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シグナル:未来学者が教える予測の技術 という本をご紹介します。
エントリー内容です。
- 本書の内容
- 未来の当たり前を予測する
- 未来予測の6つのステップ。6つのステップについて思ったこと
本書の内容
以下は本書の内容紹介からの引用です。
世界から注目される話題の未来学者、待望の新刊。「未来を読むための方法論」 を開示する。
世界を変える画期的な新製品やサービス。これらが世に出てくるかなり前に、なんらかの兆候が出ている。
だが、なぜ大半の人はそれを見逃してしまうのだろう?次の主流となる “本物” と一過性の “ニセモノ” はどう見分ければよいのか?
気鋭の未来学者が編み出した、予測の 「6つのステップ」 を伝授する。
未来の当たり前を予測する
未来学者である著者のエイミー・ウェブ氏は、「未来を予測することは、誰もが身につけられる技術である」 と言います。
本書全体での問いは、「どうすれば “もうすぐ当たり前になるもの” を、普通に感じるようになるか」 です。もうすぐ当たり前になるということは、今はまだ当たり前になっていないものです。
本書で技術として解説されているのは、未来の当たり前をどうやって予測できるかです。
未来予測の6つのステップ
本書で紹介されているのは、以下の6つのステップで未来を予測する方法です。
- 社会の端っこにあるシグナルを見つける。幅広く情報を集める
- 集めた情報からパターンを探す (点と点を結びつける)
- 見つけたパターンは本物のトレンドか、一過性のものなのかを検証する
- トレンドが今はどの段階かを見極める。トレンドが未来の主流になるタイミングはいつかを予測する
- トレンドから未来に起こり得るシナリオ、そのシナリオ下での戦略を描く
- 戦略の有効性を確認する
6つのステップについて思ったこと
ここからは、私が思ったことです。4つです。
- 社会の端っこにあるシグナルを見つける
- 事象や兆候から本質を見極める
- 想像と検証の繰り返し
- シナリオと戦略に落とし込む
以下、それぞれについてご説明します。
1. 社会の端っこにあるシグナルを見つける
著者の未来予測の方法で興味深く思ったのは、最初に 「社会の端っこ」 に注目するアプローチです。端っこということは、まだ人々には知られていない、当たり前になっていないことです。
幅広く情報のアンテナをはり、現時点では主流になっていないことを探すところからスタートします。
2. 事象や兆候から本質を見極める
ステップ1は端っこのシグナル、ステップ2はシグナルからパターンを探すことです。再度、ステップ1と2をご紹介すると、次の通りです。
- 社会の端っこにあるシグナルを見つける。幅広く情報を集める
- 集めた情報からパターンを探す (点と点を結びつける)
1と2は要するに、事象や兆候から、いかに本質を見極めるかです。
事象や兆候は、まだ一般的には知られていないこと、誰もやっていないこと、あるいは、知られているが見向きもされていない、怪しげに思われているようなことです。
イノベーターだけが注目していたり、アーリーアダプターの一部にしか関心を持たれていない状態です。この段階で、自分で発見し、兆しとして着目できるかです。
見い出した兆しは、あくまで表面的な事象です。未来予測のステップの最初にして、いきなり難しいと思ったことは、兆しといういくつかの事象から、その裏にある本質を見極めることです。
多くの人に関心を持たれていないもので、点と点を結びつけ、一過性ではない本物のパターンを見抜くことができるかです。
3. 想像と検証の繰り返し
未来予測の6つのステップを俯瞰してみると、イメージを膨らませた 「想像」 と、見い出したパターンやトレンド、シナリオや戦略の 「検証」 を交互に繰り返しています。
単に未来を妄想して終わらせるだけではありません。前提をなくして想像や思考を広げて見えたことに対して、次は必ず反論や批判的な視点からの検証を入れています。
また、確認や検証において、時間軸も常に考えています。未来に起こりそうだとしても、それがいつ頃なのかです。5年後なのか、20年後なのか、あるいは30年以上後の未来なのかです。
4. シナリオと戦略に落とし込む
未来予測の6つのステップの最後は、予測されるシナリオに対して、自分たちは何をやって・何をやらないかの戦略に落とし込むことが入っています (ステップ5) 。さらに、最後のステップ6で戦略の有効性を確認します。
私はここに、著者の未来学者としての責任を見ました。
人々が知りたいのは、未来の世界がどうなるかだけではありません。特にビジネスにおいては、描かれる未来のシナリオに対して、自分たちは何をすべきか、そしてすべきでないかです。今から準備しておく必要があることは何か、未来シナリオが起こった時に何をすべきかです。
端っこで起こっている事実を発見し、そこから示唆を出すだけではなく、提案まで持っていけるかという姿勢は、あらためて考えさせられました。