2018/01/05

「意味のイノベーション」 は、あなたの思いから始める、全く新しい発想でイノベーションを起こせる方法


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今回は、「意味のイノベーション」 についてです。

エントリー内容です。

  • 意味のイノベーションとは。ロウソクでの例
  • どうやって実現するか
  • 意味のイノベーションで興味深かったこと (4つ)


意味のイノベーション


意味のイノベーションとは、既存の価値に対して、新しい切り口からこれまでにない新たな価値をもたらすことです。

商品やサービスのそれ自体は変えずに、使い方や存在意義などの意味そのものをズラしたり変えることによって、従来とは異なる新しい価値を提供します。


ロウソクに見る意味のイノベーション


意味のイノベーションを起こした良い例が、ロウソクです。

かつてまだ電球やランプがない時代は、ロウソクは照明として手元や部屋を明るくするために使われていました。明るくできることが価値で、日が沈んだ夜も、人はロウソクの明かりによって生活することができました。

しかし、現代の先進国ではロウソクはこのような使われ方はされません。ロウソクは異なる使い方によって、新しい価値を提供しています。

ロウソクは今ではレストランやバー、家庭でもロウソクならでは雰囲気を出すために使われます。

人は LED ライトなどの明かるさを、ロウソクに求めていません。ロウソクの炎によるリラックスできる空間や時間、ムードを演出できることがロウソクの新しい価値です。また、香りを楽しむこともできます。


どうやって意味のイノベーションを実現するか


突破するデザイン という本には、意味のイノベーションを実現するための方法が詳しく書かれています。



ポイントは2つです。

  • 内から外へ
  • 批判によって強化する

以下、それぞれについてご説明します。


1. 内から外へ


意味のイノベーションが起点になるのは、自分の思いや気づきです。自分自身の中に生まれたビジョン、自分にとっての why から始まります。

内から外の意味は、自分の中に抱いたビジョンを少しずつ外部に広げ、そのプロセスを通じて自分の思い (仮説) を磨き、強いものにしていくことです。

外部に広げるプロセスは、以下です。

  • 自分自身
  • スパークリングパートナー (ペア)
  • 様々な知見を持った社内外の関係者、専門家などのグループ
  • 一般の人々

自分自身から始まり、次第に拡大していき、最後は組織外に解放します。


2. 批判によって強化する


意味のイノベーションでは、批判によってより強いビジョンをつくります。

ここで言う批判とは、意見を却下するようなネガティブなものではありません。自分とは異なる視点や意見を積極的にもらい、足りていないことを見い出すための建設的な批判です。批判によって、当初の自分のビジョンをより深めていきます。

意味のイノベーションのプロセスは、内から外へです。自分の中で生まれた思いやビジョンから、少しずつ外部に広げます。

この時に健全な批判を受け入れます。ペアとなるパートナーから批判を受け、グループ内からも批判を受け入れることによって、ビジョンはより強化されるのです。


意味のイノベーションで興味深かったこと


ここからは、私が意味のイノベーションについて興味深いと思ったことです。4つあります。

  • 批判を有効に使う
  • たくさんのアイデアではなく1つのビジョンを深める
  • 前提は 「人々には明確なニーズがないこと」
  • 意味のイノベーションは、1 → 0 → 1 のプロセス

以下、それぞれについてご説明します。


1. 批判を有効に使う


1つめは、批判を建設的に捉え、有効に使っていることです。

批判を受けることは、自分のアイデアや考えが反対されたり、自分自身をも否定されるというイメージを持ちます。しかし、意味のイノベーションでは、内から外へのプロセスにおいて、それぞれの関係者からの批判が重要な役割を果たします。

本書で、批判とは、より強いビジョンから新しい意味をつくりあげるための 「エンジン」 と表現されています。


2. たくさんのアイデアではなく1つのビジョンを深める


2つめは、アイデアの量ではなく質を重視するアプローチです。

たくさんのアイデアを思いついたりアイデアが多く集まり、そこから選んだり組み合わせられれば、後は良いアイデアが生まれるような期待を抱いてしまいます。しかし、意味のイノベーションでは、アイデアの量よりも深さが大事だとします。

内から外へのアプローチで、自分の仮説やビジョンを徐々に広げいくプロセスにおいても大切なのは、相手からアイデアをもらうのではなく、自分の仮説やビジョンへの疑問や質問、批判です。


3. 前提は 「人々には明確なニーズがないこと」


意味のイノベーションが有効だとされるのは、人々が明確な問題意識やニーズがない状況においてです。具体的な問題を持っていないので、何がニーズなのか、問題は何かを人々に聞いても答えは返ってきません。

前提には、人々に明確なニーズがないことがあります。

これまでになかった価値という新しい意味を人々に提供して、人ははじめて気づくのです。


4. 意味のイノベーションは、1 → 0 → 1 のプロセス


意味のイノベーションは、既存の意味 (既存の価値) を追求するのではなく、全く別の切り口から新しい価値を提供することです。

すでに 1 としてあるものを一度 0 にリセットし、別の 1 をつくるというプロセスです。


最後に


意味のイノベーションは、自分自身の why からはじまるイノベーションです。ここで言う why とは、自分のビジョン、思い、ちょっとした気づきです。

本書 突破するデザイン では、「自分が人々に愛してほしいと思うこと」 と表現されます。

言い得て妙だと思うのは、「自分が愛すること」 と 「人々が愛すること」 の2つがちょうど重なったものだということです。

このバランス感が難しいと思いながらも、興味深いテーマです。



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多田 翼 (書いた人)


複数のスタートアップ支援に従事。経営や事業戦略、プロダクトマネジメント、マーケティングのコンサルティング及びメンター。前職は Google でシニアマーケティングリサーチマネージャー、現在は独立 (詳細は LinkedIn をご覧ください) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝のランニング。

内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。