2018/03/11

酔い潰れるママがいるようなスナックに学ぶ、コミュニティを活性化させる5つのポイント


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人生の勝算 という本には、コミュニティが形成されるときの、5つのポイントが紹介されています。



エントリー内容です。

  • コミュニティが形成される5つのポイント
  • 絆がコミュニティを形成する。絆をつくるのは 「体験」 と 「感情移入」 から
  • ブランドからのコミュニティ考察


コミュニティが形成される5つのポイント


先に、5つのポイントを書いておきます。その後で、それぞれについて本書から見ていきます


コミュニティが強くなる条件


  • 余白があること (完璧ではない)
  • クローズドの空間で常連客ができる
  • 仮想敵をつくる
  • 秘密やコンテキストが共有され、共通言語がある
  • 共通する目的やベクトルを持つ


スナックに見るコミュニティの本質


著者の前田氏は、地方出張に行くと、必ず現地のスナックに訪れるそうです。

スナックは、もともと家族の影響で身近な存在であるとともに、スナックにある永続するコミュニティの本質に気づかされるとのことです。

スナックを訪れる度に、「全てのファンビジネスの根幹はスナックなのではないか」 と思わされるような学びがあると言います。

スナックに見られる、コミュニティが形成される5つのポイントは、次のように本書に書かれています。引用します。

コミュニティが形成される上で、5つのエッセンスがあります。これらはすべて、スナックコミュニティという現象から抽象化できるものです。

最初の二つは ① 余白の存在、② 常連客の存在です。コミュニティを作る上では 「余白」 が重要になります。そして、スナックにおいては、ママ自体が、確かな余白として設計されています。

ママは若くてきれいな女性である必要はなく、例えば一緒にお酒を飲んだお客より先に潰れても良いし、どこか頼りなくても良い。プロフェッショナルとしては、粗だらけです。

でも、その未完成な感じが、逆に共感を誘い、仲間を作ります。みんなでこのママを支えようという結束力が生まれ、コミュニティが強くなります。

 (引用:人生の勝算)

5つのうち、1つめは 「余白があること」 、2つめは 「常連客の存在」 です。

引用を続けます。

コミュニティが深まる要素として、前述の ① 余白があること、② クローズドの空間で常連客ができること、以外に、③ 仮想敵を作ること、④ 秘密やコンテクスト、共通言語を共有すること、⑤ 共通目的やベクトルを持つこと、の三つがあります。

トラブルが起きた朝方のスナックでは、まさにこの三つが同時に成立しています。

③ 「仮想敵」 の観点では、ママを責める常連客は、まず皆の敵になり、ママを皆で守ることで結束が強まります。④ 「秘密共有」 の観点では、このトラブルのことは、他のお客には言わないで、我々だけの胸にしまっておこう、という共通認識やコンテクストが出来上がります。

⑤ は、これは ③ と似ていますが、このお店のトラブルを解決する、という一つの目的にそれぞれが向かっていくことで、絆が生まれます。

 (引用:人生の勝算)


絆がコミュニティを形成する


ここからは思ったことです。

あらためてコミュニティを活性化させる5つは、以下です。

  • 余白があること (完璧ではない)
  • クローズドの空間で常連客ができる
  • 仮想敵をつくる
  • 秘密やコンテキストが共有され、共通言語がある
  • 共通する目的やベクトルを持つ

5つ全体を通して思う本質は、お互いに絆をいかにつくれるか、絆をどれだけ強固にできるかです。

人が集まりコミュニティができ、人同士の絆がコミュニティを活性化させ、強くします。コミュニティは絆の集合体です。


絆をつくるのは 「体験」 と 「感情移入」 から


では、どうすればコミュニティ内で絆がつくることができるのでしょうか?

思ったのは、体験による感情移入によって絆ができることです。

5つのエッセンスの中で興味深かったのは、「常連客を "中の人" にできると、コミュニティは一気に強固になる」 と書かれていたことでした。これは5つのうち1つめの 「余白があること」 にもつながります。

例えば、スナックのママがお客と一緒にお酒を飲み、お客より先に酔いつぶれるような状況です。常連客は頼まれもしないのに、自分たちで他の客の接客をしたり、グラスや食器を洗ったりします。

余白のあるママを見て、自分がやらなければという当事者意識が芽生えます。常連客が 「中の人」 になり、お店側の体験をすることによって、スナックというコミュニティへの帰属意識が高まります。この過程を通して、絆は強くなります。

これが、体験から感情移入が起こり、絆ができるということです。自分ごと化した体験、自分が当事者 (中の人) になった状況を体験できるかです。こうした積み重ねがコミュニティを活性化させます。


ブランドからのコミュニティ考察


コミュニティは人と人の絆からできることで思ったのは、ブランドとの共通点です。

ブランドとブランディングの定義するにあたって、前提となる考え方は、「ブランドとは人の頭の中でつくられること」 です。

私の考えるブランドとブランディングの定義は、以下です。

  • ブランド:消費者のポジティブな感情が伴っている商品やサービス (あるいは企業) 。感情は例えば、好き・満足感・共感・憧れなど
  • ブランディング:商品・サービスに感情移入を起こす働きかけ

ブランドかそうではないかの違いは、商品やサービスに感情が伴っているかどうかです。感情レベルが強いほど、その人にとって思い入れのあるブランドということになります。

ブランドになっているとは、その商品やサービスへの感情的な絆があることです。

コミュニティは絆で形成され、絆は体験と感情移入から起こるように、ブランドも商品・サービスとの接点や利用ごとの体験で、どれだけ強い感情を伴ってもらえるかです。

商品は、店頭やウェブ上にあります。一方、ブランドは顧客の頭の中にあります。感情とともに認識や記憶として顧客の側にあるのです。

ブランドについては、以下のブログエントリーで詳しく書いています。よければ、ぜひご覧ください。



コミュニティに話を戻したときに、ブランドというメタファーからの示唆があります。

コミュニティやそこでの絆は、コミュニティそのものの中にあるのではないということです。コミュニティ利用者の頭の中にあるのです。


最後に


スナックについて、本書で書かれていることが興味深かったので、最後に引用します。

しかし、スナックは違います。コミュニティにおける絆をベースにして、より賞味期限が長く普遍的な、所属欲求や承認・自我欲求も満たされ得ます。

果ては、ママの親身なアドバイスによって、つい人に言えない内面の弱さや悩みなども吐露してしまい、「本当のあるべき自分でいたい」 といった自己実現欲求にまで消費理由が昇華していきます。

以上のように、スナックでは、ママとの人間的な繫がりや、絆の対価として、お金を払います。

 (引用:人生の勝算)



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。