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書いている内容です。
- 「時間で管理する」 は正しいのか
- 意味のある仕事とは
- 単に 「労働時間を減らせ」 では解決しない。どうすればよいか
「時間で管理する」 は正しいのか
日本の長時間労働について、あるインタビュー記事を読みました。
Google なら 「長時間労働問題」 をどう解消するか? ピョートルさんに聞く|未来を変えるプロジェクト by DODA
インタビューでピョートル氏は、ホワイトカラー職の人を 「時間で管理する」 という考え方そのものが間違っていると指摘します。以下はインタビュー記事からの引用です。
そもそも「労働時間で管理する」というのは、工場やレストランで働く人など、アウトプットが定型化している仕事に就く人をマネジメントする際に使われる考え方。
そうではない、例えば、営業職、企画職、あるいは管理職もそうですが、いわゆるホワイトカラーの職業に就く人を 「時間で管理する」 というのは、愚かな考え方なんです。
(引用:Google なら 「長時間労働問題」 をどう解消するか? ピョートルさんに聞く|未来を変えるプロジェクト by DODA)
時間で管理してはいけない理由を、ピョートル氏は次のように述べます。引用を続けます。
なぜ時間で管理してはいけないかというと、仕事が定型化していない以上、大切なのは 「質の高いアウトプットを出すこと」 だからです。「それをできるだけ短時間で」 という話なら分かります。
質の高いアウトプットを出す上で大切なのは、労働時間を短縮して、効率化を図ることだけではありません。むしろ、質の高い、「意味のある仕事」 に取り組むことなんです。
(引用:Google なら 「長時間労働問題」 をどう解消するか? ピョートルさんに聞く|未来を変えるプロジェクト by DODA)
意味のある仕事
ピョートル氏は、単純なルーチンワークは、先進国から後進国へアウトソースされたり、今後は AI (人工知能) などの機械によって担われると言います。ホワイトカラー職は、よりクリエイティブで非定型な仕事で、いかに価値を提供するかが問われるようになるのです。
だからこそ、「意味のある仕事」 に取り組んでいるかがどうかが重要になります。
意味のある仕事とは、ピョートル氏は 「自分が世界に何をもたらしたいのか、その代わりに何を得たいのかというミッションがあること」 だと述べています。
単に 「労働時間を減らせ」 で解決するのか
以上は、インタビュー記事で印象に残ったことからのピックアップでした。ここからは、私が思ったことです。
長時間労働を問題とする場合、よく見られる課題設定は労働時間を削減することです。代表的な例は、残業時間を減らすことです。
長時間に働くことが問題だから時間を減らせでは、対応が表層的です。長時間労働問題の解決のために、単に労働時間を減らすことでは問題の根本は解決しないのでないでしょうか。
How だけではなく、What と Why を考えるべき
労働時間をいかに減らすかという取り組みは、how です。それに対して、自分が取り組む仕事の中身を吟味し、「質の高い意味のある仕事」 かどうかを考えることは、what です。つまり、自分は何をやるかを見極めることです。
What として何をやるかで大事なのは、何をやらないかを決めることです。本当に意味のある仕事に集中するために、自分がやらなくてもよいこと・やるべきでないことを捨てることです。
アウトソースをしたり、機械に任せられないかを考える、あるいは、やらざるを得ない場合はいかに自分の労力を割かなくていいように仕組みを工夫することです。
自分の what を見極めるために忘れてはいけないのは、why です。自分が世界に何をもたらしたいのかです。
レイヤーで言えば、一番上に why があり、その下に what がきます。さらにその下に来るのが how です。3つの関係は次のようになります。
- Why: 世界に何をもたらしたいか。ミッション
- What: 本当に意味のある仕事に集中する
- How: 生産性を上げるために、インプットとアウトプットを最適化する
働き方改革のニュースや議論を見ていると、how に焦点が当たりすぎています。残業時間をいかに減らすかは典型です。
働き方を見直す際の論点は、「いかに生産性を上げるか」 とすべきです。生産性は 「アウトプット ÷ インプット」 であり、労働時間というインプットだけではなく、いかにアウトプットを高めるかも必要な議論です。
さらに俯瞰して見た時に、how だけではなく、上記のような what や why も併せて考えるべきです。
最後に
関連エントリーをご紹介します。以下のピョートル氏の著書について書いたものです。
書評エントリーのリンクはこちらです。
書評: 世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか - グーグルの個人・チームで成果を上げる方法 (ピョートル・フェリークス・グジバチ)
この本に書かれていることで興味深く読めたのは、「自分の今の仕事をなくす」 という考え方でした。今回の、「意味のある仕事は何か」 にも通じます。
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