2016/08/27

書評: 失点 - 取り返せないミスの後で (楢崎正剛)


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失点 - 取り返せないミスの後で という本をご紹介します。著者は、元日本代表ゴールキーパー (GK) の楢崎正剛選手です。



エントリー内容です。

  • 楢崎と川口
  • 目指すゴールキーパー像
  • 難しいことを簡単に見えるようにプレーする


楢崎と川口


楢崎は1998年のフランス W 杯で代表入りし、2010年の南アメリカ W 杯まで四大会連続でメンバー入りしました。

同じ時代には川口能活というもう1人の GK がいました。2人のプレースタイルの違いは、「動の川口」 「静の楢崎」 と言われました。川口のプレーは派手で目立つのに対し、楢崎の GK としてのプレースタイルは安定感がある印象でした。


目指すゴールキーパー像


本書を読むと、楢崎がいかに基本を大事にしていたかがよくわかります。引用します。

基本に "忠実な" 選手を目指した。派手なプレーやパフォーマンスに興味はない。当たり前のプレーがしっかりできるゴールキーパーでありたいと昔も今も考えている。

(引用:失点 - 取り返せないミスの後で)

楢崎が目指すゴールキーパー像がどういうものだったか、本書で印象的なところがありました。

「大切なことは、ボールを身体の正面で受け止めること」 とマザロッピ (引用者注: 横浜フリューゲルス所属の1996年からのゴールキーパーコーチ) は何度も言った。

プレーをしたことのない人が聞いたら、それって当たり前のことだろうと思うかもしれない。だが、この基本こそが、安定感のある、信頼できるゴールキーパーになるためのベースだ。

ゴールキーパーは、相手のシュートコースを見極め、いいポジションを取らなければ、正面でボールをキャッチできない。よりよい準備をし、待つこともゴールキーパーの技術のひとつなのだ。

ゴールキーパーのセービングで、派手な横飛びなどで止めると 「よくやった」 と評価されることもあるが、そういうプレーよりも、正面でボールを受けるほうがリスクも少なく、確実にゴールを守れる。だから、見た目は地味で、簡単そうに見えるかもしれないが、正面でボールを受けるほうが望ましい。なので、まずは正面でボールを受けることを目指す。

さらに、正しいステップを踏むことで、セービングの範囲・距離が格段に広げられる。

ちなみに、「簡単そうに見える」 ようにプレーをこなすことは、実は意外に難しい。

(引用:失点 - 取り返せないミスの後で)

プロに求められるのは、期待されている以上のパフォーマンスを常に出すことです。そのためには高いレベルを保ち、かつ安定してできなければいけません。スポーツ選手に限らず、自分の仕事で報酬や給料をもらっているビジネスパーソンも同じです。

たまたま1回、パフォーマンスがよいだけでは不十分です。大事なのは、その働きを常にしていくことです。安定したパフォーマンスのためには、基礎がどれだけできているかが問われます。


難しいことを簡単に見えるようにプレーする


もう1つ、楢崎選手の言葉で印象的だったのは、難しいことでも簡単そうに見えるようプレーをすることについてです。

仕事でも、難しいことを難しく説明してしまう場合と、難しいことでも相手にわかりやすく平易に説明できることがあります。難しいことを難解に伝えるのは、それほど難しいわけではありません。

難しいことを簡単に説明するためには、もう一歩深く理解しなければいけません。簡単に伝えるためには難しいことの本質を理解し、それを相手の理解度に応じて言葉や説明の仕方を変えることが必要です。

難しいことを簡単にできるためには、それを意識することが大事です。

楢崎選手の基礎を大切にする姿勢、難しいことを簡単に見せる考え方など、刺激を得られた本でした。



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。