投稿日 2018/01/17

未来予測ができる 「商品普及の三段階の法則」 を、身近なものに当てはめてみる


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すぐに未来予測ができるようになる62の法則 という本には、未来予測を考えるためのヒントが多く書かれています。



エントリー内容です。

  • 商品が社会に普及するための法則
  • 「普及の法則」 を身近なものに当てはめる
  • 思ったこと (2つ)


商品が社会に普及するための法則


法則の1つは、「商品が社会に広がる三段階」 です (法則の No. 14) 。

新商品が社会に広がるのは、魅力的な機能があり、消費者の心を引き付けてヒットすると一般的には考えられています。しかし、この法則は、商品が社会に広く定着するためにはそれだけではなく、三段階があるというものです。

  • 新機能の開発
  • 周辺機能の開発
  • 周辺との調和、人間性の追求

以下、それぞれの補足です。


1. 新機能の開発


  • 新商品と呼ぶのにふさわしい商品は、斬新で魅力的な機能を持つ
  • 消費者は、少しくらい高値でも、使いにくくても、それを手に入れようとする


2. 周辺機能の開発


  • 新機能だけで売れていた新商品が、周辺機能や条件の改善で競争するようになる
  • 消費者から求められるのは、高値よりも廉価、使いやすさ、故障のしにくさなど
  • 生産者は消費者のニーズに応えるために、様々な付属機能を備えた商品を開発、販売するようになる


3. 周辺との調和、人間性の追求


  • 商品が社会に普及し定着するためには、第二段階まででは不充分
  • 社会との調和や人間性の尊重が重要になる
  • 例えば、環境に優しいこと、社会の持続可能性やコミュニティへの貢献ができるような商品


 「普及の法則」 を身近なものに当てはめる


ここからは、「商品が社会に普及するための法則」 の具体例は何かを、自分なりに考えたことです。身近なものに当てはめてみます。以下の4つです。

  • 家電
  • スマートフォン
  • グーグルグラス
  • スマートスピーカー


日本の家電


1つめは、家電です。家に当たり前のようにある家電は、登場した当時は画期的な機能を持っていました。例えば、自動洗濯機は、それまでは手洗いが当たり前だった家庭での洗濯を、機械が自動でやってくれるという魅力的な機能を提供しました (第一段階: 新機能の開発) 。

その後も機能は改良され、今では単に自動で洗ってくれるだけではなく、乾燥や消臭機能、衣服のシワを防ぐなど、より良く洗えるように様々な付属機能が追加されました (第二弾階: 周辺機能の開発) 。

洗濯機は、小型化し、運転音が静かになるなど、日本の狭い住宅環境でも適用しています。また、節水や節電と環境に優しい洗濯機になり、忙しい人にも時短で洗濯でき、その分の時間を別のことに使えます (第三段階: 周辺との調和・人間性の追求) 。


スマートフォン


商品の三段階の法則をスマートフォンに当てはめてみます。

スマートフォンは、手のひらサイズのスーパーコンピューターです。

iPhone が登場した時は、電話ができるだけではなく、音楽が聴け、インターネットに接続できることなど、コンシューマー用の小型情報端末として機能を多く持っていました (第一段階) 。

その後のスマートフォンは、安いモデルが出て、画面、カメラ、バッテリーなど、様々な機能が改善しました (第二弾階) 。

商品普及の三段階の第三段階は、「周辺との調和」 です。これをスマホに当てはめると、アプリです。多種多様なアプリを自分の好みでスマホに入れると、スマホが外部とつながり便利になります。

周辺との調和を別の視点で見れば、スマホのアクセサリーやカバーに多くの種類があることです。たとえ友人や他人と同じ iPhone でも、自分の気に入ったカバーを使えば、自分だけのスマホにすることができます。

第三段階のもう1つは、「人間性の追求・尊重」 です。iPhone で思ったのは、スマホでは唯一 iPhone だけは、登場した時からスティーブ・ジョブズは人間性というブランドストーリーを込めていたのではと私は思います。

具体的には、Think different です。他にはない Apple の iPhone を持つことによってのみ得られる高揚感や満足感に、iPhone にしかできなかった人間性の尊重がありました。


グーグルグラス (周辺との調和が成功しなかった例)


三段階目の 「周辺との調和」 がうまくいかなかった例は、2015年に製造中止が発表されたグーグルグラスです。

グーグルグラスは、メガネ型ウェアラブル端末の先駆けとして第一段階の 「新機能」 はありました。第二弾階の 「周辺機能の充実」 は、これからグーグルグラスとの連携が多様になる機運は見られました。

しかし、実際に付属機能や外部連携が充実する前に、第三段階の 「周辺との調和」 でつまづきました。プライバシーへの不安が強くなり、コンシューマー用ウェアラブル端末の利便性を確立する前に、世の中に溶け込むことができず、ネガティブなイメージが強くなってしまいました。

商品普及の法則からの、特に第三段階からの示唆は、何が考えられるでしょうか?

グーグルグラスのようなメガネ型デバイスは、まずはクローズドな特定の環境での 「周辺との調和」 を目指すとよいということです。

グーグルグラスがネガティブなイメージを持たれるようになったのは、コンシューマー向けで公共の場での懸念を人々が抱いたからです。しかし、特定のビジネスの現場で、例えば、工場や医療用として病院などで使えるような設計であれば、周辺との調和はしやすくなります。


スマートスピーカーに見る 「普及の法則」


AI が搭載されたスマートスピーカーは、2017年末に、Google Home 、LINE から Clova WAVE 、そして Amazon Echo と、日本でも発売が開始されました。

スマートスピーカーを 「商品普及の三段階の法則」 に当てはめると、スピーカー端末に AI が搭載され音声でやりとりをするという新しい機能を持っています (第一段階) 。

第二段階の周辺機能は、今後の充実が期待されます。グーグルやアマゾンだけではなく、様々なメーカーから、多様な機種・機能を持ったスピーカーが、幅広い価格帯で登場するかです。

第三段階の 「周辺との調和」 は、スマートスピーカーが家庭での生活環境、暮らしをどれだけより良くするかです。リビングや自室に自然と置かれ、他の家具や家電とも違和感なく存在するかです。

第三段階のもう一つの 「人間性の尊重」 は、スマートスピーカーが、利用者とどのような関係性を築けるかです。利用者はスマートスピーカーに音声入力をするだけの一方的なやりとりなのか、それとも、スマートスピーカーはコンシェルジュやパートナーのような存在になり、会話が成立するかです。

このような第三段階まで至れば、スマートスピーカーは 「あったら便利 (別になくても困らない) 」 から、「なくては困る」 という存在になります。必要な度合いは、すでに多くの家庭にある家具や家電・電化製品、スマホなどと同じ程度になれます。


思ったこと


商品普及の三段階の法則は、以下でした。

  • 新機能の開発
  • 周辺機能の開発
  • 周辺との調和、人間性の追求

最後に、この法則について思ったことです。2つあります。


1. 周辺との調和


商品普及の第一と第二段階、大三段階では、明確に違いが見られます。第一と第二段階では機能が広がっていきますが、第三段階になると、周辺という環境にいかに入り込むかです。

商品が社会や環境の一部として、さらに言えば地球というエコシステムの中に入れるかです。

商品がどの程度で普及しているかを見る視点として、単に機能や使いやすさ、改善された付加機能という商品単体だけで終わるのではなく、周囲や環境との関係性はどうなっているかが第三段階にあるのは興味深いです。


2. 第三段階に到達する難しさ


私の肌感覚にすぎませんが、第一段階は 「0 → 1」 にすること、第二弾階は 「1 → 10」 です。第三段階は 「10 → 100」 です。

三段階の法則で思ったのは、新しく何かを生み出す 「0 → 1」 の難しさはよく言われ、日本人は 0 から何かを生み出すよりも、すでにある 1 を改良することが得意という議論です。

しかし、三段階と視野を広げると、0 → 1 と同じくらい、時にはそれ以上に難しいと思うのは、改良や周辺機能を充実させ 10 にした後です。商品が周辺と調和する存在にし、「人間性の尊重」 が込められているようなストーリーを生み出すことができるかです。



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。