2017/12/30

2017年に読んだビジネス本から厳選10冊をご紹介


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今年2017年に読んだ本で、おもしろかったものを10冊ご紹介します (今年再読した本も含む) 。

ジャンルはビジネス本です。一部、厳密にはビジネス本というジャンルではないかもしれませんが、私自身はビジネスの視点で読んだ本です。

選んだ基準は以下です。特に3つ目の基準を重視しました。

  • 読み物として質が高い本
  • 読みながら考えさせられることが多かった本
  • 得られた示唆や学びが、自分の仕事での取り組みや考え方を一時的にではなく変えた本

10冊を以下の3つでグループに分けています。

  • 経営・戦略
  • マーケティング
  • その他

それではご紹介します。




経営・戦略




大本営参謀の情報戦記 - 情報なき国家の悲劇 (堀栄三)




情報をどう扱うか、兆しから本質をいかに見極めるかなど、自分の仕事に示唆に富む内容でした。戦争の歴史と、インテリジェンスプロフェッショナルとしてのあり方の両方から、興味深く読める本です。

示唆に富むと思ったのは、本質をいかに見極めるかとそれを戦略などにどう活かすか、競争ルールを根本から変えることによって新しいプラットフォームをどうやって構築するかでした。

競争ルールを根本から変えるとは、マーケットで勝つため (例: ターゲット顧客の支持を得るため) の成功要因をゼロベースで見直し、全く新しい競争原理 (ゲームのルール) を持ち込んだということです。

関連エントリーです。

書評: 大本営参謀の情報戦記 - 情報なき国家の悲劇 (堀栄三)
既存の競争ルールを無力化することの重要性 (イノベーションと差別化戦略)



USJ を劇的に変えた、たった1つの考え方 - 成功を引き寄せるマーケティング (森岡毅)




戦略とマーケティングがビジネスの文脈でわかりやすく説明されている本です。

特に興味深く読めたのは、戦略についての本質的な内容でした (そのため 「経営・戦略」 のグループで紹介しています) 。戦略と戦術の違い、戦略とはそもそも何のためにあるかなど、学びが多かったです。

関連エントリーです。

USJ を劇的に変えた戦略思考



ザ・会社改造 - 340人からグローバル1万人企業へ (三枝匡)




本書は、ミスミという上場企業の現役会社経営者が自ら書いた本です。12年の期間にミスミ内で起こった企業改革の舞台裏が、小説ストーリーとして詳しく書かれています。

経営に参考になるだけではなく、リーダーシップ、組織マネジメント、戦略論、マーケティング、営業、など、様々な視点で学びが多く、示唆に富む内容でした。

2回続けて読み、1回目と2回目で異なる学びがあった本でした。

関連エントリーです。

書評: ザ・会社改造 - 340人からグローバル1万人企業へ (三枝匡)
ベンチャーから大企業まで当てはまる 「組織活性の循環動態論」 が興味深い
「多様性重視」 と 「選択と集中」 をバランスよく循環させよう



日本電産流 V 字回復経営の教科書 (川勝宣昭)




本書に書かれていることは、日本電産の経営者である永守重信氏から伝授された数々の経営手法をベースに、その後に著者の川勝氏が経営コンサルタントに転じて得た実践メソッドを組み合わせて、まとめた内容です。

営業改革からコストダウンの手法、経営者やマネージャーのリーダーシップ、企業カルチャーの変革にまで及びます。中心テーマは、経営手法と営業強化によって、企業をいかに強い組織にするかです。

各章が体系的にまとまっており、グラフなどの図も適切に入り、一気に読めました。

関連エントリーです。

書評: 日本電産流 V 字回復経営の教科書 (川勝宣昭)




マーケティング




キャズム Ver.2 - 新商品をブレイクさせる 「超」 マーケティング理論 (ジェフリー・ムーア)




キャズム理論について、具体例とともにわかりやすく書かれています。

興味深かったのは、キャズム理論における、イノベーター → アーリーアダプター → アーリーマジョリティと、それぞれどのような戦略で、ビジネス施策をするかです。各グループで、異なる戦略と施策が必要で、それがなぜかの解説に示唆があります。

世の中の流行りや未来を考える際に、キャズム理論は有効なレンズになります。

関連エントリーです。

書評: キャズム Ver.2 - 新商品をブレイクさせる 「超」 マーケティング理論 (ジェフリー・ムーア)



プラットフォーム ブランディング (川上慎市郎 / 山口義宏)




ブランド戦略について、理論と考え方、そして、具体的な施策を経営レベルから現場でも使える内容で体系的に書かれた本です。

ビジネスやマーケティングにおける 「ブランド」 という言葉は、頻繁に使われるものの、人によって定義や理解が異なり、戦略や施策に落とし込む際の足かせになります。

本書は、ブランドの定義と構成要素を明確に示し、ビジネスへの貴重な示唆を与えてくれます。

関連エントリーです。

書評: プラットフォーム ブランディング (川上慎市郎 / 山口義宏)



確率思考の戦略論 - USJ でも実証された数学マーケティングの力 (森岡毅 / 今西聖貴)




マーケティングの考え方やベースとなっている数学的な理論 (確率思考) を、惜しげもなく公開されています。USJ で実際にどのように来園者数を増やしたのかの実務ノウハウが詳しく書かれています。

理論だけではなく、著者2人のコミット意識やビジネスへの情熱を感じられます。読んでいて、左脳と右脳の両方で刺激を受けた本でした。

関連エントリーです。

マーケティングの本質は顧客視点での 「選ばれる理由」 をいかにつくるか
マーケティングリサーチャーの使命と大切にしたい姿勢



「欲しい」 の本質 - 人を動かす隠れた心理 「インサイト」 の見つけ方 (大松孝弘 / 波田浩之)




市場が成熟化すると、「自分はこれが欲しい」 と強く思えるような商品に出会う機会が減ります。どの商品も可もなく不可もないものです。本書では 「だいたい良いんじゃないですか?時代」 と表現します。

この本の主張は、こうした環境でこそ人々の隠れた欲求に答える必要があるというものです。キーワードは 「インサイト」 です。

本書のインサイトの定義は、人を動かす隠れた心理です。生活者本人も普段は意識していない気持ちや感情で、そこを的確に訴求されれば購入などの行動につながり、ビジネスに貢献するのがインサイトです。

本書は、著者がこれまで携わった600件もの実証例からの経験から、インサイトの見つけ方を体系的な方法論として、具体的にわかりやすく書かれています。

関連エントリーです。

書評: 「欲しい」 の本質 - 人を動かす隠れた心理 「インサイト」 の見つけ方 (大松孝弘 / 波田浩之)




その他




生涯投資家 (村上世彰)




本の内容を一言で言えば、村上世彰氏の投資家としての信念が書かれた本です。どこを目指し、何を信じて投資家をしているのか、村上氏の生きる意義が書かれています。

この本から考えさせられたのは、自分の人生を捧げるほどの信念を持つことの大切さでした。

2005年頃の村上氏がメディアに頻繁に取り上げられていた当時の村上氏へのイメージと、本書に書かれていることから受ける印象は、大きく違いました。本書を読むと、当時のメディアで取り上げられていた視点は、村上氏が世に問いかけたかったことと異なることがわかります。

自身が 「生涯投資家」 と言う村上氏の投資家としての信念は、当時も今も変わっていませんでした。村上氏の半生を興味深く読めた本でした。

関連エントリーです。

書評: 生涯投資家 (村上世彰)



世界のエリートはなぜ 「美意識」 を鍛えるのか? - 経営における 「アート」 と 「サイエンス」 (山口周)




興味深かった問題意識は、特にビジネスの世界における 「論理的思考からの正解のコモディティ化」 でした。

コモディティ化から抜け出すために、美意識が必要であるというのが本書の提言です。

本書の言う美意識は、自分の中の主観的なモノサシや価値観です。大切だと思ったのは、自分にとっての価値観を明確にするだけではなく、普段から価値観に沿って判断し決めたり、行動できているかどうかです。

美意識という自分の審美眼や価値観について、考えさせられる本でした。

関連エントリーです。

書評: 世界のエリートはなぜ 「美意識」 を鍛えるのか? - 経営における 「アート」 と 「サイエンス」 (山口周)

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。