投稿日 2017/12/02

ブロックチェーンの何が革命的なのか。ブロックチェーンの本質は 「価値交換のインフラ」


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ブロックチェーン革命 - 分散自律型社会の出現 という本には、ブロックチェーン社会にとってどんなインパクトがあるかが書かれ、興味深く読むことができます。


エントリー内容です。

  • 従来のインターネットの限界。インターネットの本質、ブロックチェーンの本質
  • ブロックチェーンでは相手を信頼せずに取引ができる
  • ブロックチェーンについて思うこと


従来のインターネットの限界


著者の野口悠紀雄氏は、従来のインターネットの欠点は次の2つが本質的にできない構造にあると言います。

  • 経済的に価値のあるものを送ること
  • 信頼性の確立

これまでのネットでは、この2つをなんとか実現するためにコストをかけていました。

例えば、ネットでの支払いをするためには、個人情報を詳細に入力して会員になり、ログインをし、登録したクレジットカードや銀行振込をする必要があります。支払いを実行するウェブページは SSL 認証をあらかじめ導入し、通信する支払い情報の改ざんが起こらないようにしています。


インターネットの本質


インターネットの本質は、「情報交換のインフラ」 です。

その一方、本書に書かれていたのは、インターネットとは 「安いけれど信頼はできない通信システム」 であることです。だからこそ、送金や支払いなどの価値のあるものを送ることには本来は適しておらず、高いコストをかけて無理やり対応しているのです。


ブロックチェーンの本質


ネットが情報交換のインフラであることに対して、ブロックチェーンは 「価値交換のインフラ」 です。

価値交換が意味するのは、ブロックチェーンはインターネットが本質的に持っていない 「価値の送受信」 と 「信頼性」 があることです。

本書でブロックチェーンの重要なことは、次の2つであるとします。

  • 管理者がいない
  • 記録の改ざんが事実上は不可能である


ブロックチェーンでは相手を信頼せずに取引ができる


ブロックチェーンが革命的なのは、管理者がいないにもかかわらず、相手を信頼せずに取引ができることです。

ここでのポイントは2つあります。管理者がいないこと、相手を信頼しなくてよいことです。これが何を意味するかを見るために、従来の管理者がいて相手を信頼する取引で考えてみます。


相手を信頼する取引


何かの取引、例えば、モノやサービスを買ってお金を支払う場合、マーケットに信頼できる管理者がいれば、取引への信頼ができます。例えばアマゾンです。アマゾンという管理者への信頼があるからこそ、アマゾンでの買いものや支払いが間違いなく行われることをユーザーは信頼しています。

取引が信頼できるかどうかは、通常は、取引の中身とともに、取引相手が信頼できる人物や組織なのかで判断します。お金を支払う場合、売り手は相手が取引に応じてもよい人物なのかどうかを確認します。例えば、誰なのかの身分証明や、どこの誰なのかを提示するよう求めます。

以上のような、管理者がいて、お互いを信頼できる環境で、従来は取引への信頼を確立していました。


ブロックチェーンでの取引


ブロックチェーンは、全く逆の発想でつくられています。取引相手がどんな相手か分からなくても、安心して取引ができます。ブロックチェーンが全て、信用を担保してくれているからです。

相手を信頼しないにもかかわらず、取引が成立できることにブロックチェーンの革新性があります。

ブロックチェーンの取引は、中身が正しいかどうかだけが確認されます。例えば、「A さんから B さんへ X という価値を送る」 という取引に当てはめてみます。

ブロックチェーンでは、A さんと B さんが誰か、二者が信頼できるかどうかは問いません。また、A さんと B さんそれぞれがどういう人物なのかの身分証明も不要です。

「A さんから B さんへ X という価値を送る」 という取引情報が正しいかどうかです。ブロックチェーンでは事実上は取引情報の改ざんができないので、この取引情報が間違いなく A さんから送られたものであることが確認できれば、B さんへ X という価値が送られ取引が成立します。

この取引の仕組みを、管理者や仲介者がいない P2P (ピアトゥピア) で行われるので、取引コストを下げることができます。


ブロックチェーンについて思うこと


ブロックチェーンの本質は、これまでのインターネットに足りていなかった課題を解決するシステムということです。ネットに欠けているものを補う存在です。価値を送ること、価値は今は誰が持っているか、これまで誰が持っていたかの信頼性を確立することができます。

ブロックチェーンという仕組みをうまく活用した例は、仮想通貨であるビットコインです。ブロックチェーンとは価値を交換するインフラです。代表的な価値はお金なので、ビットコインという通貨でブロックチェーンが使われたのは自然な流れでしょう。

ブロックチェーンの可能性は仮想通貨だけにとどまりません。

インターネットが個人への情報アクセスや送受信において機会への平等をもたらしたように、ブロックチェーンは個人への信頼確立への機会の平等を実現するでしょう。ブロックチェーンは、価値交換と信頼確立の民主化をもたらします。

ブロックチェーンでは、取引相手を信頼せずとも取引を成立させることができます。

ということは、従来であれば、取引の信頼性や正しいということを証明していた仕事は、人がやる必要がなくなります。契約・証明・記録に関わる仕事は、ブロックチェーンによって自律的に契約を締結され、執行されます。取引の当事者間にいた仲介者も必要なくなるでしょう。

インターネットが情報において社会のあり方を大きく変えたように、インターネットの上で活用されるブロックチェーンも、価値交換と信頼という観点で、社会を根底から変えるポテンシャルがあります。



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。