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今回は、データ分析についてです。データ分析者として、ビジネスに貢献できるデータ分析はどうすればよいかを考えます。
エントリー内容です。
- データ分析者に必要な能力
- 「見つける力」 と 「使わせる力」
- どうすれば成果物を使ってもらえるのか
データ分析者に必要な能力
始めに、このエントリーでの核となるフレームをご紹介します。
3つの能力
最強のデータ分析組織 という本に紹介されている、データ分析者がビジネスで求められる3つの能力です。
3つの能力は、「見つける力」 「解く力」 「使わせる力」 です。
- データ分析を活用できる機会を 「見つける力」
- 実際にデータを使って分析課題を 「解く力」
- データ分析から得られた結果を現場に 「使わせる力」
「解く力」 の前後が重要
一般的にデータ分析者が求められることは、3つのうち2つめの 「解く力」 です。データ分析の経験が豊富で、高度な分析ができ、早く正確にデータ分析の結果と得られた知見を提供する能力です。
しかし、解く力だけでは十分ではありません。その前後となる 「見つける力」 と 「使わせる力」 は、解く力と同じように、時にはそれ以上に重要です。
ここからは、見つける力と使わせる力を見ていきます。
見つける力
データ分析の前にある 「見つける力」 は、2つに分解できます。
- ビジネス環境理解
- 分析設計
以下、それぞれをご説明します。
1. ビジネス環境理解
適切なデータ分析をするために、背景やコンテキスト (文脈) のビジネスの理解が必要です。
ビジネスモデルや市場構造、これまでの経緯や歴史もデータ分析の背景として理解しておくことです。
次に、問題把握です。ビジネスとしてあるべき理想的な状態と、今の状況を見比べます。理想に対して、現状ではどのような問題が起こっているのかです。そして、その問題はなぜ起こっているのかです。
問題を整理するだけでは十分とは言えません。問題を解くために課題を設定します。その課題をデータ分析によってどう取り組むかが、次の 「分析設計」 につながります。
2. 分析設計
データ分析の目的は、ビジネス課題に答えを出すことです。明確な答えを提示できなくても、問題解決に何かしらの示唆を出すことが求められます。つまり、データ分析結果や知見があることによって、ない場合よりも問題解決をより良くできることです。
データ分析設計では、次の3つを整理します。
- 分析目的
- 分析課題と仮説 (問いと仮の答え)
- 分析手法
1つめの分析目的とは、上位にあるビジネスの問題解決を、データ分析でどう貢献するかを宣言することです。
重要なのは、いきなり分析手法から入るのではなく、背景としてのビジネス目的を正しく理解し、分析目的で何をやるべきかを明確にすることです。そして、目的を達成するための分析課題と仮説を、実際の分析に入る前にセットで考えることです。
使わせる力
本書で著者が強調する考え方で共感するのは、「データ分析結果や得られた知見を出すだけでは、データ分析業務の成果は出せていない」 というものです。
ビジネスにおいて問われるのは、提供する成果物がどう使われ、実際にビジネスに貢献できるかです。これを本書では 「使わせる力」 と表現します。
ビジネスへの貢献とは、提供した成果物がある場合が、ない場合に比べてより良い意思決定・アクション・売上や収益につながることです。つまりは、役に立つかです。
役に立つかどうかは、間口と奥行きに分解できます。
- 間口:より多くの人にとって役に立つ
- 奥行き:役立ちの度合いが高いこと。様々な状況で使われる、何度も使われる
どうすれば成果物を使ってもらえるのか
自分が提供するデータ分析から成果物を、どうすれば使ってもらえるのでしょうか。
ポイントは2つあります。
- 最初の 「見つける力」 の段階から、役に立つかの意識を持つ
- 成果物を提供した後のフォロー
1. 最初の 「見つける力」 の段階から、役に立つかの意識を持つ
3つの能力の1つめである 「見つける力」 の段階で、いかに的確なビジネス理解ができているか、分析設計の時点から 「どうすれば役に立つか」 の意図を持って取り組むかです。
始めから意識しておくかどうかで、後の分析やビジネスへの貢献に影響します。
2. 成果物を提供した後のフォロー
先ほど、データ分析結果や得られた知見を出すだけでは、まだ成果ではないと説明しました。
使ってもらうためには、提供した後のフォローを徹底できるかです。使ってほしい相手に、データ分析からの知見や提言の内容を自分ごと化してもらえるか、主体的に動いてもらうかです。
時には、ビジネスの問題解決をするための、意思決定や次のアクションをも相手のフォローをするという泥臭い併走も必要です。
最後に
ビジネスでのデータ分析は、ただ分析をして、分析結果や知見を出せばいいわけではありません。
むしろ、データ分析の前後こそが大事です。
ビジネスでのデータ分析者に求められる3つの力である 「見つける力」 「解く力」 「使わせる力」 に共通する姿勢があります。それは、いかにビジネスに貢献するか、自分のデータ分析が役に立つかを追求することです。
そのためには、背景となるビジネスに対する広い視野と深い理解、コミットする気概を持てるかです。