2016/08/04

2016年7月にブログで注目を集めた本 (月間クリック数ランキング)




このブログでは、訪問いただいた方に役に立つと思ってもらえる本を紹介しています。読んだ本の書評を書いたり、エントリーの参考情報として本の内容を引用しています。

今回のエントリーでは、2016年7月の1ヶ月で、クリックが多かった本をご紹介します (4冊) 。順番はクリック数の多かったものです。



なぜ、あの会社は儲かるのか? - ビジネスモデル編 (山田英夫)




様々な企業のビジネスモデルが紹介され、興味深く読めます。

他の類似本と違うのは、単にビジネスモデルを紹介しているだけで終わっていないことです。ビジネスモデルの事例紹介 → 仕組みの一般化 → 他業界にある同様のモデル紹介となっています。具体化 → 抽象化と縦に考え、抽象化 → (他の) 具体化と横展開されているのです。

同じビジネスモデルでも違う業界に適用されているので、そのモデルの本質的な仕組みを理解できます。書かれている内容がきっかけや刺激になり、そのビジネスモデルを自分の業界や、自分の仕事に活かせないかと考えてみると発想が広がるでしょう。

この本の関連エントリーです。本書で取り上げられていたビジネスモデルのうち、最も印象的だったコマツ建機の KOMTRAX (コムトラックス) について取り上げています。

KOMTRAX:コマツ建機の美しいビジネスモデル



投資バカの思考法 (藤野英人)




著者は藤野英人氏です。ひふみ投信のファンドマネージャーであり、レオス・キャピタルワークス最高投資責任者 (CIO) です (2016年現在) 。

本書で興味深く読めたのは、藤野さんの投資の考え方です。例えば、投資する会社の価値を見極めるために、普段から何を考え、どういうふうに行動をしているかが紹介されています。

マーケットを判断するための視点、その会社に投資をするかをどう決めるか、判断と決断の違い、レオス・キャピタルワークスの採用基準が印象的でした。投資銘柄の中にはあえて仮説に合わないものを入れておく 「不完全さを保つ」 という考え方もおもしろいと思いました。

この本は、株式投資などの資産運用の考え方を学べると同時に、マーケティングの視点でも興味深く読むことができます。

資産運用では、将来価値があるものを見極め、現在で投資すべきと判断したものに投資します。マーケティングは、競合よりも高い価値を、その価値を求めるターゲット顧客にどうやって提供するかを考えます。

共通するのは 「価値」 です。その意味で、この本で紹介されている投資でマーケットを知り価値を見極める方法は、マーケティングにも活かせます。

関連エントリーは2つです。




究極の身体 (高岡英夫)




運動や体の本で、今まで読んだ中で最もおすすめの一冊です。人の身体構造や運動のメカニズムについて独自理論が、興味深く読めます。

本書の究極の身体の定義は 「人体の中で眠っている四足動物、あるいは魚類の構造までをも見事に利用しきって生まれる身体」 です。

人間の進化は、魚類 → 爬虫類 → 哺乳類 → 人間と経てきており、人間の身体には、魚類、爬虫類や哺乳類などの四足動物の構造を受け継いでいると著者の高岡英夫氏は言います。

究極の身体は 「魚類運動=脊椎を使った動作」 「四足動物の運動=脊椎の体幹主導動作+4本足主導の動作」 の両方を使えます。

著者の問題意識は、究極の身体を持っているにもかかわらず、現在の人類の多くはその身体資源を使いきれていないことです。究極の身体を実現するために印象的だったことは、

  • 究極の身体に不可欠なことは重心の意識。そのために筋肉の脱力が必要
  • 身体の中にセンター (軸) を構築する。センターは、身体の重力線とほぼ一致するところを通る身体意識
  • 究極の身体の立ち方は、吊り人形のように頭部の糸で身体を吊り上げ、そこからゆっくり下ろして足を接地させたような立ち方 (緩重垂立) 。体重を支えるギリギリのところまで力を抜いたプラプラの状態

身体動作や運動構造に興味のある方は、おもしろく読める本です。書評エントリーはこちらです。

書籍 「究極の身体」 がおもしろい



ストーリーとしての競争戦略 - 優れた戦略の条件 (楠木建)




この本の内容紹介は、次のように書かれています。

戦略の神髄は、思わず人に話したくなるような面白いストーリーにある。

大きな成功を収め、その成功を持続している企業は、戦略が流れと動きを持った 「ストーリー」 として組み立てられているという点で共通している。

戦略とは、必要に迫られて、難しい顔をしながら仕方なくつらされるものではなく、誰かに話したくてたまらなくなるような、面白い 「お話」 をつくるということなのだ。

本書では、多くの事例をもとに 「ストーリー」 という視点から、究極の競争優位をもたらす論理を解明していく。

本書で書かれていたことで、思わず人に話したくなったのは、ある競争戦略フレームでした。SP と OC という戦略概念です。

  • SP (Strategic Positioning): ポジショニングの戦略。他社と違うところに自社を位置づけること。SP は、何をやり / 何をやらないかという意思決定や活動の選択
  • OC (Organization Capability): 組織能力による差別化。他社には簡単に真似できない組織や仕組みとしての強みのこと。表面的には真似することができても、実際の組織内での実行レベルでは中々真似できないもの。時間とともに常に進化していく

SP が他社と違ったことを 「やる」 に対して、OC は他社と違ったものを 「持つ」 ことです。SP は短期的な戦略的意思決定で、OC は中長期での競争優位性となるものです。

SP と OC のわかりやすい例えが、レストランです。

SP (やること) はどんなメニューを提供するかです。例えば日本食なのか中華なのかイタリアンか、さらには日本食でも高級 / 庶民的、あるいは伝統的な料理か新しい料理かの、他店との違い (ポジショニング) です。

一方の OC (持つこと) は、腕前のよい料理人やシェフを雇い、どんな厨房や、料理の注文 / 調理 / 提供する仕組みを持つか、あるいは仕入先やどんな素材を持っておくかです。

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多田 翼 (書いた人)


外資系 IT 会社にて 「シニア マーケティングリサーチ マネージャー」 (LinkedIn) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身。学生時代は京都。家族4人で東京23区内に在住、2人の子どもの父親。気分転換は毎朝1時間のランニング。

書いている内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。