2018/03/10

書評: お金2.0 - 新しい経済のルールと生き方 (佐藤航陽) 。資本主義から価値主義へのシフト


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お金 2.0 - 新しい経済のルールと生き方 という本をご紹介します。



エントリー内容です。

  • 本書の内容。資本主義から価値主義へ
  • 価値を最大化する
  • 自分の価値を高めるために


本書の内容


以下は、本書の内容紹介からの引用です。

仮想通貨、フィンテック、シェアリングエコノミー、評論経済。「新しい経済」 を私たちはどう生きるか。

メタップス創業者が明かす、資本主義の先の世界。


資本主義から価値主義へ


本書で印象的だったのは、行き過ぎた資本主義から 「価値主義」 にシフトしつつあるという指摘でした。

本来の資本主義では、モノやサービスという価値を買うためにお金を使う経済です。あくまでお金は手段です。お金とは、価値の交換・保存・尺度という役割を持つものです。

しかし、いつしか価値を高めてお金を増やすのではなく、手段であるお金そのものを増やすことが起こりました。お金を稼ぐこと自体が目的になるという 「手段の目的化」 です。

資本主義に限らず、ものごとが行き過ぎるといずれは揺れ戻しが起こります。資本主義から価値主義に変わっているのも同様です。

価値主義では、人気・信頼・時間など、これまでお金では必ずしも明確に測れなかった価値を、お金以外のもので測れるようになると本書では言っています。背景は、技術の進化、ブロックチェーンや仮想通貨などによって、価値の可視化ができるようになってきていることです。

資本主義から価値主義への流れで、意味合いとして重要なのは、価値を測れるものがお金以外にも存在するようになることです。お金は one of them となり、お金ではなく価値そのものが重要になります。


価値を最大化する


価値主義では、価値とお金は本来の関係に回帰します。お金は価値の手段になります。

本書で興味深いと思ったのは、価値を持っていれば、いつでもお金に換えられるようになるという指摘です。お金以外にも、その時に自分が必要なモノ・サービスに交換できるようになります。

これが意味するのは、お金の相対的な重要度の低下です。資本主義では、お金に代表される資本をいかに最大化するかが目的になっていました。お金を稼げるかどうかです。

一方、価値主義では自分の価値を最大化することが目指す方向となります。


自分の価値を高めるために


では、自分の価値を高めるためには、どうすればいいのでしょうか。

本書を読みながら思ったのは、3つが重なるところに価値を高められるヒントがあるということです。3つとは、以下です。

  • 好きなこと
  • やるべきこと
  • 人から求められること

1つめの 「好きなこと」 は、自分が熱中できること・生きがいと言えることを見つけられるか、そして、実際に好きなことにハマれるかどうかです。価値を高める領域は、自分の好きなことがベースになります。

2つめの 「やるべきこと」 は、自分の価値観に沿ったものです。価値観とは、意識的にも無意識的にも自分が正しいと思い、そのように振る舞ったり行動するための指針です。たとえ、一時的には好きなことでも、自分の価値観にそぐわないことは、長い目で見れば続きません。

3つめの 「人から求められること」 は、自分が人や世の中に役に立つことによって価値を上げるために、必要な見極めです。

これら3つについて、始めから3つの全てを満たしていないこともあります。誰からも求められていなくても、ただ好きだからやっている、続けていることもあるでしょう。

それでも、これらの3つを意識しておけば、自ずと自分の価値を高められるかという視点につながります。


最後に


資本主義から価値主義へ変わっていくことの背景は、社会が分散自律型になっていることです。中央型から非中央である分散型に変わり、個の自由度や影響力がより高まることです。

歴史的な大きな視点で見れば、18世紀半ばから始まった産業革命で起こった中央型から、再び産業革命以前の分散型への揺れ戻しです。もちろん、産業革命前の社会構造にそのまま戻るのではなく、新しい次元での分散自律型の社会です。

本書は、これからの世の中、ビジネス、個人と、社会全体がどのように変わっていくかについて示唆に富む内容でした。世の中の変化が大きいと感じるからこそ、社会がどこへ向かっているのかを俯瞰して考えるきっかけになる良書です。



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書いている人 (多田 翼)

ベンチャーから一部上場企業の経営・事業戦略を支援。マーケティング、コンサルティング・アドバイザー・メンター、プロダクトマネジメント。前職は Google でシニアマーケティングリサーチマネージャー、現在は独立 (詳細は LinkedIn または Facebook をご覧ください) 。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。