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マーケティングの消費者インサイトについてです。糸井重里さんの理論から、インサイトについて考えます。
エントリー内容です。
- 寝返り理論とは
- 「寝返り理論」 と 「消費者インサイト」
- 消費者インサイトとは。インサイトを基点に考える
寝返り理論とは
コピーライターで、「ほぼ日」 を運営する糸井重里さんは、著書の インターネット的 に、自身の問題解決法を書いています。
以下は、本書からの引用です。
ぼくの 「問題発見法」 というのは、とても簡単です。ずいぶん昔に考えついて、いまでもこれは変わっていないという、ぼくにしてはめずらしい 「大理論」 (?) です。"寝返り理論" といいます。
(引用:インターネット的)
寝返り理論とは、無意識に感じている不自由を見つけるという問題発見法です。
なぜ寝返り理論という名前なのかについて、引用を続けます。
人間は、眠っている間、何度も何度も寝返りをうっています。意識的にではなく、まったく無意識にベッドの中で身体の位置や向きや姿勢を変えています。ずっと同じ姿勢で寝ているほうが余計なエネルギーも使わないだろうし、一見、楽そうな気もしますが、実は、そうではありません。
ずっと同じ姿勢で寝ていると、床との接触面の血流が悪くなるでしょう。長いこと寝たきりになっている病人などが "床ずれ" というひどいダメージを受けることをごぞんじでしょうが、寝返りは血液を常に円滑に流そうとする無意識の動きなのです。
(中略)
ある固定した考え方を続けていくと、鬱血が起こってきて、床ずれし始めます。その始まりのサインは、軽い不快感です。
いつも食べていたものが、まずく感じられた。恋人との間に、何となく楽しさがなくなった。毎日の通勤が、ずいぶん疲れるような気がしてきた……。どれも、不快のサインが出ているわけですね。これに気づくのが、問題の発見です。
(中略)
ぼくは、仕事のときにも、この寝返り理論を出発点にします。誰もが、商品やサービスにずっと満足しているということはありません。どこかに軽い不快を感じ始めているから、新商品を待ち望んだり、いままでの商品の改良やイメージチェンジを待っていたりするのです。
(引用:インターネット的)
「寝返り理論」 と 「消費者インサイト」
問題発見法の 「寝返り理論」 で思ったのは、2つです。
- ものごとは常に変わる (同じ姿勢はずっと続かないように)
- 無意識に感じている不自由など、潜在的な感情を探る
特に興味深いのは、2つめでした。
なぜなら、「消費者インサイト」 をもとにマーケティングを考えるアプローチと共通点があるからです。
消費者インサイトとは
消費者インサイトとは、「人を動かす隠れた気持ち」 です。
消費者自身も普段は意識していませんが、気付かされれば思わず行動に結びつく奥にある感情です。
インサイトのことを 「心のホットボタン」 と表現することもあります。的確にその気持ちが刺激されれば、関心が湧くなどの態度変容、購入という行動、時には習慣すらも変わることがあります。
インサイトについて、以下のエントリーで詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
インサイトを基点に考える
人気の商品やサービスを見る際に、「この商品・サービスはなぜ売れているのか」 の問いは、売り手である提供者側の視点です。
一方、「インサイトは何か」 と考えると、買い手である消費者側の立場になれます。この商品やサービスを買う人のインサイトは何か、どういう隠れた気持ちを満たしているのかを考えるのです。
その気持ちに対して、その商品またはサービスは、どんな価値を提案しているから人気なのかです。
以下の2つの問いに答えることが、インサイトを基点に考えることです。
- 消費者が持っている、人を動かく隠れた気持ち (インサイト) は何か
- そのインサイトに対して、何を提案し、消費者にどんな価値をもたらしているか
最後に
糸井重里さんの 「寝返り理論」 に自分のアンテナがひっかかったのは、インサイトとの共通点があるからでした。どちらも無意識下の不自由や気持ちを見い出そうとします。
普段は意識していないことに、どうやって意識を当て気づくことができるかは、興味深いテーマです。