したことで失敗したり、後ろに下がったりしたときは、もう一度変化すればいい。失敗に気づいて変化すれば、以前の自分よりも必ず高い位置に行ける。一歩後退しても、その後退には意味があり、それがきっかけで二歩進む方法が見えてくることもある。
変化を続けていれば、きっと正しいことが見つかる。また、正しくないことが見つかれば、その反対が正しいことだと分かる。だから、前へ進める。

成長というのは、とにもかくにも同じ場所にいないことで促進される。そして、常に成長していれば年を取っても、ゲームが新しくなっても、若くて有能なプレイヤーが出てきても、変わらず勝ち続けることができると考えている。

(引用:書籍「勝ち続ける意志力」

自分を変えることについて、梅原氏の考え方で特徴的だと思ったのは変化するためのコツでした。自らを変化させるかどうか判断する時に「そうすることで良くなるかどうかまで考えないこと」と言います。とにかく大事なのは変わり続けることである、と。

変わってみてもし悪くなったとしても、それに気づいてまた変えればいいという考え方です。変わる前から、良くなるか or 悪くなるかは誰にも分からなく、であれば「まずは変わってみる」というスタンスです。

■ 羽生善治氏のリスクテイクの考え方

自分を変えるとは、別の見方をすればリスクを取ることです。

リスクについて思い出すのは、羽生さんとサッカーの岡田武史監督の対談本である「勝負哲学」に書かれていたことです。印象的だったのは、羽生善治氏のリスクテイクの考え方でした。

  • リスクとの上手なつきあい方は勝負にとって非常に大切な要素。だから「いかに適切なリスクを取るか」を考えるようにしている
  • 将棋で少しずつ力が後退していくことがあり、後退要因として最も大きいのが「リスクをとらない」こと。リスクテイクをためらったり怖がると、ちょっとずつだが確実に弱くなっていってしまう
  • 勝つためにリスクを取らず安全地帯にとどまっていると、周囲の変化に取り残される、進歩についていけなくなる。結果、自分の力が弱くなっていく。それを避けるために積極的なリスクテイクが必要。だから必要なリスクは果敢に取りにいくことを心がけている

つい、リスク → 危険 → 避けるべきこと、と解釈してしまいがちです。しかし、それは違うのです。

リスクとは不確実性の尺度であり、リスクが高いとは結果予想が立てにくい・予想の振れ幅が大きいということです。リスクを取ることのそもそもの意味は、不確実性をあえて選択し、起こりえる結果の幅が大きくなる、ということです。良い方向に振れることもあれば、悪い方向に振れることも同じだけあり得ます。

羽生さんが、「いかに適切なリスクをとるか」、「リスクとの上手なつきあい方は勝負にとってきわめて大切なファクター」、「リスクテイクを避けると周囲の変化に取り残され自分が弱くなっていく」と言っているはあらためて考えさせられます。

羽生さんのリスクの考え方から学んだポイント2つです。

  • 「リスクとはやみくもに避けるべき対象ではない。正しく付き合うことが大事」という認識に変える
  • いかに「適切なリスク」を取っていくか

■「適切なリスク」をどうやって取るか

いかに適切なリスクテイクができるかについて、適切なリスクを取るために重要だと思っているのが以下の3ステップです。

  • 自分にとって何がリスクかを知る。「わからない」をまずは「知る」こと
  • リスクの度合い(不確実性)の見極める
  • リスクを取るかどうかの決断。やみくもに避けるのではなく、正しく付き合う

リスクを取ることについては、結果ではなく、リスクを取ったという自分の判断を尊重/肯定したほうがいいと思います。リスクテイクの結果がうまくいったかどうかではなく、リスクをとったことに自分自身が納得しているかどうかです。この視点を大事にすべきです。

リスクを取らなかった後悔より、取ったことの後悔のほうがが小さい。チャレンジしなかった後悔より、チャレンジした後悔のほうが小さい。このように思うようにしています。

★  ★  ★

最後に、今回の内容を整理しておきます。

  • 「勝つことと(結果を出す)」と「勝ち続けること(結果を出し続ける)」は根本的に異なる。勝ち続けるための意志力とは、「自分が成長し続けること」を目的とすること
  • 成長のためには「変化し続ける」こと。自分が変わる前から良くなるか or 悪くなるかは誰にも分からなく、であれば「まずは変わってみる」というスタンスが大事
  • 変わるということはリスクを取ること。リスクテイクのためには、リスクを見極め理解し、いかに「適切なリスク」を取るかが大切






2013/04/28

転職活動で学んだ採用面接でよく聞かれる5つの質問

先週から新しい会社に転職しました。

転職を決めるプロセスでは他の会社にも面接だったりと転職活動を少ししていました。数は多くはなかったですが、マーケティングやマーケティングリサーチの会社、IT/ネット系、外資の戦略コンサルなどです。

転職活動を通じて思うのは、どの面接でも聞かれる内容は共通点があること。業界を問わず、面接官からの質問はだいたい5つくらいに集約できます。
  • あなたはなぜ今の会社を辞めるのか?なぜこの会社に入りたいのか?(転職動機)
  • これまでの仕事で成し遂げた最大の功績は何か?(成果)
  • これまで一番大きな/印象に残っている失敗は?その失敗から何を学んだか?(失敗と学び)
  • 短期と中長期での目標/やりたいことは?(今後の目標)
  • 専門分野についての質問。戦略コンサル系ではビジネスケースなども(ケースインタビュー)

今のところは新しい会社での仕事環境に魅力を感じているのですぐに転職活動をするつもりはないですが、自社の採用面接に関わることはありそうなので、上記の質問項目は自分が面接官になった時にも使えます。今回のエントリーでは、5つの質問項目について何を聞かれたかを整理しています。

1.転職動機

どの面接でも聞かれたのが「なぜ転職をするのか?」。2つあって、①今の会社を辞める/辞めたい理由と、②なぜ当社に希望しているのか。

辞める理由については、ネガティブな要素はあまり出さないほうがいいです。私自身が話していたのは、今の仕事に区切りがつくタイミングで社外も含めて今後の可能性を考えている、新しい環境にチャレンジしたい、今の会社を積極的にやめたいという気持ちはない、など。あくまでより良い仕事環境を探しているというスタンスを伝えていました。

入社希望については、その業界の魅力やこれまでの自分のキャリアとの関連性(どう貢献できるか)、入って何をやりたいか、それがこの会社である理由、を話しました。希望理由はなるべく具体的な話をすると面接官の反応も良かったです(追加で質問を受ける)。逆に言うと他の業界/会社でも通用するようなテンプレート的な回答だと、会話はあまり盛り上がらないように思います。

2.成果

自分のこれまでの仕事で何をやってきたかも王道な質問です。まずはキャリアの概要を聞かれ、その中で一番の成果は何か。面接官の質問意図としては、この人は何を達成したのか、どんな結果を出したのか。経験上、まずどんな結果を出したかを聞かれ、次にそのプロセスについての質問が来ました。

これまでの成果については、面接官が自分と同じ業界なのかどうかで説明量が違ってきます。ある程度バックグラウンドが共有できている相手なら話は早いですが、そうでない場合は話したい成果の背景やもともとの課題、今の自分の会社やクライント/業界にとってどんなインパクトがあるかも、(相手の反応を見つつ)説明したほうが良いです。

それと、成し遂げたことがチームでやったことなのか、自分一人での功績なのかも伝えます(もしくは向こうから聞かれる)。チームでの場合は自分の役割は何だったのか。

成果について話すときに重視していのは、単に「どれだけがんばったか/苦労したか」のプロセスよりも、やった結果はこうです、という成果にフォーカスすること。成果については具体的な数字や変化・業績への貢献を伝えると、聞く側も理解しやすく、その後の追加質問が出たりと話を続けることができます。

成果に対する面接官の質問意図は、結果が出せる人材かどうかを見ることだと思います。

3.失敗と学び

成果とセットで聞かれることが多かったのがこれまでの失敗談。この質問にどう回答するかで候補者の考え方/特徴がよく出ます。NGだと思うのは「これまで大きな失敗はしていない」。失敗をしない・大きな失敗談がないということは、仕事においてチャンレンジしていないということだからです(失敗をしない簡単な方法は挑戦しないこと)。

失敗談を話す時に心がけていたのは、具体性と客観性です。失敗が起こった背景・失敗の原因と(話せる範囲で)具体的な説明をしていました。また、失敗の当事者であったとしても第三者的な視点も交えるとよいです。

失敗とともに何を伝えるかで重要になるのは、その失敗から何を学んだのか。失敗やミス後の対策として何をしたのか、今後同じ失敗を起こさないために何が必要だと思うか、など、失敗を通じてどう成長したかです。

おそらく面接官として聞きたいのはこっちで、失敗から何を学習しどう活かしたのか。この話を業界が異なる人にもわかりやすく説明できるかどうかも問われます。

4.今後の目標

入社動機にも少し重なりますが、仮にその会社に入ったとして何をやりたいのか(短期的に)、5年後などの中長期で何をやっていきたいか。この時点でどれだけ具体的な目標を持っているかを聞かれます。

やりたいことは今後も変わることは当然なのですが、ポイントは現時点でどれだけ具体的なやりたいことへの思いとその理由を伝えられるか。こちらの回答内容から、面接官も「それならこういう仕事がある」「こんな事例が過去にあった」など、その会社のことを話してくれたりもします。

5.専門分野/ケースインタビュー

中途採用なのである程度の即戦力として使えるかどうかを確認するための質問です。自分の専門分野についてだったり、あとはコンサルでほぼ必ずあったがケースインタビューという質問形式。

ケースインタビューでは、①市場推定などのフェルミ推定系と、②実際のコンサル案件にありそうな題材、の2パターンがありました。

実際にあった例で言うと、①は日本のGDPや将来人口推移などの質問が急に来たり、②はデジカメメーカーの社長から「デジカメの新商品を出したいのだがアドバイスが欲しい」というケース。補足情報として自社のデジカメ出荷量や競合とのシェアデータなども与えられました。

このケースでは、最初にデジカメの市場規模を推定し、与えられた補足データからデジカメ市場の特徴やその会社が置かれている状況の説明を求められました。次に、新商品を出すにあたっての戦略の方向性をどうするか、課題設定や仮説と解決方法などと詳細に入っていきます。

ケースインタビューでは、まずは5分とか10分くらい考える時間をもらいます(面接官がその間席を外すこともある)。考察結果を簡単に伝えた後は、面接官と議論をしながら進めます。私自身はケース面接はおもしろいと思っていて、色々と頭を使えるというか、特に外資系コンサルの場合はプロのコンサルタントとディスカッションができる貴重な機会でした。

ケースでは答えに正解はないので、自分はこう考える、それに対して面接官はどう考えるかがわかり、ホワイトボードを使ったりと議論が盛り上がることもよくありました。相手はプロなので、こちらの考えに足りない視点を指摘してくれたりと、「なるほど」と思ったり、ディスカッション自体が楽しいと思える面接も多かったです。

★  ★  ★

今回は、中途採用の面接でよく聞かれる5つの質問を取り上げました。振り返って大事だと思うのは、
  • 面接官と会話のキャッチボールをすること
  • 聞かれたことに答えること

キャッチボールについては、聞かれた質問に一方的に話し続けるのではなく、概要をまず伝え(あえて詳細は話さずに)、面接官からの追加質問をされてからディテールを話していくほうがいいと思います。概要を答える時に相手からしてもらいたい次の質問を想定して、あえて詳しくは話さないイメージ。追加質問を呼び込む感じです。

キャッチボールができると、面接前の緊張もほぐれてくるし、面接官にとっても一方的に話されるよりも理解がしやすいはず。

「聞かれたこと」に答えるのも、当たり前に聞こえますが意識していないと意外にできないもの。会話のキャッチボールと共通しますが、相手の質問意図を理解した上で面接官の知りたいことをシンプルに答える。こちらから話しすぎずに、要は面接でも「会話」がどれだけスムーズにできるかです。

面接官の立場で考えると、質問と回答という会話のキャッチボールを通して、その人と働きたいかどうかを見る。結局はそれが評価ポイントになります。転職活動から学べたことは、今後に自分が面接官側になった時に役に立つと思っています。


2013/04/27

大局観を磨くための3つの視点




最近読んだ本でおもしろかったのは「経営の教科書」でした。



副題が「社長が押さえておくべき30の基礎科目」とあり、経営の原理原則が書かれています。私自身は社長というポジションではありませんが、興味深い内容が多かったです。

その中の1つに「大局観をいかにして磨くか」という話がありました。著者は大局観を意識するために多・長・根という3つのキーワードを上げています。この考え方は同意で、以下は本書からの引用です。

経営者として「大局観」を身につけたい、とはよく聞く言葉である。理念やビジョンを考えるときも、あるいは情熱をより強固なものにするためにも、さらにはリーダーとして多くの社員を率いていくにも、人間力や人格においても、大局観は大きな意味を持ってくるというイメージがあるからだろう。事実、そうだと私も思う。

私は、自ら大局観を忘れることのないよう、自戒のツールとして使ってきた言葉がある。それが「多・長・根」だ。これは陰陽学の思想を私が覚えやすくまとめた言葉である。安岡正篤氏の本にもときどき出てくる、中国3000年の知恵が凝縮された考え方である。

「多」は多面的・複眼的に物事を見ること、「長」は短期ではなく長期で見通すこと、そして「根」は枝葉末節ではなく根本に注意を向けること、という意味である。大局観を持って正しい判断をするためのエッセンスだが、これが実に奥深い。

引用:書籍「経営の教科書―社長が押さえておくべき30の基礎科目」

以下、多・長・根についてもう少し考えてみます。

2013/04/21

いい会社とイチローの共通点から考える「あたりまえ」と「習慣と仕組み化」




前回のエントリーでは、鎌倉投信の投資信託「結い 2101」セミナーのレビューをアップしました。セミナーで、鎌倉投信の社長である鎌田さんがこんなことを言っていました。

いい会社ほど「自分たちがいい会社」と思っていないもの。ただ当たり前のことをやっている認識。実はそこがすごいのだが、自分たちはそうは思っていない。

■ いい会社とイチローの共通点

この話を聞いた時、イチローが語っていた努力を思い出しました。以下はイチローへのインタビュー記事からの引用です。

2013/04/20

鎌倉投信の「結い 2101」セミナーに参加してきました

鎌倉投信が運用/販売する投資信託「結い 2101」の説明会に行ってきました。

会場は原宿のとあるカフェの2Fで、鎌倉投信の鎌田社長がお一人で対応されていました。出向かえ・はじめの挨拶、そして説明も。鎌倉投信は広告・宣伝はやっておらず、PRは今回のようなセミナーが中心とのこと。

セミナー参加者は15-16人くらいで、時間は2時間ほど。前半1時間が鎌田社長からの鎌倉投信や「結い 2101」の説明、後半1時間は質疑応答でした。前半の説明では、自分たちはどういう考え方/運営をしているか・投資している会社・これまでの実績、あたりを中心に聞くことができました。

■鎌田社長の「いい会社」への思い

セミナーで最もよく出てきたキーワードは「いい会社」でした。鎌倉投信がやろうとしていることを一言で言えば、いい会社を見つけて投資し、社会を良くすること。

セミナーを通じて思ったのは、鎌田社長が信じる「いい会社」への思い入れの強さでした。鎌倉投信は13年4月現在で41社に投資をしています。そのうちの何社の説明がありましたが、鎌田さんからは各会社のストーリーが次々に出てきました。投資先の社長の名前や人柄、どんな事業をやっていて、どういう価値を生んでいるのか。話にリアリティがあるんですよね。

というのは、ストーリーは全て鎌田社長の「体験」がもとになっているから。社長や従業員、時にはその会社がある地域の人と会って話したことだったり、実際にその会社に訪問した経験、鎌倉投信が主催する受益者説明会での投資している会社社長の講演で学んだことなど、どれも経験がベースになっている。鎌倉投信の社長である鎌田さんが、自分たちが投資している会社について色々と語ることができる。「いい会社」のどこがいいかの本質がわかっていて、思い入れの強さを感じました。そしてその思いをオープンにする姿勢。鎌倉投信の魅力の1つです。

■「結い 2101」の特徴

セミナーでは組み入れ銘柄の一覧を紹介いただきました。ざっと見た印象だと、小型株が多いように思いました。東証一部銘柄は全体の半分くらい。未上場の会社も3社ありました。鎌田社長は「安定している会社と若い小さな会社を組み合わせることでリスクを下げている」と言っていました。

結い 2101のもう1つの特徴はリスクとリターンのバランスの良さです。「結い 2101」とその他の多数のファンドについて、横軸にリスク・縦軸にリターン(いずれも実績)でプロットした時、「結い 2101」はローリスク&ミドルリターン、他のファンドの多くはミドルリスク&ローリターン、いくつかはハイリスク&ハイリターンになっていました。

「結い 2101」は設定来の実績リスクは8.5%、実績リターンは9.1%(ともに年率換算)。シャープレシオ(リターン÷リスク)は1を超えています。堅実な運用をしつつも、きっちりとリターンは上げています。

19日(金)は「結い 2101」にとってビッグニュースがありました。格付投資情報センター(R&I)が毎年実施している、日本の投資信託を定量評価「R&Iファンド大賞2013」において、国内株式部門で「結い 2101」が最優秀ファンドを受賞したのです。
『R&Iファンド大賞 2013』受賞ファンドを公表|R&I (PDF)

R&Iファンド大賞の選考基準は明確で、純資産額10億円以上、3月末時点での過去3年間のシャープレシオが評価されます。「結い 2101」の実績リスクは8.5%・実績リターンは9.1%がそれ。私にとって結い 2101の第一印象は「いい会社へ投資」というやや抽象的なものでしたが、数字でもきっちりと結果を出しています。

■投資における最大のリスクとは

鎌田社長の言葉で印象的だったのは、「投資の最大のリスクは自分が何に投資しているかがわからないこと」。

この考え方はその通りだと思っています。というのも、投資信託は目論見書などを読めばなんとなく中身がわかったような気になりますが、よくよく考えると内容がわからない商品もあります。投資の方針/考え方、リスク等の説明はあっても、実際にどの企業にどう投資しているのか、プロセスや具体的な運用まではあまり書かれていない。

つまり、自分のお金の投資先がよくわからないのです。大切なお金だからこそ、何にどう使われているのかをちゃんと知っておきたい。どんな企業にどれくらい投資していて、それはなぜなのか。その企業はどういうビジョン/理念のもとで、何をしていて、どんな価値を世の中に提供しているのか。現実的な表現をすれば、投資するお金に期待するリターンの源泉は何なのか。

鎌田社長が言う「最大のリスクは自分が何に投資しているかがわからないこと」に共感しますし、ここを明らかにすることがセミナー参加理由の1つです。クリアにした上で実際に投資するかを判断したいわけです。

■質疑応答から

セミナーの後半1時間は質疑応答でした。参加者からの質問に鎌田社長が答えてくれました。

Q1:鎌倉投信の運用は、一度企業に投資すれば株は保有し続けること。これまでで投資をやめた(売却)したことはあったか?その理由は?
A1:考え方はその会社が「いい会社」である限り保有し続ける。売却は会社の方針やスタンスが変わった時。売却事例は過去3年で2社。
1つは「らでぃっしゅぼーや」。これはドコモが同社を買収して非上場になったので特殊なケース。そうでなければ今後も保有したかった。もう1つは「ウェザーニュース」。13年3月に全て売却。理由は、労務環境の改善を伝えていたが、同社は個別面談をやらないことを決め対話が難しくなった。鎌倉投信が大切にしている直接の対話ができなくなったから。

Q2:①現在は投資先は41社。今後どれくらいまで広げるのか? ②実績リスクは8.5%(年率換算)。どんなリスク対策をしているか?
A2:①今は資産40億くらいで40社。今後は資産100億で100社の投資を目指している。少しずつ投資先企業を増やしていきたい。
②リスク対策は、資産の全てを株ではなく現金を持っておく、投資先の分散(どの企業もほぼ均等で投資)、値下がりで多く買い高いところで手を出さないを繰り返す。ちなみに取締役・資産運用部長の新井さんはもともとリスク管理を得意としているとのこと。

Q3:①現金比率が30%くらいとのことだが資産運用として効率が良くないのでは? ②債権は外債も含まれているのか?
A3:①現金を一定保有している理由は、価格変動リスクを減らすため、新しく「いい会社」をいつでも買えるように、大口顧客の解約への備えで商品の流動性担保(大口の解約は万が一の時のため)。現金を遊ばせているのではなく現金も有効な投資先の1つと位置付けている。
②債権は非上場企業の社債(13年4月現在で2社)。有担保コールで運用。

Q4:いい会社の選定プロセスは?どうやって「いい会社」を見つけ、投資を決めるのか?(これは私がした質問です)
A4:プロセスは、投資対象となる企業(上場3600社・非上場5000社)⇒鎌倉投信の評価基準による絞り込み⇒株価の評価(割安割高判断・財務健全性)⇒売買執行。選定は投資政策委員会で決めている。
いい会社をどう探すかは書面や数字だけだと見誤る。口コミを重視している。(すでに投資している)いい会社の社長さんが新たに紹介してくれたり、本の共著の関係もある大学の先生、鎌倉投信のお客が情報をくれることも。鎌倉投信の考え方に理解をしてくれている人たちの情報は質が高い。逆に、企業から売り込みに来る場合は投資先にならないことも。
いい会社ほど「自分たちがいい会社」と思っていないもの。ただ当たり前のことをやっている認識。実はそこがすごいのだが自分たちはそう思っていない。

Q5:最近はブラック企業がニュースになる。どう考えるか?
A5:世の中には完璧な企業はないと思っている。複数の側面をどう評価するか。鎌倉投信ではその会社にしかないものを評価し、マイナスがあれば改善点として直接伝える。大事なのはそれが受け取られるか、改善のために努力が見られるか。その会社の理念の徹底をあらためて伝える。

Q6:期待リターンの4%はどういうロジックか?根拠が知りたい(これも私がした質問)
A6:企業の成長性・実績から逆算して、最低ラインとして4%目標。具体的なロジックは、
  • 企業の利益成長性を10%とし、うち半分は税、残り半分が内部留保として増加(企業価値の上昇)⇒株価が5%上がる
  • 株主への配当金は2%。内部留保5%と合わせて7%
  • 資産の株式&債券比率が70%なので、7%×70%=4.9%(約5%)
  • 最後に信託報酬1.05%を除いて、期待リターンが4%

★  ★  ★

今回のセミナー当日、NHKワールドの取材が入っていました。NHKワールドなので海外放送番組で使うとのことでしたが、セミナー中もカメラと音声マイクがまわり、参加者へのインタビューも行われるなど、いつもとは違った説明会でした。

私もセミナーの前後半の休憩中にインタビューを受けましたが、そういえばカメラがまわった状態でのインタビューは初めてかも。海外用番組なのでたぶん英語吹き替えor英語テロップになるとは思いますが、おもしろい体験でした。

セミナー開始前に鎌田さんはNHKの取材に触れて、こんなことを言っていました。「いずれは鎌倉投信を世界から評価される運用会社にしたい」。鎌倉投信の理念を貫いていけば、きっと実現できるのではと思いました。


これは鎌倉投信のシンボルマーク。

三つの「わ」は、鎌倉投信の基本理念でもある、日本の心を伝える 「和」 、心温まる言葉を大切にする 「話」 、社会や人とのつながりを表す 「輪」 を意味しています。


※参考情報

鎌倉投信について
結い 2101|鎌倉投信
ごあいさつ|鎌倉投信
『R&Iファンド大賞 2013』受賞ファンドを公表|R&I (PDF)

2013/04/19

インテージを退職しました

本日、13年4月19日付でインテージを退職しました。インテージはマーケティングリサーチの会社です。

最終出社は一昨日の17日(水)でした。その時はまだいろんな感情の整理が着いていなかったのですが、2日経ち、気持ちの整理もできつつあるので、思うところを書いてみます。

■ 振り返り

インテージでは様々な仕事・経験ができました。全てはとても書ききれないので、1つだけ取り上げます。この2年間で関わったプロジェクトの話をさせてください。

このプロジェクトは会社の歴史を考えると、悲願とも言うべきものだと思っています。そんなプロジェクトに初めから参加し、またプロジェクトマネジメントという役割ができたのは、私にとって大きな財産になりました。中身の濃い2年間だったし、経験や学びも多かったです。

プロジェクトが本格的にスタートしたのは、忘れもしない11年3月9日でした。このプロジェクトは自社以外のパートナーとなる企業がいて、9日の夜に「一緒にやっていきましょう」という合意に達しました。Goが出るまでも色々あったので、決まったことへの安堵感と、まだどこかで非現実的な感覚が混ざっていたことを覚えています。

この2日後、3.11 が起こりました。

2013/04/18

問題解決を一歩前に進めるための「魔法の質問」

だいぶ前の話になりますが、参加していたプロジェクトである問題が発生した時のことです。それまではプロジェクトは順調に進んでいましたが、問題が表面化したことでプロジェクト全体のスケジュールに影響を及ぼしかねない状況になりました。

そのプロジェクトでは海外のベンダー企業と一緒にやっていました。問題発生後、急きょ担当者に来日してもらい対応策を考えることになったのです。

■「What can I do for you?」という問いかけ

ベンダー会社の現地メンバーも入り緊急の電話会議をすぐに開きました。来日した担当者が向こうのメンバーに発生状況を伝え、問題の原因究明から着手へ。こちらの期待とは裏腹になかなか打開策が出ない状態でした。そんな状況での電話会議で、来日担当者がある言葉を現地メンバーに投げかけていることに気付きました。

What can I do for you?

直訳すれば、私はあなたのために何ができるのか。相手に対して「自分ができることは何かあるか?」という問いです。このフェーズを半ば口ぐせのように繰り返していたのです。

何回目かの「What can I do for you?」を聞いた時、自分の中でちょっとした発見がありました。この問いかけは、問題解決に向けて一歩前へ進めることができる、というもの。

目の前にある問題に対して原因が明らかになっていない状況だったので、MTG(会議)での議論は堂々巡りをしている感じでした。「あぁでもない」「こうでもない」という、各メンバーが発言はするけど、議論が前に進んでいない。そんな時に「What can I do for you?」という質問が出ると、思考が建設的になりました。「今、何ができるのか」、「自分は問題に対してどう貢献できるのか」。前向きに「できること」にフォーカスできたんですよね。

問題に対して「どうすればいいのか?」と悩んでいるのに比べて、「What can I do for you?(自分は何ができるか)」と変えるだけで、頭の中でスイッチが切り替わったような感覚でした。繰り返し問いかけがあったことでMTG全体の雰囲気も変わっていきました。

「今できること」を中心に考えることで議論が整理され、現実的になっていった。発生事実を把握し、問題が整理され、解決に向けた課題設定へ。課題/やることに対して、誰が・いつまでにと落とし込んでいく。少しずつでしたが、問題解決へと一歩ずつ前へ進むことができた。その後、なんとかプロジェクトも軌道修正できました。

上記のプロジェクトエピソード以外にも、これまでの経験から思うのは、困難な状況であっても何かしらやれることが見出せるということ。できることが見えていないだけで、考え方を変えると希望があったりする。自分が今できること・自分たちは何ができるかを問いかける「What can I do for you?」という質問は、隠れている希望のベールをとく魔法のような質問なのかもしれません。

■父親からのメッセージ

もう少し「What can I do for you」について考えてみます。What can I do for you?とは、相手に対して自分がどう貢献できるかを問うもの。相手への貢献で思い出すのは、自分の父親がくれたあるメッセージについてです。

それは、結婚式披露宴で最後のあいさつでした。キーメッセージは「まず相手を幸せにすることで、自分の心を豊かにする」という考え方。(結婚式ということもあり)お互いがパートナーを思いやり、相手が幸せになることで自分の幸せにもつながる、そんな家庭を築いてほしい。父親からのメッセージでした。

What can I do for youの考え方とも通じるものがあります。どんな状況でも、自分が貢献できることは何かを問う姿勢。相手を慮ること。それが結局は問題解決につながり、ひいては自分にもプラスになって返ってくる。問題解決と幸せでは概念というかレイヤー/レベルが違いますが、本質のところは同じなんじゃないかなと。

厳しい環境であっても、むしろ困難な状況だからこそ、「What can I do for you?」という問いかけは忘れないようにしたいと思っています。


2013/04/14

毎日のように怒られながら学んだ「あたりまえのことをちゃんとやり続ける」ことの大切さ

うちの会社にはメンター制度というものがあります。新入社員へのOJT(On the Job Training)の1つで、新人に対して先輩社員が1人つき一緒に仕事を進めながら、仕事に必要な考え方だったりスキルを学ぶという仕組みです。

ちょっと前に、当時新人だった自分のメンターとランチに行く機会がありました。お互いの近況だったり今後のこと、メンターをやっていた頃の話など、久々にゆっくり話したこともあり、楽しいランチになりました。

実は新人だった1年目当時、メンターには毎日のように怒られていました。メンター曰く「できが悪かった」ようで、確かに何をやってもまず怒られたという記憶があります。メンターは自他共に認める厳しい人で(ランチの時にメンターも言っていた)、周囲からは「あの新人はいつやめるのか」との噂でもちきりだったとか。

■メンターからの学び

自分にとっては、1年目は修行みたいな日々だったわけですが、その分、メンターからたくさん学べました。仕事はこう進めるものだということを肌で感じることができたのは大きかったです。

色々ありますが、その中でも強く影響を受けたのは「あたりまえのことをちゃんとやり続ける」姿勢です。

データ集計後に必ずデータチェックをやる、報告書は体裁も含め丁寧に仕上げる(特に社外向け)、クライアント対応は細かいところまで配慮を欠かさない、「そもそもこれはどういうことか」「要するにどういうことか」と本質に立ち返る姿勢、など、1つ1つは当たり前のことなのですが、それを妥協なくきっちりとやっていました。やる/やらないのムラがなく、やり続けている。

かっこよく言えば神は細部に宿るというか、小さなことまで責任を持って仕事をするとはこういうことかと、社会人になったばかりの自分には結構な衝撃でした。今になって振り返るとメンターの影響は大きく、新人の時に一緒に仕事ができたのは運がよかったなと実感しています。(新人にとってはメンテメンターは選べないので当たり/はずれはあるけど、自分の場合は当たりだったなど)

■「あたりまえのことをちゃんとやり続ける」大切さ

「あたりまえのことをちゃんとやり続ける」。これ、実は結構深い話だなと思うので、もう少し考えてみます。

あたりまえのことって、それだけを見ると難しくないことや日々の単純作業も含まれます。私の仕事で言うと、プロジェクトマネジメントにおける全体スケジュール管理をすることは重要で、やるのは当然のことです。でも、普段は毎日やることだからこそ、他で忙しいと2日に1回のスケジュールチェックになっていき、おなざりになってしまう。そういう時に限って、スケジュール調整にミスが出るもの。

「あたりまえのこと」をあたりまえのようにちゃんとできるか。長く継続できるか。この話は仕事以外の日常生活でも当てはまると思っています。

「人生を豊かに歩むために大切なこと どうでもいいこと」という本には次のような話が書かれています。

かつて僕は、尊敬する人から、こんな話を聞いたことがある。

「人間としての器が問われるのは、無人島に一人で流されたとき、朝起きてます何をするかだ」

無人島では、誰にも会うわけではない。だが、起きたらまず顔を洗い、ヒゲをそり、歯磨きをする。それができるかどうかが、優れた本質を持った人間である、と。

誰も見ていないところでこそ、人間は試される、ということだ。無人島できちんと生活できる人は、人間社会に戻ったときにもその生活は揺るがないだろう。これは、ライフ・マネジメントの核心を的確に表した話だと思っている。

結局、人生では、自分で人生をコントロールしているかどうか、が問われる。ダラダラと怠惰な暮らしをしているなまけものは、外でどんなに着飾っても見抜かれてしまう。顔つきや手つき、体つきに、すべて毎日の行動が出てしまうからである。もちろん人生に対する考え方も、である。

引用:書籍「人生を豊かに歩むために大切なこと どうでもいいこと」

無人島というシナリオはやや極端かもしれませんが、引用からの示唆は、どんな状況でも当たり前のことを正しい考え方を身につけ徹底できるか、だと思います。

私が思う「正しい考え方を身につけ」というのは、引用の最後に出てきた話で、「人の全ての生活習慣や考え方は顔つきや体つきに表れる」という考え方。

毎日が、日常の習慣が、生きている姿勢が、これまでの「今」の全てが積み重なって今の自分が成り立っている。生まれてから死ぬまでの全ての「今」を合計すると、それが自分の人生になっている。

だからこそ、いかに毎日をきちんと生活し、今というこの瞬間を精一杯生きることができるかが人生の大事な部分なのだと思います。

あたりまえのことをちゃんとやり続ける。仕事ではメンターからの(あれだけ怒られたからこそ得られた)教訓です。

普段の生活でも以前のエントリーで書いたように、自分が正しい/やりたいと思うことをいかに習慣化できるか、そのためにどうすればよいか。
(参考:習慣にするための仕組み化の3つコツ。あらためて考える習慣と人生|思考の整理日記

メンターとのランチの後、そんなことをあらためて考えていました。





2013/04/13

新人研修で学んだ「事前準備」の大切さ

最近、自分の会社の新入社員からインタビューを受けました。

新人研修でのプログラムの1つで、各部署の先輩社員にインタビューをすることで仕事内容を理解し、フィードバックし合って会社の全体像を把握するのが目的。去年もインタビューを受けたので、今年は2回目でした。

この企画は毎年やっていて、自分が新人の頃もあったもの。当時、ある幹部の方にインタビューをさせてもらいました。インタビューをまとめた発表資料をその方にも共有した後、1通のメールを返信いただきました。そこに書いてあったことは、その後の自分の仕事をする上でずっと大切にしていくことになる言葉でした。

「よいインタビューを行うためには、事前準備が肝要です」。

■事前準備としてどこまで「想定」できているか

このメールをもらった時にあらためて考えさせられたのは、「事前準備の大切さ」はインタビューに限ったことではないということ。

例えば、社内の別組織の人に相談に行くときや、関係者での会議、クライアントとの打ち合わせなど。「相手に何かを聞く」とき、いろんなシーンで当てはまります。

インタビューや相談などの相手に何かを聞く場合の事前準備とは、「想定」だと思っています。準備としてまず考えられるのは質問項目の整理です。大事なのは、もう1歩踏み込めるかどうか。つまり、どういう回答が返ってきそうかの想定です。

質問項目に対して、もしも、回答が全く想定できなかったり、あまりにも漠然としか想定できていないならば、それは準備不足か質問項目が曖昧すぎるかです。

自分が全く知らない領域について相談したり聞くケースもあるかもしれませんが、やはり望ましいのはある程度の想定ができている状態です。具体的には、
  • インタビュー内容などの質問を考える前に、まずはある程度の情報収集をする
  • 得られた情報から、「わかっていること・わからないこと」を整理
  • 「知りたいこと&それに対する仮説」を具体的に想定する

このあたりの事前準備ができていると、質問相手に聞く際に、「ここまでは想定できるけれど、ここが具体的に分からない」という点に絞ることができたり、相手から出てきた回答が「想定していたのと違う答えが返ってきた」というところをもっとつっこんで深掘りできます。

今回、新人のインタビューを受けましたが、相手がどこまで事前準備をしているかがわかると、「ここまでは理解していますよ」「あなたの話を聞くための知識はありますよ」ということが伝わってきます。そうすると、相手への信頼というか、もっと深い話をしてもいい相手だなという気持ちになれました。

ちょっと蛇足ですが、インタビューの場合は、「この領域のことは全く素人で分からないので、教えてください」ってスタンスで相手を持ち上げ、気持ちよくしゃべってもらうというテクニックもあります。ただ、この場合も、素人と言いつつもある程度わかっていないと良いインタビューにならないと思います。

■想定しておくことが想定外のアクシデントへの良き対処につながる

ここまで、インタビューや相談、会議などの「相手の話を聞く」ことへの事前準備として想定を書きました。もう少し想定について考えてみます。

失敗学を提唱する畑村洋太郎氏の著書に『「想定外」を想定せよ!―失敗学からの提言』があります。この本では、想定とは、人間が意図的・人為的につくる境界と説明されています。境界とは、ここまでは考えるという範囲の線。イメージとしては円があって、内側が想定できていること、円の外側が想定外になります。

想定しておくということは、想定外のアクシデントの対処にもなるのではと思っています。先ほど、質問の事前準備として「どこまでわかっているか」を明確にすべしと書きましたが、「わかる」ことをきちんと抑えておけば、「わからないこと」が出てきた時、自分がわからない状態であることに気づけます。わかっている範囲(=想定)が自分の中で線引きできているので、「わからないこと」(=想定外)への対処の幅も広がる。

現実的に、想定外をゼロにすることはできません。ゼロに近づける努力はしておいたほうがいいかもしれませんが、どこかで線引が必要です。想定外に対処するためには、まずは自分の中で想定の範囲をクリアにしておく。「ここまではわかっている」と。

想定外の「わからない」が出てきた時、具体的に何がわからないのか、何がわかれば「わからない⇒わかる」になるのかを考えることが大事。そのためには事前準備をしっかりと。今回、新人からのインタビューを受けながら、自分が当時新人だった時のことをあらためて思い返していました。


※参考情報

想定外に対処せよ:プロジェクトマネジメントで大切にしている2つのアプローチ|思考の整理日記
「象の足を見るな」:新入社員の時に教えられ、今もなお考えさせられる話|思考の整理日記
新入社員に伝えたい自分の頭で考えるための3つのこと|思考の整理日記




2013/04/07

刺激と反応の間には「選択の自由」がある

「7つの習慣」という自己啓発の超定番とも言える本で、もしかしたら一番印象に残っている考え方がこれです。「刺激に対して自分の反応は選択できる」

何かが自分に起こったという刺激に対して、自分の感情反応は1つではない。刺激⇒選択⇒反応とあって、刺激と反応の間には「選択の自由」を持っている、という考え方です。

■ 刺激と反応の間には選択の自由がある

わかりやすい例として、発車間際の電車に乗ろうとして目の前でドアが閉まり乗り損ねたとします。このシーンでどう思うでしょうか?

1つの感情は「今日はついてないな」とマイナスの反応で考えてしまうこと。乗り遅れた⇒運が悪い、という気持ちになるかもしれません。

2013/04/06

ひふみ投信の「ひよこ塾」セミナーに参加してきました

ひふみ投信の「ひよこ塾」というセミナーに行ってきました。

主催はひふみ投信を直販で運営しているレオス・キャピタルワークス。「ひよこ塾」というセミナー名から連想できるように、対象者は「これからひふみ投信に投資してみようかな」という人がメイン。セミナーでは、レオスについて、ひふみ投信の仕組みや特徴、運用の方法、などを説明してもらえました。

説明を担当いただいたのは、取締役・マーケティング部長の方と運用部のシニアアナリストの方のお二人でした。

運用チームの方がアサインされたのは、なんと私がした事前の質問を見てとのこと。申込時に「投資する自分のお金がどのように使われているか(運用をどうしているのか)知りたい」と書いていました。

当日の参加者は私含めて2名。全員で4名だったので、質問もたくさんでき、色々と勉強になるセミナーでした。以下、当日のメモを見つつ、「ひよこ塾」セミナー内容を整理しておきます。なお、書いている順番は一部セミナーでの説明順番と変えています。

■ひふみ投信の投資哲学

投資哲学は3つあって、

1.当ファンドの信託財産を長期的に成長させるために、世界経済、社会が変化し続けることを前提として、その変化に対して先見性を持って柔軟に対応します。

2.また市場動向も常に変化し続けますが、特定の運用手法やスタイルにこだわらず、企業の価値と現在の市場価値との差(割安であること)やその企業の価値が時間とともに増加することに着目して、長期的な選別投資をします。

3.人間は本来、社会に対して付加価値を創りだすことができますが、企業においても経営者や従業員をはじめとした多様な関係者(ステークホルダー)が各企業における独自の価値を創造し得ることを信じ、その企業の価値変化の可能性を、豊かな想像力を持って判断します。

引用:ひふみ投信情報 運用について|レオス・キャピタルワークス株式会社

■ひふみ投信の特徴

特徴は次の5つとのこと。
  • 最小のコスト負担(信託報酬は業界最安水準)
  • 信託報酬還元方式(長期保有を支援)
  • 直販によるコミュニケーション
  • ゼロからの投資支援(毎月こつこつ積立)
  • レオス独自の運用哲学

1つ目の最小のコスト負担について、買い付け時と解約時のコストはゼロ、つまり、買付手数料と信託財産保留額が無い。コストは信託報酬のみで1,029%(税込)。

2つ目の信託報酬還元方式について、これは長期で保有するお客にメリットがある商品設計。具体的には、
  • 5年以上保有で信託報酬の0.2%還元
  • 10年以上保有で信託報酬の0.4%還元
と、還元分をひふみ投信の買付資金に充てるというもの。つまり、実質信託報酬が、5年以上で0.829%、10年以上で0.629%(税込)になるというもの。日本のアクティブ投信の場合は、通常は信託報酬は1.3~2%程度と1.029%でも低い上に、長期保有のインセンティブがあるのは共感できます。

例:100万円分のひふみ投信を保有した場合の信託報酬還元
引用:ひふみ投信とは|レオス・キャピタルワークス株式会社


■ひふみ投信の運用の考え方

ひふみ投信では、国内中小株を中心に組み入れている。市場価値が割安と考えられる銘柄を選定して長期投資へ。

方針として、「守りながら増やす」考え方。ひふみ投信で特徴的なのは保有資産に占める現金比率を0%~50%で調整している点。今後の相場見通しで構成比を変えているそう。


引用:ひふみ投信情報 運用について|レオス・キャピタルワークス株式会社

どういうことかと言うと、今後は株価下落の想定では現金比率を上げる(株式比率を下げる)、上昇想定で現金比率を下げる(株式比率を上げる)。リスク資産である株式の割合を調整するという考え方。つまり、下がりそうだと判断したら現金を増やしマイナスを最小限に、上がりそうだと判断したらリスク資産である株式を増やして収益を取る。なお、過去に現金がMaxの50%になったのは2回あったとのこと。

■運用プロセス

銘柄の組み入れ判断プロセスは以下の4ステップ。このあたりから個人的に興味のある内容でした。事前質問の「投資する自分のお金がどのように使われているか(運用をどうしているのか)知りたい」部分。
  • 候補銘柄のスクリーニング:Reos Scoring Model (RSM)という独自のモデルで機械的に候補となる企業を選定
  • 企業面談:候補企業と面談。電話や会って直接話を聞く。事業内容・業績・今後の見通しなど。この時に社長の「熱意」など、事前調査での数字ではわからない情報も重視している
  • レポート作成:「この企業は良い」と担当者が判断したら、面談内容や各種定量/定性分析結果をレポートに。チームに提出
  • 投資判断のディスカッション:提出レポートをもとにチーム(13年4月現在で6名)でディスカッション。運用の方曰く「チームでよく話し合う。ディスカッションの場が多い」
ちなみに、最初のスクリーニングで出てきた独自モデル「Reos Scoring Model (RSM)」でやっているのは、機械的に「業績が良いのに株価が割安な企業」の選定。全上場企業について1~10にランク付けをする。モデルへの使用データは、PER・PBR・ROE、業績、株価や出来高など。モデルは常に改善をかけるようにしているそう。

運用の方が説明で強調されていたのは、企業面談のプロセスを重視している点。直接の対話や現場調査をし、「足で稼ぐ調査をしている」。見るポイントとしては、
  • 経営の質:経営者・経営理念・企業文化・経営戦略
  • 商品戦略:マーケティング・販売チャネル・プロダクトミックス
  • 企業の歴史:過去から現在、足元の些細な変化
  • 競争力の源泉を把握:他社が真似できない価値
いかにその候補企業の本質を見い出せるかどうかが腕の見せ所。

■運用チームの方のお話

ここからは、セミナー終了後に個別に運用担当者の方とお話しした内容。セミナーが終わって1時間近く話をさせていただきました(感謝です)。

お話をうかがって印象的だったのは、運用をするにあたって「自分の目で色んなことを見るようにしている」。例えば、会社から帰る時はあえて最寄り駅ではなく2駅分くらい歩くことで街の「変化の兆し」を直に感じるようにしているとのこと。

というのも、ちょっとした変化や気になることは景気の兆候が変わるサインだったりし、そこで得られる情報・仮説を企業面談でぶつけたりしているそうです。こうした変化は各種統計データに表れるもっと前の段階で、この時点でいかに察知できるか。

他にも具体例としては、1週間に1度、同じ人に靴磨きをしてもらっていること。その人はある百貨店の前で靴磨きを何十年もやっている方で、会話を通じて世の中の変化をつかむようにしている。定点観測。

最近ではロイヤルホスト社長から「肉料理が良く売れるようになってきている。景気が上向き?」との話を聞いて、実際にファンドマネージャーの藤野さんと行ってみたとのことでした。確かお店では肉料理がよく注文されていた(自分たちも肉料理を満喫されたエピソードも)。

自分の目で直接見るというスタンスは共感しました。現場を見る大切さだと思っていて、マーケティングやリサーチでも、データだけではなく実際にお店や消費者を見たり、サービスを直接使ってみるなど、体感が大事だから。

ひふみ投信の哲学の1つ目に、「・・世界経済、社会が変化し続けることを前提として、その変化に対して先見性を持って柔軟に対応」とあり、自分の目で色々と見ることで先見性をつかもうと日々努力されている印象でした。自分で見て触れて感じたことから、世の中の変化というインサイトを見つけるイメージ。

運用の方との話では、お互いの投資の考え方・方法や実際に何に投資しているか、など率直な話ができて良かったです。共通意見としては、投資を続けることで世の中の見え方が変わること。世界のニュースが自分(の投資)につながるようになり、「2Dだった世界が3Dになる」「人生はこんなにもカラフルなのかと思った」とおっしゃっていたのが印象的でした。私もその通りだと思っていて、日々入ってくるニュースが自分事化するんですよね。ニュースの背景(Why)や影響(So what)をつい考えたくなる。

今回の「ひよこ塾」セミナーでは、レオスやひふみ投信についての概要説明だけではなく、実際に運用を担当されているチームの「中の人」と話せたのが収穫でした。具体的な運用イメージが少し見えたし、「投資信託」という仕組みをリアルに学ぶことができました。アサインいただいたのにあらためて感謝です。


※資産運用・投資の過去エントリー
今年こそ資産運用:本気で取り組みたいので戦略的に考えてみた|思考の整理日記
今年こそ資産運用(実行編):運用方針とか投資商品をご紹介|思考の整理日記


2013/04/03

羽生善治の勝負哲学から考える「自分を強くするリスクの取り方」




岡田武史 × 羽生善治の対談。この組み合わせを見ただけで思わず手にとった本が「勝負哲学」でした。

内容は期待以上におもしろかったです。対談の1つ1つのテーマについての会話のやりとりが深かったです。

サッカーと将棋、それぞれの戦いで培った、勝負勘の研ぎ澄ませ方、勝負どころでの集中力の高め方、そしてメンタルの鍛え方、などです。

厳しい勝負の世界に生きる2人が自分の哲学をおもいっきりぶつけ合った対談でした。久々に読んでいて考えさせられることが多い対談本でした。
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