投稿日 2017/12/06

ブロックチェーン革命: インターネットでは起きなかった 「世界のフラット化」 を実現する


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ブロックチェーンについてです。インターネットにブロックチェーンが組み合わさることによって、未来にどのような社会が実現されるかを考えます。

エントリー内容です。

  • フラット化しなかった世界。なぜ IT でフラット化しなかったのか
  • フラット化を実現するブロックチェーン
  • ブロックチェーンの本質、ブロックチェーンは社会を変えるのか


フラット化しなかった世界


参考にする本は、ブロックチェーン革命 - 分散自律型社会の出現 です。



本書に書かれていることで興味深いと思ったのは、インターネットで期待された 「IT による世界のフラット化」 が、なぜできなかったのかについてです。インターネットとブロックチェーンについて本質的な内容でした。

パソコンやインターネットなどの IT の登場により、世界はフラット化するとかつては期待されました。情報処理コストや取引コストの低下によって、大企業などの大きな組織と、中小や零細企業・個人との差がなくなることへの期待です。

インターネットと、ネットにアクセスできるパソコンやモバイルによって、確かに情報を直接取りに行ったり、仲介者を介さずに情報のやりとりができるようになりました。

しかし、期待されたような世界のフラット化は2017年現在は実現していません。一部の巨大企業による支配される世界です。

パソコンではマイクロソフトです。GAFA と言われる、Google 、Apple 、Facebook 、Amazon などです。もう1つの A である Alibaba (アリババ) も加え GAFAA と呼ばれることもあります。

ネット以前と主役は交代したかもしれませんが、一握りの巨大企業が支配する構造は変わっていません。


なぜ IT でフラット化しなかったのか


ブロックチェーン革命 の著者の野口悠紀雄氏は、世界がフラット化しなかった構造的な要因は、以下を挙げています。

  • 大組織は事業を大規模に展開できるので、コストを下げられる。資金力によって豊富な品ぞろえができる
  • 事業規模拡大によりネットワーク効果が働く。利用者が増えるほど商品・サービスの価値が高まる
  • 利用者のデータを大量に収集できる。データと AI から商品・サービスを改善し、価値を上げられる

フラット化できなかった本質的な理由は、既存のインターネットではできていない以下の2つです。

  • 経済的に価値のあるものを送ること
  • 信頼性の確立

インターネットとは、「情報交換のインフラ」 です。

ネット上の情報は簡単にコピーできてしまいます。従って、上記2つは構造的にネットではできないのです。

インターネットで本質的に欠けているこの2つを、大企業はコストをかけて無理やり実現しているというのが野口氏の指摘です。

例えば、ネットでの買いものでお金を支払ってもらうために、コストをかけてウェブページのセキュリティを高め (SSL 認証など) 、手数料のかかるクレジットカードを導入しています。利用者にとっても、アマゾンならクレジットカード情報を登録してもよいと思えますが、無名な個人商店であれば躊躇する人もいるでしょう。

インターネットに欠けている 「経済的価値の送受信」 と 「信頼性の確立」 によって、巨大企業と中小や個人での格差は残り、IT による世界のフラット化は実現しなかったのです。


フラット化を実現するブロックチェーン


興味深いと思ったのは、ブロックチェーンが世界のフラット化を実現するという考察でした。

ブロックチェーンは、先ほどのインターネットに足りない2つである 「経済的価値の送受信」 と 「信頼性の確立」 をもたらすからです。なお、ここで言うブロックチェーンとは、中央管理者がいない誰でも参加可能なオープン型を指しています。

信頼性の確立について、そもそもオープンブロックチェーンでは、取引相手そのものを信頼することなく、取引をすることができます。ブロックチェーン内の情報は多数の P2P コンピューターで分散して保存され (管理者がいない非中央分散型) 、誰でも見られるように公開され、情報を改ざんすることが事実上は不可能な仕組みがつくられています。

経済価値の送受信について、ブロックチェーンでの取引は、受信相手が信頼できるかどうかではなく、取引情報が正しいかどうかで成立します。信頼できる相手かを判断するためのコストをかけなくてよく、ブロックチェーンがインターネットの足りていない要素を補うのです。

もちろん、ブロックチェーンを使えば、これまでの大企業が有利であったことの全てがすぐに解消されるわけではありません。

最初に挙げた3つである、あらゆる活動や取引のコストを下げる、利用者規模の拡大によるネットワーク効果、大量のデータ収集による事業展開を、どのようにやっていくかは課題として残ります。

ただし、ブロックチェーンをベースにした取引の契約履行を自動化するスマートコントラクト、IoT へのブロックチェーンおよび仮想通貨の組み込みによって、これらの課題も大企業でなくても解決できることが期待できます。


ブロックチェーンの本質


ここまでの内容からまとめると、

  • インターネットは 「情報交換のインフラ」 
  • ブロックチェーンの本質は、「価値交換のインフラ」 。経済的に価値のあるものを交換できる

それによってブロックチェーンがもたらすのは、「価値交換と信頼における機会の平等」 です。お金などの経済的価値の交換と信頼確立の民主化です。一部の大組織だけではなく、中小企業や個人にも機会をもたらします。


ブロックチェーンは社会を変えるのか


インターネットだけでは 「価値交換」 と 「信頼性の確立」 が本質的に足りず、世界はフラット化しませんでした。

この2つを持つブロックチェーンがインターネットに活かされれば、どのような社会になるのでしょうか。インターネットがもたらしたような革命的な世の中の変化が、ブロックチェーンによって実現されるのかは、興味深いです。



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。